著者
和崎 春日 上田 冨士子 坂井 信三 田中 重好 松田 素二 阿久津 昌三 三島 禎子 鈴木 裕之 若林 チヒロ 佐々木 重洋 田渕 六郎 松本 尚之 望月 克哉
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

「グローバル化時代における中下層アフリカ人の地球的移動と協力ネットワーク」現代社会において、グローバライゼーションを生きるのは、北側社会や特別なアフリカ人富裕層だけではなく、「普通の」アフリカ人たちが、親族ネットワーク等を駆使して、地球を広く縦横に生き抜いている姿が、本共同研究から析出された。その事実を基礎にした外交上の政策立案が必用になってくることを、本共同研究は明らかにした。
著者
三島 禎子 Teiko Mishima
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.121-157, 2002-08-20

本稿はソニンケのアジアへの移動についての報告であるとともに,フランスへの労働移動ゆえに出稼ぎ民として位置づけられてきたソニンケ移民をディアスポラの概念との比較のなかで捉えなおす試みである。 20世紀におけるソニンケの移動は,まず西アフリカの「故郷」から他のアフリカ諸国へ進み,80年代以後,アジアへ拡大した。移動は社会と家族がソニンケ男性に求める文化的な営みであると同時に,生計を立てるための経済的な活動である。また民族集団と「故郷」への強い帰属意識が基盤になっている。 内容は聞き取り調査から得られた移民の移動史の記述を中心とし,そこから移動の行程と経済的な営みの特徴を描き出している。移動先については世界経済のなかでソニンケの経済的な動きを理解することが重要であり,経済活動については帝国主義拡大期以前におけるソニンケの移動の営みとの連続性を考慮する必要がある。その作業を通じてソニンケの移動の全体像をつかむことができると思われる。
著者
和崎 春日 松田 素二 鈴木 裕之 佐々木 重洋 田渕 六郎 松本 尚之 上田 冨士子 三島 禎子 若林 チヒロ 田中 重好 嶋田 義仁
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

科研共同研究の最終年度にあたり、報告書に向けての総括的なまとめ討論をおこなった。とくに、日本における第1位人口をしめるナイジェリア人と第2位人口のガーナ人の生活動態については、この分野の熟成した研究を共同討論のなかから育てることができた。日本への来住ガーナ人のアフリカ-日本-アフリカという、今まであまり報告されていない新しい移民動態の理論化(若林ちひろ)や、日本に来住したナイジェリア人の大企業従業員になろうとするのではない、起業活動に向かう個人的・野心的なアントルプルヌーシップについての新規な理論化(川田薫)と、まったく情報のなかった、その日本における協力扶助と文化維持のアソシエーション活動の詳細な記述報告(松本尚之)、さらには、アフリカ-日本-アメリカという地球規模のネットワーク形成がナイジェリア人によってなされている動態を、アフリカ移民論のまったく新しい指摘として提示しえた。また、アフリカ人の芸能活動についても、ギニア、マリ、セネガルといった西アフリカ・グリオ音楽文化の「本場」とされる地域からの日本への来住アフリカ人の活動調査と、そのアフリカの母村での活動状況の調査の両方を行い、それをめぐる、やはり新規性に富む、日本ーアフリカ間の何層からもなる往来活動を抽出し、指摘・一般化することができた(鈴木裕之、菅野淑)。こうしたポジティブな活動側面のほかに、ネガティブなHIVをはじめとする病気の実情とそれにむけるホスト社会側からの協力の可能性についても重要な研究糸口を提案している(若林ちひろ)。1年後に『来住アフリカ人の相互扶助と日本人との共生に関する都市人類学的研究』と題して報告書を出版し、この共同研究の成果と今後の継続的発展について、アフリカ学会における集中発表でも熱い期待と高い評価を得た(2008年5月於・龍谷大学)。