著者
中山 貴夫 宮下 健輔
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.527-549, 2018-04-15

大学における情報ネットワーク環境は,可用性の向上やコスト削減や災害対策等の観点から,物理サーバを学内のサーバルームに設置して運用する体制から,仮想化技術やクラウドを利用する形態に変化してきている.このような流れの中,京都女子大学では2012年以降数年間にわたってVMware vSphereによる仮想化基盤を構築した.その上に2005年度より運用していたMac OS Xサーバで提供していたメール,Web,DNSなど主要な学内サービスを提供しているサーバ群やアプライアンス機器で提供していたファイアウォールやロードバランサを仮想化して移行した.本稿では,大学におけるサーバシステム更改の方針を設置場所と提供形態の2つの観点で分類し,方針を決定するための検討事項を整理する.その実践例として本学における一連のシステム導入に関する経緯や構成,導入後の運用状況や現状の問題点などを説明する.このシステム導入によって,本学の情報システムの問題であった老朽化した物理サーバの更改,サーバルーム内のスペース確保,そしてサーバ監視や異常通知の一元化が可能となった.
著者
寺下 薫
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.454-476, 2018-04-15

問題解決力は,日々コンタクトセンタ内で起こる問題を解決するために重要なスキルである.毎日,センタ内で発生する問題と対峙しなければならないスーパーバイザ(SV)にとっては,問題解決力の習得は切実な課題である.にもかかわらず,問題解決力を有するSVは,全体の10%程度しかいない.SVが問題解決の手法について,センタ内で教えてもらえる機会は,ほとんどなく,SVはこれまでの経験のみで物事を判断してしまう傾向がある.このため,根本的な解決ができないで,日々悩んでいるSVは多い.本稿では,筆者が2013年にヤフー(株)で創設したSVの問題解決養成塾「SV研究会」により,多くのSVが問題解決力を身に付け,キャリアアップしていった点に着目する.問題解決力をどのように習得させることができたかについて,SV研究会での取り組みとともに,問題解決力の育て方の実践について述べる.
著者
稲田 英樹 渡部 弘毅 神山 晃男 相楽 香織 宮﨑 義文
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.477-501, 2018-04-15

本特集号に投稿された方々にお集りいただき,投稿内容の言外にあるものを含めて,「価値を創造するコンタクトセンタに向けて」をテーマとし,主に下記について大いに語っていただきました.・コンタクトセンタにおける高い価値とは?・ユーザの側から見て,現在AIにできることは何か?・コンタクトセンタにおいてAIは,どこまで人に代われるのか?-人が得意とする領域,AIが得意とする領域-人とAIの協働と役割分担-AIチャットボットの失敗例と導入効果-AIは人の雇用を奪うのか?・高い価値を提供するには,どうしたらいいか?何に向かって努力すべきか?

1 0 0 0 OA グロッサリ

雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.502-503, 2018-04-15
著者
宮脇 一
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.414-436, 2018-04-15

「電話の向こうに顧客が並んでいた時代のKPI(Key Performance Indicator)を,顧客が並ばなくなくなった今も,そのまま使っている業界って,おかしくないか?」という多くのオペレータの疑問がきっかけとなり実証実験を始めた.できるだけ多く,長く,深く話すことが,企業の利益に貢献するという仮説の下,1つの結果を立証した.その要因は,外部・内部ともにコミュニケーションの総量を上げたことであった.本稿では,筆者が運営するコールセンタでのケーススタディを通じ,次世代のコールセンタの在り方の考察を行う.
著者
神山 晃男
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.437-453, 2018-04-15

一人暮らし高齢者向け会話サービス「つながりプラス」は,高齢者に対して世間話を電話で行い,離れて暮らすご家族にレポートするサービスである.当該サービスはじっくり話を聞く「聞き上手」を価値提供の軸とした新しいコミュニケーションサービスであり,顧客との信頼関係構築,顧客自身の行動変容を通じて,新たな価値創造が生じている.その方法論が,一般的なコールセンタ業務や対応業務に幅広く適応可能であることが分かってきた.さらに人間による対応を超えて,ロボティクス等を活用した自動対応においても,当該ノウハウが活用できることも確認されている.本稿では,つながりプラスの紹介および価値創造の根源となる「聞き上手」の構造的解説を行い,その具体的な効果を説明する.またそれら価値創造の仕組みを活用した,新たな取り組みを紹介したい.
著者
渡部 弘毅
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.367-387, 2018-04-15

