著者
中山 雅茂 境 智洋
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.180-186, 2019 (Released:2019-07-05)
参考文献数
29
被引用文献数
1

This research focuses on an experiment in boiling water in grade 4 Japanese elementary school science class. A questionnaire answered by 111 Japanese school teachers revealed that only few teachers understood that the cooler air around the thermometer prevents it from reaching the exact boiling point of water. Teachers want the children to obtain the boiling point of water at 100°C, yet in actual experiments it is difficult to measure it precisely. In order to avoid this situation in the classroom, it is necessary for the teacher to understand the characteristics of and master the rod thermometer.
著者
中山 雅茂
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.533-542, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
27

小学校理科第4学年で学習する「水の三態変化」では,水を加熱する実験を行い,水は温度によって水蒸気に変わることを捉える。実際に水を加熱しその温度変化を捉え記録する実験を通して,水の温度と状態の変化を関係付けることによって水の性質を理解する。水の沸点は気圧や不純物の混入によって変化するが,広く一般的に100°Cという値で捉えられている。一方,教科書で紹介される実験方法の中でも,水を入れる容器としてビーカーを使用した場合は,この温度が97~98°Cになることが示されている。これは,使用する棒温度計の仕様上の問題によるが,十分に小学校教員には理解されていない状況にある。そこで本研究では,このビーカーと棒温度計を使った実験について,棒温度計の仕様上の特性を踏まえ次の2点の改善を行い,実際に小学校における授業実践を通して児童実験で100±1°Cの測定結果が得られることを確認した。1)ビーカーをアルミニウム箔の蓋で覆う際,あらかじめ棒温度計の太さよりも大きな穴をアルミニウム箔にあける。2)測定範囲0~200°Cの棒温度計を使用する。また,授業実践の際に,実験によって温められた空気が実験室にある換気口から廊下に流れ出したことに起因すると考えられる実験室内の空気の流れによって,換気口近くの実験台で実施した実験が空調環境の影響を受けている可能性が示唆された。
著者
中山 雅茂
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.17-20, 2017

<p>先に開発した「月の満ち欠け再現ボックス」は,ライトの光によって照らされた発泡球が,新月,三日月,上弦の月,満月,下弦の月に関して,明瞭にその形を確認することができている.しかし,太陽と月の位置関係を連続的に変化させ場合,ライトの光によって照らされた部分が不明瞭になる部分があった.その原因であるプラスチックコップの切断面の存在をなくすための改良を行った.その結果,太陽と月の位置関係を連続的に変化させながら確認することが可能になった.</p>
著者
中山 雅茂
出版者
北海道教育大学
雑誌
北海道教育大学紀要. 教育科学編 (ISSN:13442554)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.199-205, 2020-02

月の満ち欠けに関する学習は小学校第6学年と中学校第3学年で扱われ,小学校では地球視点,中学校では宇宙視点で月と太陽,地球の位置の違いと月の満ち欠けの関係を学習する。本報は,月の満ち欠けのモデル実験において,地球視点から宇宙視点への視点移動を容易にすることを目的として開発した実験装置を詳細に報告する。一つの実験装置で,地球視点と宇宙視点について同時に学習できる実験装置であり,中学校の学習において地球視点と宇宙視点での思考を支援する教材として提案する。また,日食・月食・金星の満ち欠けの実験も行える実験装置としての使用方法を示すことで,中学校で扱う月と金星の満ち欠けの学習全体で活用できる実験装置として提案する。
著者
西尾 文彦 近藤 昭彦 中山 雅茂
出版者
千葉大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

寒冷な大気状態で降る雨や霧雨(着氷性降水)が付着凍結する雨氷現象は、森林被害や構造物・送電設備の倒壊被害を発生させる。本研究では、日本における着氷性降水の気象学的および気候学的な特徴の解明を目的として、(1)気候学的な特徴の把握(総観規模の特徴)、(2)発生条件の形成過程の解明(局地規模の特徴)、(3)大気の熱力学的構造の解析(雲物理規模の特徴)の観点から解析と研究を行った。そして、着氷性降水の発生予測手法を提案し、地上降水種(降雪・雨氷・凍雨・雨等)の地域分布の予測手法の可能性を示した。(1)では、中部地方以北の内陸山間部と関東地方以北の太平洋側平野部で着氷性降水の発生率が高く、着氷性降水の発生に関する季節変化と経年変化、地上気圧配置の特徴について示した。(2)では局地解析より、内陸山間部では盆地地形による寒気滞留が発生気象条件の形成に寄与し弱風下で発生し、太平洋側平野部では内陸からの局地的な寒気移流が関与して風を伴って発生するのが特徴である。この違いにより、太平洋側平野部では雨氷表面における負の熱フラックスが大きく、雨氷が発達しやすい大気状態にある。(3)では、熱力学的な理論計算により降雪粒子の融解条件と雨滴の凍結条件を求め、これと地上の露点温度の条件から着氷性降水の発生を予測する方法を提案した。推定された地上降水種の地域分布は、関東平野の事例における実際の降水種の地域分布に良く一致した。本研究では、着氷性降水の現象解明から発展して予測手法へ導く極めて独創性のある研究成果であると考えています。