著者
平野 恭平 三井 泉 藤田 順也
出版者
日本経営学会
雑誌
日本経営学会誌 (ISSN:18820271)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.72-85, 2021 (Released:2022-12-16)
参考文献数
20

This article focuses on the foundation phase of the Faculty of Business Administration, which was established in 1949 at Kobe University. It concerns books written by Yasutaro Hirai housed in the Kobe University Library for Social Sciences and analyses the scribbles in those books, which have seemingly been read by many students. These students scribbled all over the books during the limited period from the late 1940s to the mid-1950s. It appears as though the voices of the students from that time are revived through the scribbles. These include support for and criticism of Hirai, who had advocated business administration at the university since the pre-war days, as well as criticism from the standpoint of commerce, which he often mentioned in contrast with business administration. The article attempts to approach the history of the mentalities, focusing on the students, by taking up their inner voices from the scribbles and discovering how they perceived the foundation of the new faculty and a new academic discipline (business administration) as well as the fact that the teachers had mixed feelings about this matter. In modern society, the spread of the SNS has facilitated simultaneous, two-way communication between people. However, for students at that time, library books were one of the few mediums in which they could anonymously express their opinions and ideas to members of the same organization. The books became a place for communication, where those who saw such opinions and ideas could support or argue against them. Thus, library books can be said to have functioned as an SNS. The teacher who wrote the books and the students that read his books talked to each other directly through their life at university, including lectures, thought logically and wrote down their real opinions and feelings. Their scribbles are the traces of such real opinions and feelings and can be considered an “intellectual layer of traces” that has been read and added to over time.
著者
山口 幸三 鈴木 忍 光成 豊明 大友 純 三井 泉
出版者
日本経済短期大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1987

本研究は大学・短大における講義中心の経営教育の弊害を取り除くため、コンピュ-タを技術的な基礎に置いて、マネジメント・ゲ-ムの導入による実戦的な経営活動を学生に疑似体験させるためのシステムの開発を目指したものである。マネジメント・ゲ-ムは企業の社員研修においても広く採用され、その教育的な効果が認められている。われわれが開発したものは、企業の社員研修用よりも、大学における教育用として効果のあるものである。学生は実務的知識に疎いので、その欠如を補い、さらにゲ-ム進行中にそれらの実務的知識の修得を促すようなシステムが最良と考えられるのである。当初、われわれがシステム化したマネジメント・ゲ-ムでは、審判団の行なう集計・検算作業のコンピュ-タ化を行なった。審判団の集計・検算作業がゲ-ム進行のスピ-ドアップのネックとなっていたからである。この結果、学生の意思決定作業時の指導がより密度の高いものとなった。続いて、学生の行う意決定・会計処理作業のコンピュ-タ化を目指した。ただし、この部分のコンピュ-タ化にあたっては、できる限り学生の手作業の部分を残した。全面的なコンピュ-タ化は教育効果が少ないという判断からである。したがって、審判団へのデ-タ提出にあたって審判団の作業がやりやすいようにシステム化した。この段階ではデ-タ集計はフロッピィディスクによるオンライン集計であった。そこで次に、LANシステムを用いたオンライン集計のシステムを構築することにした。しかし、パソコンのハ-ド技術的な制約からLANシステムによるゲ-ム・システムは一部しか完成せず、その全面的な構築には至らなかった。けれども、われわれは研究計画立案当初の目標を達成し、さらにその目標を上回る研究成果をあげることができた。
著者
三井 泉
出版者
関東学院大学経済経営学会
雑誌
経済系 = Kanto Gakuin journal of economics and management : 関東学院大学経済経営学会研究論集 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.282, pp.34-47, 2021-03

本稿の目的は,M.P.フォレット(Follett, 1868–1933)の思想の中でも,とくに彼女の社会プロセス論の主要概念「交織(inter-weaving)」に注目し,その現代的可能性を示すことである。フォレットがこのような概念を生み出した時期は,1918–パンデミック(スペイン風邪)がボストンを襲った時期であることにも注目したい。彼女は政治学,哲学,歴史学,心理学などの学問的蓄積の上に,長年のソーシャルワーカーとしての実践活動を通じて,個人のダイナミックな相互作用を基盤とした社会観を提唱した。本稿では,特に「経験の交織」という彼女の視点に注目し,それを我々が現在直面しているCovid-19 を乗り越えるための一つ視座として位置づけ,「インターネット社会からインターウィービング社会へ」という視点の転換を提案したい。
著者
中牧 弘允 陳 天璽 岩井 洋 澤木 聖子 澤野 雅彦 竹内 恵行 チョ 斗燮 岩井 洋 澤木 聖子 澤野 雅彦 住原 則也 竹内 惠行 曹 斗燮 出口 竜也 晨 晃 日置 弘一郎 廣山 謙介 三井 泉
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

産業と文化の相関関係を実証的に究明し、その論理の抽出をめざし、(1)環黄海経済圏の産業と都市における文化創造・文化交流、(2)世界遺産をめぐる日中ならびにスペインの産業振興と文化交流、(3)文化活動を機軸とする産業と都市の協働関係の3つの領域に分けて調査をおこなった。近年の創造都市論や創造階級などの議論に見られるような文化を重視する視点から、都市の活性化、文化産業の興隆、世界遺産の積極的活用、地域祭礼の振興などに関する貴重な知見が得られた。
著者
中牧 弘允 陳 天璽 廣瀬 浩二郎 日置 弘一郎 廣山 謙介 澤野 雅彦 三井 泉 竹内 恵行 澤木 聖子 出口 竜也 周佐 喜和 大石 徹 王 英燕 秦 兆雄 曹 斗燮 岩井 洋 市川 文彦 住原 則也 出口 正之 李 妍〓
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

上海万博のテーマに沿って、展示やイベントに見られる近未来の望ましい都市文化、都市生活のありようを研究した。追究したテーマは主に聖空間、国家、都市、企業にかかわるものであり、国威発揚、経済効果、生活様式の変化などに注目した。上海万博は、上海を「龍頭」として発展する現代中国を中心に、それをとりまく国際環境の縮図を一つの世界観として内外に提示したといえる。