著者
岡 真理 宮下 遼 山本 薫 石川 清子 藤元 優子 福田 義昭 鵜戸 聡 田浪 亜央江 中村 菜穂 前田 君江 鈴木 珠里 石井 啓一郎 徳原 靖浩 細田 和江 磯部 加代子 岡崎 弘樹 鈴木 克己 栗原 俊秀 竹田 敏之
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

アラビア語、ペルシア語、トルコ語、ヘブライ語など中東の諸言語で、中東地域で生産される作品のみならず、中東に歴史的出自を持つ者によって、欧米など地理的中東世界を超えた地域で、英語、仏語、独語、伊語などの西洋の諸言語で生み出される作品をも対象に、文学や映画などさまざまなテクストに現れた「ワタン(祖国)」表象の超域的な分析を通して、「ワタン」を軸に、近現代中東世界の社会的・歴史的ありようとそのダイナミズムの一端と、国民国家や言語文化の境界を越えた共通性および各国・各地域の固有性を明らかにすると同時に、近現代中東の人々の経験を、人間にとって祖国とは何かという普遍的問いに対する一つの応答として提示した。
著者
中村 菜穂
出版者
大東文化大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2015

<研究目的>本研究は、文学テキストおよび視覚資料を用いたペルシア語教授法の研究を目的として行われた。特に大学の語学教育が置かれた現状に鑑み、学習者の意欲向上および教育内容の充実化を図ることを目的とした。<研究方法>上述の目的のため、本研究はペルシア語によって構築されたイランの文化に着目し、文学テキストや視覚資料を語学教育に活用するための調査研究を行った。第一に、既存のペルシア語教材および語学関連書籍を国内外で収集し、比較分析を行った。それらの分析をもとに、教材サンプルの作成、および文学・文化を中心とするペルシア語教授法の開発に取組んだ。また写真や映像等視覚資料の収集を行い、授業において活用した。<研究成果>本研究の取組みにより、授業内では学習者の意欲を一定程度向上させることができた。特に、イランの文学および文化に関する書籍や映像資料を用いることで、当該地域の言語文化についての学習者の知識と関心の幅を広げることができた。それとともに、多様な教材・教授法の比較検討から、主にペルシア語学に関する、現時点で未解決の問題も明らかになった。これらの成果および今後の課題について、2016年3月6-7日にテヘランで行われた国際会議に出席して報告を行った。その後、現地で得られた知見を含め、2016年3月26-27日に大阪大学で開催されたイラン研究会において本研究の成果報告を行った。特に上記の国際会議で、ペルシア語学そのものに関して、イラン本国での最新の議論に触れることができた点、またペルシア語教育が抱える問題点について参加各国の教育者と情報交換ができた点は、当初の計画に含まれていなかったものの、ペルシア語教育の世界的な動向や水準を知るうえで、大きな収穫であった。また国内の研究会においてもペルシア語教育の今後のあり方をめぐって活発な議論が行われた。