著者
榎戸 輝揚 和田 有希 古田 禄大 湯浅 孝行 中澤 知洋 中野 俊男 土屋 晴文 鴨川 仁 米徳 大輔 澤野 達哉
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

日本海沿岸の冬季雷雲からは 10 MeV に達するガンマ線が観測されてきた(Torii et al., 2002, Tsuchiya & Enoto et al., 2007)。これは、雷雲内の強電場により電子が相対論的な領域まで加速され放射される制動放射ガンマ線と考えられている。これまでの観測では単地点が多く、現象の生成・成長・消失の追跡は難しかった。そこで我々は、雷雲の流れに沿ってマッピング観測を行うことで、放射の始まりと終わりを確実に捉え、ガンマ線強度やスペクトル変化を測定し、雷雲内で生じる物理現象の全貌を明らかにすることを狙っている。2016年度は、小型コンピュータ Raspberry Pi で読み出せる小型で安価な FPGA/ADC ボードの開発と BGO シンチレータの主検出部や専用読み出し回路基板を組み合わせて標準観測モジュールを作成し、石川県の高校や大学の屋上に設置して観測を開始した(和田ほか JpGU M-IS18 の発表を参照)。2016年12月8日から9日にかけて、金沢-小松の4地点で雷雲ガンマ線を検出したのを皮切りに、複数のイベントを捉えている。本講演では、私たちが進めている多地点ガンマ線観測の現状と、今後、そこからアプローチできる雷雲内の物理現象の理解について紹介したい。
著者
榎戸 輝揚 湯浅 孝行 和田 有希 中澤 知洋 土屋 晴文 中野 俊男 米徳 大輔 澤野 達哉
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

日本海沿岸の冬季雷雲から 10 MeV に達するガンマ線が地上に放射されていることが観測的に知られており(Torii et al., 2002, Tsuchiya & Enoto et al., 2007)、雷雲内の強電場により電子が相対論的な領域まで加速されていると考えられている。これまでの観測では単地点の観測が多く、電子加速域の生成・成長・消失を追跡を追うことは難しかった。そこで我々は、雷雲の流れにそって複数の観測点を設けたマッピング観測を行うことで、放射の始まりと終わりを確実に捉え、ガンマ線強度やスペクトル変化を測定し、加速現象の全貌を明らかにすることを狙っている。冬季雷雲の平均的な移動速度は ∼500 m/ 分で、単点観測で数分にわたりガンマ線増大が検出されるため、およそ数 km 間隔で約 20 個ほどの観測サイトを設けることを考えている。そこで、CsI や BGO シンチレータ、プラスチックシンチレータと独自に開発した回路基板、小型のコンピュータ Raspberry Pi を組み合わせ、30 cm 立方ほどの可搬型の放射線検出器を開発し、金沢大学と金沢大学附属高校に設置して観測を開始した。個々の放射線イベントの到来時間とエネルギー、温度などの環境情報を収集してる。今後、観測地点を増やして、マッピング観測を行いたい。なお、本プロジェクトは、民間の学術系クラウドファンディングからの寄付金によるサポートも得ておこなわれた。
著者
滝沢 元和 中澤 知洋 北山 哲
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

X線と電波観測により銀河団電波レリックでの粒子加速過程とその物理状態を解明し、理論モデルの構築を行った。特にtoothbrush電波レリックでの粒子加速過程が単純な衝撃波統計加速では説明のつかないことを明らかにした。ALMAを用いて5秒角というこれまでにない空間分解能のSZ効果観測をおこない、RX J1347.5-1145銀河団の超高温成分がX線ピークと異なる場所にあることを明確に示した。低周波電波での宇宙磁場研究についてPASJ誌の招待レビュー論文に対して、銀河団のパートなどに分担執筆者として貢献をした。
著者
古田 禄大 the GROWTH collaboration 楳本 大悟 中澤 知洋 奥田 和史 和田 有希 榎戸 輝揚 湯浅 孝行 土屋 晴文 牧島 一夫
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.72, pp.500, 2017

<p>我々は雷雲内の粒子加速機構の解明を目指し,新潟県柏崎刈羽原発内で雷雲由来ガンマ線の測定を継続している。2014–15年冬には約100秒間に10万カウント前後という高統計のガンマ線増大現象が複数観測され,地上に届くガンマ線放射の広がりの大きさや形状が判明した。本講演ではモンテカルロシミュレーションを用いて,電場加速された電子が地上にもたらす制動放射ガンマ線の分布をモデル化し,実データと比較することで,加速現場の高度や加速方向の広がりを推定する。</p>
著者
中澤 知洋 森 浩二 村上 弘志 久保田 あや 寺田 幸功 谷津 陽一 馬場 彩 幸村 孝由 内山 泰伸 斉藤 新也 北山 哲 高橋 忠幸 渡辺 伸 中島 真也 萩野 浩一 松本 浩典 古澤 彰浩 鶴 剛 上田 佳宏 田中 孝明 内田 裕之 武田 彩希 常深 博 中嶋 大 信川 正順 太田 直美 粟木 久光 寺島 雄一 深沢 泰司 高橋 弘充 大野 雅功 岡島 崇 山口 弘悦 森 英之 小高 裕和 他FORCE WG
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集 72.1 (ISSN:21890803)
巻号頁・発行日
pp.508, 2017 (Released:2018-04-19)

NGHXTあらため、FORCE衛星は1-80 keVの広帯域X線を高感度で撮像分光し、まだ見ぬ隠されたブラックホールや超新星残骸のフィラメントでの粒子加速の探査を目指している。2016年に変更した計画の内容、検出器および望遠鏡の開発状況、およびサイエンス検討の進捗を報告する。
著者
牧島 一夫 中澤 知洋 平賀 純子 稲田 直久 国分 紀秀 児玉 忠恭 松下 恭子 国分 紀秀 川原田 円 児玉 忠恭 松下 恭子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、「銀河が銀河団プラズマ中を運動するさい、両者は強く相互作用し、銀河のエネルギーがプラズマへ受け渡され、銀河は落下するはず」という仮説を検証することである。X線衛星「すざく」などで観測を行なった結果、銀河団の中心では大規模な磁気構造が存在し、条件によりプラズマ加熱が起きていることを発見した。また可視光データとの比較により、宇宙年齢かけて実際に銀河が中心に落下してきた徴候も得た。
著者
国分 紀秀 中澤 知洋 渡辺 伸
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

ガンマ線を用いた天体観測における観測限界感度を大幅に引き上げ、新世代のラインガンマ線天文学を開拓するため、ガンマ線を集光することが可能なガンマ線レンズの開発と、集光したガンマ線を高感度で観測する検出器の開発を行った。ガンマ線レンズの試作機を用いた基礎特性の測定と、人工衛星搭載用焦点面検出器のプロトタイプの開発を行い、性能実証を行うことが出来た。