著者
日野 愛郎 粕谷 祐子 西川 賢 MCELWAIN KENNETH FAHEY ROBERT・ANDREW 渡辺 耕平 SONG JAEHYUN 三輪 洋文
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

近年、反エスタブリッシュメントを掲げて登場したポピュリストが政権に就く事例が増えている。このような「ポピュリストの体制化」とでも呼ぶべき逆説的な展開を踏まえて、本研究は、既存のポピュリスト態度の指標を改善し、新たな指標を検討する。体制化したポピュリストは、マス・メディア、学者、官僚、財界人などのいわゆる非政治的エリート(non-political elite)を批判して反エリート感情を煽り、庶民からの支持を調達する。本研究は、非政治的エリートの項目を含む新たなポピュリスト態度の指標を考案することにより、ポピュリストが体制化した国においても、正確にポピュリスト態度を測定することを目指す。
著者
今井 亮佑 日野 愛郎
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.5-19, 2012 (Released:2017-08-04)
参考文献数
14

本稿は,日本の参院選の選挙サイクルが総選挙のそれと異なる点に着目し,「二次的選挙」(second-order election)モデルの視点から,参院選における投票行動について検討するものである。欧州の選挙研究は,欧州議会選挙や地方選挙等のいわゆる「二次的選挙」において,その時々の政権の業績が問われ,与党が敗れる傾向があることを示してきた。本稿では,2009年総選挙,2010年参院選前後に行った世論調査(Waseda-CASI & PAPI 2009,Waseda-CASI 2010)をもとに,政権の業績に対する評価が投票行動に及ぼす影響を探った。その結果,業績評価の影響は,「一次的選挙」(総選挙)と「二次的選挙」(参院選)の重要性に関する有権者の主観的評価によって異なることが明らかになった。
著者
日野 愛郎 山崎 新 遠藤 晶久
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.31-43, 2014 (Released:2018-01-05)
参考文献数
23

本稿は,人々が世論調査に回答する際に視覚的情報によってどのような影響を受けるのかという疑問を解明することを試みる。具体的には,順序効果,特に先に提示される選択肢が回答されやすくなるとされる初頭効果が生じる条件を検討し,アイトラッカー(視線測定器)を用いて回答者の視線を観察することを通して検証する。選択肢の提示順序を含む調査回答データとアイトラッカーから得られる視線追跡データの双方を分析した結果,回答者にとって事前知識があり選択肢が対立項目から構成される政党支持の質問においては初頭効果が生じない傾向にあることが明らかになった。一方,一般的に事前知識がなく選択肢がいずれも望ましい合意項目から構成される価値観を測定する質問においては,初頭効果が生じやすいことが確認された。以上の結果は,質問の内容によって順序効果の発生メカニズムが異なるとする本稿の仮説を首肯するものであった。
著者
日野 愛郎 新川 匠郎 藤田 泰昌 網谷 龍介 粕谷 祐子 上谷 直克 木寺 元 岡田 勇
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2023-06-30

本研究は質的比較分析(Qualitative Comparative Analysis)の開発、比較検討、実践を共創的に展開し、政治学の更なる発展に道筋を付ける。QCAは複数条件の組み合わせを網羅的に扱い、必要条件性や十分条件性をブール代数や集合論を基に把握する。本研究は(1)政治学が強い関心を払う歴史的・時間的な変動を分析可能とするTime-differencing QCAの方法を開発し、(2)先行研究のデータ分析を再現する中で、結果を規定する原因の「条件性」を他の手法と比較検討してQCAの独自性を明確にし、(3)比較政治、国際関係、行政学の各領域での実践を基に分析のガイドラインを作成する。
著者
日野 愛郎 西川 賢 MCELWAIN KENNETH FAHEY ROBERT・ANDREW 劉 凌
出版者
早稲田大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2020-10-27

