著者
三輪 敬之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.89, no.3, pp.218-225, 2006-03-01
被引用文献数
6

地理的に離れた場所に存在している異質の人々の間に,安心感や和互信頼感が生まれる場作りを支援するためには,出会いによって「我々」という共同体意識が創出される必要がある.それには,互いの存在感を送受信し合って「共存在の場」を自己組織化し,双方で時空的な間(ま)を取り合って自己表現できる技術的方法が発見されなければならない.この問題を解決するための突破口として,ここでは「身体の影」に着目した共存在コミュニケーションシステムについて概説する.
著者
飯田 公司 板井 志郎 渡辺 貴文 三輪 敬之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.552, pp.25-30, 2008-03-15

即興劇のようなドラマ的なコミュニケーションにおいて,ストーリイが持続的に創出されていくためには観客の存在とその働きが重要な役割を果たすと考えられる.そこで本研究では遠隔地間でこれを可能とするため,共感的な観客のもとで演者が舞台としての場に位置づけられる劇場型の共存在空間の設計・開発を行うことを目的とした.その方法として先に著者らが開発した,身体の影によって遠隔地にいる相手との共存在感の創出が可能な影システム(WSCS)を適用することにした.すなわち,WSCS空間を透過型スクリーンと障子スクリーンで二つに分割し,演者と観客の影を個別に投影するとともに,両者の間で空間的な位置関係が整合的になるように表現することで演者,観客,舞台から構成される劇場型コミュニケーションシステムを考案,製作した.さらに,観客が劇場に自由に出入りできるための影表現手法についても検討し,これらをシステムに組み込んだ.以上の開発したシステムの詳細について報告する.
著者
三輪 敬之 渡辺 貴文 板井 志郎 西 洋子
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
設計工学・システム部門講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp._1302-1_-_1302-4_, 2012

We have simultaneously measured both the explicit movement of palms and the implicit movement of the whole body in the hand contact improvisation. And, we also have compared and analyzed the difference of the measurements between the time when the sympathetic embodied awareness is being generated and when it is not. We have obtained the following results from the comparison and the analysis under the condition that the self-other inseparable relationship is being created through the sympathetic embodied awareness between two persons. First, the implicit movement comes before that of the explicit. Second, the time when those movements occur corresponds between the two persons. Furthermore, chaos attractor is generated within the movements of hands, and there exists a rhythm of a cycle variation for a few to ten seconds. These results suggest that the space-time structure of the inner self changes through the bodily expression. It is expected that this will be an important clue to clarify the dynamics of "Ba" in the co-creative expression.
著者
本間 大 三輪 敬之 井口 信洋
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密機械 (ISSN:03743543)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.377-382, 1984-02-05
被引用文献数
6

This paper describes two different prototype micro manipulators which operate on the basis of the Shape Memory Effect (SME). One manipulator called "Skeleton-muscle type" is composed of aluminum pipe skeletons, bias springs and thin wire actuators of Ti-Ni shape memory alloy (50-50 at%) which contract and relux like a muscle and has 5 degrees of freedom, of which structure is suitable for a large size manipulator. The other called "Soft-body type" has simple soft and small body 20 mm in its length, made of Ti-Ni wire and silicone rubber coat for a bias spring, being capable of microminiturizing, which has 2 degrees of freedom. These manipulators are drived by pulse width electric heating of Ti-Ni alloy and program controlled using a microcomputer system. It was found in the performance tests that the "Skeleton-muscle type" performs 1 reciprocating arm motion in 3. 2 seconds and the "Soft-body type"in 17 seconds under normal condition. Both the voltage (concerning current) and duty ratio of the heating pulse increase with increasing the manipulated force, speed and variable, however they decrease as the load is increased. The Skeleton-muscle type repeats more than 104 stable movements at a temperature within Af point of Ti-Ni alloy. Key words : shape memory effect, manipulator, Ti-Ni alloy actuator, pulse heating, performance test, repeated motion, Ar point.
著者
三輪 敬之
出版者
早稲田大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