顧客ロイヤリティ向上の価値は,継続意向や推奨意向の高い顧客の売上比率を向上させることである.このためには,サービスプロセスの顧客接点を磨き上げ,顧客の体験価値を高めることが重要である.本来,カスタマージャーニの設計はサービスプロセスを磨く手法として有効であるが,顧客体験の実態を効果的に見える化できず往々に絵に描いた餅に終わってしまうことが多い.本稿では,カスタマージャーニアセスメントを中核とした新しいアプローチを使った施策立案により,顧客・経営・現場がWin & Win & Winの関係になり,ビジネスが成功するための勘所を論じていく.
著者
田口 浩
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.388-413, 2018-04-15

日本国内のコンタクトセンタの現状の課題は,人材の採用である.人材の採用が難しい状況は国内全域にわたり,採用が厳しくなるなかで,コンタクトセンタは,AI(人工知能)やチャットを利用し生産性を向上する取り組みや,FAQやチャットボットなどのセルフサポートシステムを利用しコールの削減の取り組みを行っている.また,人材の採用が厳しいため,既存の社員の退職を防止する取り組みも行われている.退職防止のためには,社員のモチベーションを維持・向上させるマネージメントが重要である.社員モチベーションの低下は,社員の退職だけでなく,顧客満足度にも影響を与えることになる.本稿では,社員満足度と顧客満足度の関係性について明らかにし,コンタクトセンタでは,人材に対する投資も重要であることを解説する.
著者
野崎 善教
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.332-352, 2018-04-15

第3次AIブームといわれる近年,AIを使った新しいビジネスモデルが続々と登場して,各企業を取り巻くビジネス環境が大きく変化してきている.そして,コールセンタ業界も大きな変革の時を迎えており,ネスレ日本ではIBM Watsonを使って2016年にチャットサービスを開始した.本稿では,導入事例を中心にAIがもたらすコールセンタ業界の変化を考察した.まずAIの進化がコールセンタ業界ならびにCRM活動にどのような影響をあたえているのか整理する.そして,チャットサービスの導入計画から導入後の結果を担当者の気づきを含めて詳細に紹介する.最後に,将来AIが顧客体験にどのような変化をもたらすのか予測する.
著者
荻野 明仁 岩崎 圭介
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.353-366, 2018-04-15

従来よりAI,特に自然言語処理技術の活用領域としてコンタクトセンタが挙げられていたが,ここ数年で実際にコンタクトセンタでAIを活用する事例が出てきている.自然言語処理AIエンジンを開発する企業に勤務する筆者らは,複数の開発・導入プロジェクトを経験しているが,どのプロジェクトにおいても大小さまざまな課題に直面した.これらの経験を通じて,AIの効果的な活用のためには,AI利用を前提とした業務プロセスの最適化-具体的には学習用データの整備や継続的な学習プロセスとチューニング-が必要であることが判明した.
著者
宮﨑 義文
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.281-317, 2018-04-15

コンタクトセンタのお客様接点は,企業にとってお客様とのビジネスの最前線である.お客様接点は,お客様を知るだけでなく,企業改革の起点にもなる.ただし,これまでコンタクトセンタは経営から過小評価されてきており,十分には活用されてこなかった.その一因として,コンタクトセンタの経営への活用方法論が確立されていないことが挙げられる.本稿では,経営へのコンタクトセンタ活用方法論の確立を図ることを目指して,コンタクトセンタを経営に活用し成果を上げた先進事例を分析し抽出した,経営にコンタクトセンタを活用する10の基本モデルについて述べる.分析した先進事例は,これらの基本モデルの組合せによりできており,これらのモデルは,経営に貢献するコンタクトセンタを創る上での基本要素であるといえる.また,急速に進む人工知能(AI)の活用とこれらの基本モデルとの関係を考察した.現在実用化されているAIは,これら基本活用モデルの仕組みを変えるものではなく,これらのモデルを補強するツールであることを示す.
著者
稲田 英樹
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.318-331, 2018-04-15

昨今のAIの発展はすでに単なるブームにとどまらず,さまざまな実務に取り入れられ,その効果が出てきている.一方で,AIの発展により,近い将来に多くの職業がAIに取って代わられるとメディアは報じている.AIは人々の職を奪う技術なのか.それとも人々の生活を豊かにし,ビジネス領域においては生産性を飛躍的に高める技術となるのか.本稿では筆者が新たな顧客サポートチャネルとして導入したWEBチャットやLINE,AIチャットボットをいかにして従来のサポートチャネルと融合し,付加価値を創出しているかを紹介する.