本研究は、ポピュリズムの国際比較研究プロジェクトにおいて空白国となっている日本の基礎データを構築して広く公共財として提供すると同時に、他国と比較してなぜ日本においてポピュリズムが不在(と言われる)かという問いに一定の答えを提示することを試みるものである。ポピュリズム研究の第一人者であるCas Mudde氏と協働しながら、日本型ポピュリズムの独自の視点を提起するとともに、政治家・政党のメッセージの内容分析やソーシャル・メディアのテキスト分析の統合データを国際基準に準拠・発展させて整備することを目指す。
著者
田中 愛治 河野 勝 清水 和巳 山田 真裕 渡部 幹 西澤 由隆 栗山 浩一 久米 郁男 西澤 由隆 長谷川 真理子 船木 由喜彦 品田 裕 栗山 浩一 福元 健太郎 今井 亮佑 日野 愛郎 飯田 健
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、全国の有権者から無作為抽出した対象者(サンプル)に対し、ノート・パソコンを用いた世論調査(CASI方式)を日本で初めて実施した。さらに、ノート・パソコンによるCASI調査に、認知心理学的視点を加えた政治経済学実験の要素を組み込み、実験を導入した世界初のCASI方式全国世論調査に成功した。これにより、政治変動をもたらす日本人の意志決定のメカニズムの解明を可能にし得る新たな研究を踏み出した。
著者
田中 愛治 日野 愛郎
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.201-224, 2015

政治学におけるCAI調査は,とりわけ選挙調査の文脈で発展してきた.本稿は,選挙調査におけるCASI調査の取り組みを概観し,CASI調査には,集計の迅速さ,設問や選択肢のランダム化,回答に応じた質問内容のカスタマイズ,回答時間の測定,画像や動画を用いた調査実験の実装,社会的望ましさバイアスの軽減,代表性の担保という7点のメリットがあることを論じる.一方,コストの高さや回収率の低さといったデメリットがあることも指摘する.その上で,回収率の低さというデメリットは代表性を損なうことにつながるのか,そして,CASI調査は,社会的望ましさバイアスを軽減するというメリットをどの程度活かしているのかを,過去に実施された選挙後の世論調査と公式発表されている選挙結果を比較して検証した.その結果,回収率の高低は,必ずしも投票率の乖離(回答データにおける投票率と実際の投票率の差)や得票率の乖離(回答データにおける各党の得票率と実際の各党の得票率の差)に結び付いていないことが明らかになった.一方,CASI調査は,投票率,得票率のいずれにおいても最も選挙結果との乖離が小さい調査モードであることが明らかになった.ただ,コストの高さという課題は残っている.
著者
今井 亮佑 日野 愛郎
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.5-19, 2012

本稿は,日本の参院選の選挙サイクルが総選挙のそれと異なる点に着目し,「二次的選挙」(second-order election)モデルの視点から,参院選における投票行動について検討するものである。欧州の選挙研究は,欧州議会選挙や地方選挙等のいわゆる「二次的選挙」において,その時々の政権の業績が問われ,与党が敗れる傾向があることを示してきた。本稿では,2009年総選挙,2010年参院選前後に行った世論調査(Waseda-CASI & PAPI 2009,Waseda-CASI 2010)をもとに,政権の業績に対する評価が投票行動に及ぼす影響を探った。その結果,業績評価の影響は,「一次的選挙」(総選挙)と「二次的選挙」(参院選)の重要性に関する有権者の主観的評価によって異なることが明らかになった。
著者
田中 愛治 川出 良枝 古城 佳子 西澤 由隆 齋藤 純一 吉川 徹 小西 秀樹 船木 由喜彦 今井 亮佑 品田 裕 飯田 健 井柳 美紀 遠藤 晶久 清水 和巳 Jou Willy 千葉 涼 日野 愛郎 三村 憲弘 村上 剛 山崎 新 横山 智哉 加藤 言人 小川 寛貴 坂井 亮太 中西 俊夫 劉 凌
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2013-05-31

熟慮を経てから市民のニーズを測定するCASI調査と、熟議を通して市民のニーズを探るミニ・パブリックスを比較分析すると、熟議に基づくミニ・パブリックスよりも、熟慮に基づくCASI調査の方がサンプルの代表性は高く、実施のコストが低い点では好ましい。しかし、本プロジェクトの実験・調査を通して、熟慮だけでは難しいが、熟議を通してこそ達成できる効果もあることが分かった。例えば、事実に対する思い込みの是正においては、熟慮ではなく、熟議の効果が確認できた。したがって、CASI調査(熟慮)とミニ・パブリックス(熟議)のどちらにも利点があることが明らかになり、一概に両者の優劣をつけることはできないといえる。
著者
日野 愛郎
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、政党マニフェストを時系列に収集・テキスト化することにより、様々なコーディング方法を用いて政党の政策位置を推定することを試みるものである。政党マニフェストは、政党の政策やイデオロギー的な立ち位置を知る上で重要な資料となる。本研究は、過去の政党マニフェストのテキストをデータベース化することにより、ヒューマン・コーディングとコンピュータ・コーディングの両面から発展的な分析を行うことを目指す。