著者
日野 愛郎 粕谷 祐子 西川 賢 MCELWAIN KENNETH FAHEY ROBERT・ANDREW 渡辺 耕平 SONG JAEHYUN 三輪 洋文
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

近年、反エスタブリッシュメントを掲げて登場したポピュリストが政権に就く事例が増えている。このような「ポピュリストの体制化」とでも呼ぶべき逆説的な展開を踏まえて、本研究は、既存のポピュリスト態度の指標を改善し、新たな指標を検討する。体制化したポピュリストは、マス・メディア、学者、官僚、財界人などのいわゆる非政治的エリート(non-political elite)を批判して反エリート感情を煽り、庶民からの支持を調達する。本研究は、非政治的エリートの項目を含む新たなポピュリスト態度の指標を考案することにより、ポピュリストが体制化した国においても、正確にポピュリスト態度を測定することを目指す。
著者
三輪 洋文
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.41-56, 2017 (Released:2020-03-01)
参考文献数
49

本稿は,Twitterのデータを用いて日本の政治家・言論人・政党・メディアのイデオロギー位置を推定する。政治家等のイデオロギー位置は様々な方法で推定されてきたが,Twitterのデータによる方法には,地方政治家や言論人のイデオロギー位置を推定できるなど多くのメリットがある。採用する統計モデルは,一般のTwitterユーザーが自分自身と似たイデオロギー位置の政治家等のアカウントをフォローすることを好むと仮定し,一般ユーザーが政治家等のアカウントをフォローしているか否かのデータを使って,両者の理想点を推定するものである。衆議院議員70人,参議院議員46人,政党など10団体・機関,新聞社6社,地方政治家・元政治家39人,言論人41人のイデオロギー位置を推定した。本稿の方法で推定された国会議員の位置を政治家調査データから推定した位置と比較すると高い相関を記録したことから,妥当な推定が行われたと評価できる。
著者
尾野 嘉邦 石綿 はる美 三輪 洋文 横山 智哉 中村 航洋 松林 哲也 粕谷 祐子 木村 泰知 河村 和徳
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究の目的は、人々のジェンダーバイアスとその政治的影響を包括的に検証し、「指導的地位」に占める者の間に大きな男女格差が生じる要因と解決策を明らかにすることである。それにより、政治や社会において男女共同参画をさらに進めるだけでなく、男女それぞれが個人として、多様な選択やキャリアの実現を可能とするための方策を考える。そのために、①議事録などのテキストデータを機械学習によって分析するテキストマイニング、②サーベイ実験などの実験的手法により因果関係の解明を目指す行動実験、③世界各国の専門家を対象とした大規模なサーベイによる国際比較調査、という複数の手法を用いて、学際的かつ国際的に研究を行う。
著者
三輪 洋文 境家 史郎
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.1_34-1_57, 2020 (Released:2021-06-16)
参考文献数
17

本研究は、戦後に主要7調査機関が実施した憲法に関する世論調査の結果を包括的に分析することで、戦後日本人の憲法意識の変遷を追うことを目的とする。動的線形モデルを応用した世論調査集積法を用いることによって、質問内容やワーディングの違い、調査機関・調査方法ごとの傾向、標本誤差を考慮した上で、憲法改正に対する潜在的な賛成・反対率を推定できる。推定結果からは、有権者の認識において1950年代には憲法改正が全面改憲を意味したのに対して、1960~80年代にかけて争点が9条改正に収斂していったこと、1990~2000年代には9条以外の論点が明確に意識されるようになったこと、小泉政権後は焦点が再び9条問題に絞られつつあることが読み取れる。さらに、質問内容やワーディングに関する分析結果からは、一般的に9条の改正が2項の改正として有権者に認識されていることや、戦争を連想させることが9条改正の反対率を高めることなどが示唆される。
著者
杉山 佳奈美 久保山 哲二 三輪 洋文 宇野 毅明
雑誌
じんもんこん2022論文集
巻号頁・発行日
vol.2022, pp.289-294, 2022-12-02

選挙公報のテキストデータに対して文書クラスタリングを適用した. クラスタリング手法には、 文書間類似度により形成されるネットワーク構造から密な部分構造を抽出するマイクロクラスタリン グと、代表的なトピックモデルである LDAの2種類を利用した. クラスタリング結果を比較したとこ ろ, マイクロクラスタリングではトピックの解釈が容易な解像度が高いクラスタ, 特に政党に関して より類似度が高いクラスタが多数得られることが示された. さらにマイクロクラスタリングで抽出さ れた文書クラスタを元に回帰分析を行い, 個人票志向の候補者の傾向を解析した. その結果, LDA を 用いた先行研究にあった人手によるトピック解釈の過程を経ることなく, 選挙制度改革前後の変化や 政党ごとの特色について先行研究の主張を支持する結果が得られた.