1 0 0 0 OA 表紙・目次

雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, 2018-04-15
著者
Toshiyuki Hagiya Toshiharu Horiuchi Tomonori Yazaki Tatsuya Kawahara
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, 2018-04-15

Many older adults are interested in smartphones. However, most of them encounter difficulties in self-instruction and need support. Text entry, which is essential for various applications, is one of the most difficult operations to master. In this paper, we propose Typing Tutor, an individualized tutoring system for text entry that detects input stumbles using a statistical approach and provides instructions. By conducting two user studies, we clarify the common difficulties that novice older adults experience and how skill level is related to input stumbles with a 12-key layout for Japanese. Based on the study, we develop Typing Tutor to support learning how to enter text on a smartphone. A two-week evaluation experiment with novice older adults (65+) showed that Typing Tutor was effective in improving their text entry proficiency, especially in the initial stage of use. In addition, we demonstrate the applicability of Typing Tutor to other keyboards and languages with the QWERTY layout for Japanese and English.------------------------------This is a preprint of an article intended for publication Journal ofInformation Processing(JIP). This preprint should not be cited. Thisarticle should be cited as: Journal of Information Processing Vol.26(2018) (online)DOI http://dx.doi.org/10.2197/ipsjjip.26.362------------------------------
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, 2018-04-15
著者
松廣 達也 橋本 哲也 北岡 見生代 ア デイビッド 落合 翼 渡辺 秀行 片桐 滋 大崎 美穂
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.1295-1308, 2018-04-15

最近,識別学習法の1つ,最小分類誤り(MCE: Minimum Classification Error)学習法が,大幾何マージン最小分類誤り(LGM-MCE: Large Geometric Margin Minimum Classification Error)学習法に拡張された.LGM-MCE法は,利用可能な学習用標本上の分類誤り数損失の最小化と,標本空間における幾何マージンの最大化とを同時に行うものである.学習用標本に対する過学習を抑制することで,この新しいLGM-MCE法は,理想的な最小分類誤り確率状態に対応する分類器状態を近似する.その有効性は,プロトタイプ型分類器用に実装され,様々な固定次元ベクトルパターンの分類課題において実証されている.本稿は,可変長パターンに対しても過学習が抑制された望ましい分類が実現されることを目指し,状態遷移モデル型分類器を用いて可変長パターンのための幾何マージンを新たに導出し,それを用いたLGM-MCE学習法を構築し,その有効性を3種の音声認識課題において評価した結果を報告するものである.実験では,LGM-MCE学習法と,その基盤となったMCE学習法とを比較する.実験の結果,いずれの課題においても,LGM-MCE学習法が,過学習を抑制し,未知の試験用標本上で高い分類精度を達成することが示される.比較実験に用いるLGM-MCE学習法の実装は,適応型損失最小化手段である確率的降下法を用いている.本稿では追加的に,高速な並列処理に適したRPROP法に基づく実装も行い,その動作確認結果も報告する.
著者
Chuzo Iwamoto Tatsuaki Ibusuki
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, 2018-04-15

Dosun-Fuwari is one of Nikoli's pencil puzzles, which is played on a rectangular grid of cells. Some of the cells are colored black, and the remaining cells are divided into rooms. The purpose of the puzzle is to place balloons and iron balls according to the following rules: Place one balloon and one iron ball in each room. Balloons (resp. iron balls) are light and float (heavy and sink), so they must be placed in the top (bottom) row of the grid of cells, or in a cell right under (over) a black cell or right under other balloons (over other iron balls). It is shown that deciding whether a Dosun-Fuwari puzzle has a solution is NP-complete.------------------------------This is a preprint of an article intended for publication Journal ofInformation Processing(JIP). This preprint should not be cited. Thisarticle should be cited as: Journal of Information Processing Vol.26(2018) (online)DOI http://dx.doi.org/10.2197/ipsjjip.26.358------------------------------
著者
永森 誠矢 山下 遥 荻原 大陸 後藤 正幸
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.1273-1285, 2018-04-15

近年,企業は就職ポータルサイトを用いて学生に採用情報を提供している.その際,就職ポータルサイトを活用しようとする企業は採用活動の被エントリ数への影響とその予測値に関心がある.そこで本研究では,就職ポータルサイトに蓄積されている履歴データを活用し,新規企業が獲得できる被エントリ数の予測と被エントリ数の影響要因分析のためのモデルを構築する方法について検討する.具体的には,精度の高い予測とともに,影響要因の効果を分析可能とするモデルとして,各企業が持つ潜在的要因を考慮した混合回帰モデルを提案する.提案したモデルを就職ポータルサイト上の実データに適用し,企業の採用活動と学生の被エントリ数の関係性を解析し,その有効性を示す.
著者
Ko Sakai Yutaka Sato
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, 2018-04-15

In this paper we propose a method for constructing a Gray map for a group. In an earlier paper, we suggested a new design principle of Gray maps for groups and tried to apply it to several concrete groups. Though the trial had some success, the method is not very constructive. In this paper we try to design a more constructive method based on the semidirect-product structure of the target group.------------------------------This is a preprint of an article intended for publication Journal ofInformation Processing(JIP). This preprint should not be cited. Thisarticle should be cited as: Journal of Information Processing Vol.26(2018) (online)DOI http://dx.doi.org/10.2197/ipsjjip.26.345------------------------------