著者
村山 綾 三浦 麻子
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.81-92, 2014
被引用文献数
2

本研究では,集団討議で生じる葛藤と対処行動,およびメンバーの主観的パフォーマンスの関連について検討した。4名からなる合計17集団(68名)にランダムに配置された大学生が,18分間の集団課題を遂行した。その際,討議開始前,中間,終了時に,メンバーの意見のずれから算出される実質的葛藤を測定した。また討議終了時には,中間から終了にかけて認知された2種類の葛藤の程度,および葛藤対処行動について回答を求めた。分析の結果,集団内の実質的葛藤は相互作用を通して変遷すること,また,中間時点の実質的葛藤は主観的パフォーマンスと関連が見られないものの,終了時点の葛藤の高さは主観的パフォーマンスを低下させることが示された。関係葛藤の高さと回避的対処行動は主観的パフォーマンスの低さと関連し,統合的対処行動は主観的パフォーマンスの高さと関連していた。関係葛藤と課題葛藤の交互作用効果も示され,課題葛藤の程度が低い場合は,関係葛藤が低い方が高い方よりも主観的パフォーマンスが高くなる一方で,課題葛藤の程度が高い場合にはそのような差はみられなかった。葛藤の測定時点の重要性,および多層的な検討の必要性について議論した。<br>
著者
田渕 恵 三浦 麻子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.632-638, 2014
被引用文献数
4

This study examined the effects of the reactions of younger adukts toward older adults on the psychological attributese and behavior of elderly. Participants were 34 older male adults aged 60-82 years. They completed a questionnaire on generativity before and after the experimental condition, and were also observed taking flyers on different topics after the experiment. They were assigned to the younger condition or the same generation condition. In both conditions, the participants were asked to talk to recipients about experiences from their youth and the wisdom they have gained. The recipients responded to the participants in either a positive or a neutral way. The results showed that generativity was promoted most when the younger recipients responded in a positive manner, whereas the neutral reactions of younger recipients led to the inhibition of generativity. Younger persons' positive reactions promoted the participants' helping behaviors, as indicated by the flyers they took. The present study shows increases in the generativity of the elderly following positive reactions from younger recipients not only on questionnaires but also in an experimental setting.
著者
有馬 淑子 畑谷 麻子(三浦 麻子) 行廣 隆次
出版者
京都学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究の研究組織は、京都学園大学では新しくネットワークゲームを開発して実験研究にあたり、大阪大学では既存のネットワークゲームを使用した応用研究を分担するものとして構成された。実験研究の主な目的は、仮想世界の中で相互作用を行わせるネットワークRPGの特質を生かして、新しい共有表象の形成過程を検討することであった。平成13年度はネットワークの構築と予備実験が実施された。平成14年度は本実験を行い、情報分配の初期条件とその共有過程が課題表象の形成に及ぼす影響を検討した。実験の結果、情報が早く伝達されるほど正解の認知を促進させるものの、集団の課題解決には結びつかないことが示された。また、2人条件と3人条件の集団過程には差異があり、3人条件の方が集団としての同調行動が発生しやすい傾向が見いだされた。他に、敬語や絵文字の使用傾向は集団内で同期しやすい、私的自己意識が高いほど操作しているキャラクターの外観に合わせた役割行動を取りやすい、などの結果が示された。さらに、各発話に対人関係・課題関連・場依存の3軸で重み付けを行う会話分析方法が開発して、対人認知との関連性が検討された。実験研究の成果としては、情報の共有だけでなく、場を共有しようとする集団過程が課題表象の共有に必要であることが示された。この結果は、社会的共有認知には、視覚的世界と言語的情報の双方が必要であることを示唆している。参与観察研究の結果、現実場面での社会的スキルは低いと認知していても、RPGゲーム場面では積極的に参加できた被験者が存在し、積極的に参加した被験者の自己評価は上がることが示された。この結果は、ネットワークRPGが社会的スキルトレーニングとして応用的な価値があることを示唆するものである。
著者
三浦 麻子 松村 真宏 北山 聡
出版者
The Japanese Psychological Association
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.446-452, 2008

Weblogs are one of the most popular personal websites in Japan, where entries are made in journal style and displayed in reverse chronological order. This study examined the relationship between weblog authors' target audience (i.e., orientation) and the actual situations depicted in their weblogs by combining a questionnaire survey of the authors with an analysis of their weblog content data. Based on a questionnaire survey of 736 Japanese weblog authors, their target audience was divided into four clusters: (a)general public, (b)self, (c)self and offline friends, and (d)various others. To assess the actual situations depicted in their weblogs, the amount of happy and unhappy emotional expression in their writing and the frequency of interpersonal communication (comments, bookmarks, and trackbacks) were calculated from their log data. The results suggested that weblog authors wrote different types of content and used different types of communication depending on their audience, whereas the weblog content itself still showed the diary-like characteristic of personal daily-life records.