都市生活空間において人間が自然環境の様々な変化をイメージできるような環境心理情報を創出する試みの一方法として、遠隔地の樹木個体(葉、幹など)が示す生体電位変化をリアルタイムで視聴覚的に表現するディスプレイシステムを昨年度、考案開発した。本年度は交付申請書に従い、富士山麓における樹木群を対象とし、樹木間の関係性の有無とその挙動を試作した16chからなる計測システムにより調べた。結果として、樹木の生体電位変化(DC成分)は日周性が認められるものもあるが、全体的には複雑な様相を呈する。すなわち、樹木群の電位分布は同種間、異種間ともに一様ではなく、時々刻々と変化しており、動的なネットワークを形成する。これは樹木相互間における情報の生成に関係していると考えられ、コミュニケーション(情報場)の存在を示唆するものである。さらに、データ転送系を工夫することにより、数km先まで計測範囲の広域化を図り、離れた場所における樹木群の電位変化を1箇所にて収集、解析できるようにした。また、水中電極を開発し、西表島にてマングローブの生体電位変化(AC成分)を計測した。一方、デイスプレイ情報には主としてAC成分を採用したが、電位変化の周波数帯域が10Hz以下であるため、昨年度の音表現方式とは別に、本年度は0.1Hzまでの超低周波音を発生できる環境槽を製作し、生体電位変化を直接入力した時の人間の脳波を調べた。また、試作ディスプレイ装置についてSD法による心理学的評価を行った。さらに、葉群が示す多様な生体電位変化挙動をシミュレーションした光ディスプレイ装置の開発を試みた。以上、本研究では、生態系における樹木群の生体電位計測装置を試作するとともに、計測データを生活空間に伝送し、ディスプレイ装置を介して樹木と人間がコミュニケーションできるシステムの開発を行い、自然環境を導入した環境心理空間の設計指針を得た。
著者
寺田 怜史 三輪 敬之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.552, pp.63-66, 2008-03-15
参考文献数
7

体内由来の振動には,身体全体を統括するリズムといった医療やコミュニケーション支援における応用が期待できるパラメータが低周波の領域に隠れている可能性がある.従来は低周波の振動は施術者によって感覚的に捉えられていたため客観的な観察や評価はなされておらず,観察や評価を可能とするセンサーも存在していなかった.本研究では低周波の特性に優れたポリフッ化ビニリデンを素子とした小型のワイヤレスセンサーモジュールを開発し,超低周波の振動分布の観察を可能とするシステムを構築した.その結果,0.1[Hz]並びに0.01[Hz]の帯域における生体リズムの存在を確認した.
著者
三輪 敬之 上杉 繁 大崎 章弘 板井 志郎 渡辺 貴文 石引 力
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

居場所づくりの支援には, 無意識の領域にまでコミュニケーションを拡大する技術が必要になる. そこで, 身体と存在的に非分離な影が, 場の創出的メディアとして働くことを示すとともに, 影を使った二領域的通信原理を基に, 人々の間に存在的なつながりが生まれる居場所のコミュニケーション支援とそのネットワーク化に必要な基盤的技術の開発を行い, 場のコンテクストや間合いの創出に着目して, その有用性を確認した.
著者
浅野 裕紀 渡辺 貴文 上杉 繁 三輪 敬之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.60, pp.163-168, 2007-05-17

The goal of this research is to enhance a sense of existence of remote people and objects represented in a face-to-face display connection remote tabletop to local tabletop consistently with each other, which authors have proposed yet. Therefore, authors focus attention on effect of shadow which is non-separable from its entity, and devised a display system that local objects cast shadows on a local tabletop into a remote tabletop represented in the screen and remote objects cast shadows onto a local tabletop at the same moment as if people were around a common table. Consequently, the display system can express virtual shadows in two ways that a light source is installed at only one site and at both sites.
著者
川瀬 新司 大崎 章弘 金子 哲治 三輪 敬之 柴 眞理子 田中 朱美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.552, pp.21-24, 2008-03-15

リハビリ施設や精神科病院などで機能的な運動支援が行われているが持続性に問題があり,自発的な身体運動を創出する手法が求められている.そこで筆者らがこれまで開発してきた空中に3次元的に描画できる空中描画システムを,ダンスセラピーに活用することを考え,ダンス教室における鏡をイメージし,スクリーン上に使用者の姿と同時に身体の動作軌跡を合成して投影する手法を考案開発した.そして,精神科病院で行われているセラピーの現場において患者に対する効果について検証した結果,本手法が患者の身体運動を引き出す動機付けになるだけでなく,自発的に動いて表現する能動性と描線によって動きが引き出される受動性を循環させる可能性を見出した.
著者
渡辺 貴文 上杉 繁 三輪 敬之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.552, pp.59-62, 2008-03-15
被引用文献数
1

実体の道具を使用している際にあたかも身体の一部となるような現象がある。仮想道具においてもこのような関係を強める方法へむけて,本研究では仮想道具の使用時における身体のダイナミクスを調べる手法について取り組んだ.そこで身体における微細な力みなどの挙動が反映される筋電位に着目し,仮想道具使用中の筋電位を動作と同時に計測するシステムを開発した.実験の結果,身体の動きに先立って立ち上がる電気力学的遅延や,異なる道具表現における筋電位波形の違いを確認した。