著者
中野 敦行 山口 昌樹
出版者
日本バイオフィードバック学会
雑誌
バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.3-9, 2011-04-25 (Released:2017-05-23)
被引用文献数
15

唾液アミラーゼ活性(SAA)は,血漿ノルエピネフリン濃度と相関が高いことが良く知られており,ストレス評価における交感神経の指標として利用されている.ストレス研究への利用を目的として,本研究者らは携帯型の唾液アミラーゼモニターを実用化した.このバイオセンサは,使い捨て式のテストストリップと,唾液転写機構を備えた本体(130×87×40mm^3;190g)で構成されている.分析時間は1分ほどで,迅速なSAAの分析が可能である.本論文は,ストレッサーと唾液アミラーゼの変化量の関連性を定量的に示すことで,エビデンスの構築に資することを目的としている.今まで報告されてきた事例研究のデータを用い,ストレッサーを精神的なストレッサー,精神的・肉体的双方のストレッサー(心身ストレッサー),肉体的なストレッサーに分類した.ストレッサーに起因する唾液アミラーゼ活性の変化量を算出し,ストレッサーの種類で比較した.唾液アミラーゼは,その感度が鋭敏なことから,快・不快の判別が可能であることが示された.特に,急性のストレス評価に有効であると考えられた.このバイオセンサは,測定自体がストレスとなることなく,非侵襲,即時,随時,簡便なストレス計測手法として有効である.
著者
中野 敦之
出版者
横浜国立大学技術マネジメント研究学会
雑誌
技術マネジメント研究 (ISSN:13473042)
巻号頁・発行日
no.8, pp.11-20, 2009-03

本論で行われているのは、唐十郎とスタニスラフスキーの比較研究である。まず、本来であれば反新劇のシンボルとして知られる唐十郎と、新劇の源流として知られるスタニスラフスキーを比較検討することで、両者に共通する演劇美学を明らかにすること。これが本論の一番目の目的である。その際具体的には、唐十郎研究を通して得た視点を通して、スタニスラフスキーの主著である『芸術におけるわが生涯』『俳優修行』が読み直される。また、両者の演劇活動に共通する左翼運動との関連に注目し、そこで行われた熱狂的な演劇を"演劇以上の演劇"と呼んで分析を行うことで、閉塞する日本の演劇状況を打破するためのヒントを得ようというのが、本論の二番目の目的である。The main issue is to compare Kara Juro with Stanislavsky. First of all, the beauty of the drama in common will be cleared to compare Kara Juro who is known as the symbol of anti-Shingeki, with Stanislavsky who is know as the headwaters of the new drama. Through the study of Kara Juro, it is read "Art of My Life" and "An Actor Prepares" of Stanislavsky. Also this issue remarks the connection of the left wing in common of the drama activities of Kara Juro and Stanislavsky. It will be cleared that the enthusiastic drama defeats the circumstance of the Japanese dramas through it analyses the drama activities over the drama.
著者
中野 敦行 山口 昌樹
出版者
日本バイオフィードバック学会
雑誌
バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.3-9, 2011-04-25
被引用文献数
1

唾液アミラーゼ活性(SAA)は,血漿ノルエピネフリン濃度と相関が高いことが良く知られており,ストレス評価における交感神経の指標として利用されている.ストレス研究への利用を目的として,本研究者らは携帯型の唾液アミラーゼモニターを実用化した.このバイオセンサは,使い捨て式のテストストリップと,唾液転写機構を備えた本体(130×87×40mm^3;190g)で構成されている.分析時間は1分ほどで,迅速なSAAの分析が可能である.本論文は,ストレッサーと唾液アミラーゼの変化量の関連性を定量的に示すことで,エビデンスの構築に資することを目的としている.今まで報告されてきた事例研究のデータを用い,ストレッサーを精神的なストレッサー,精神的・肉体的双方のストレッサー(心身ストレッサー),肉体的なストレッサーに分類した.ストレッサーに起因する唾液アミラーゼ活性の変化量を算出し,ストレッサーの種類で比較した.唾液アミラーゼは,その感度が鋭敏なことから,快・不快の判別が可能であることが示された.特に,急性のストレス評価に有効であると考えられた.このバイオセンサは,測定自体がストレスとなることなく,非侵襲,即時,随時,簡便なストレス計測手法として有効である.
著者
野間田 佑也 中野 敦 星野 准一
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.55-64, 2008 (Released:2008-07-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1

イベントデータを時系列に配列したタイムラインは,時間的な関係性を提示する手法として広く利用されている.人物の経歴や物事の歴史などを調べる際には,ある特定のタイムラインだけではなく,その他のタイムラインに含まれる出来事との関連性も理解することが重要となる.しかしながら,テキストベースの異なるタイムラインを比較参照し,出来事の時間的な位置関係を理解しながら,出来事間の関連性を理解することは困難である.そこで本稿では,情報視覚化によって複数のタイムラインの関連性の理解を支援するシステムVISTORYを提案する.提案システムでは,複数のタイムラインと相互関連性の視覚的なオーバービューをユーザに提示することにより複雑な関連性の理解を助ける.本稿では,提案したシステムを被験者に利用してもらい,その様子の観察と実験後のアンケートに基づき,提案システムの有用性の評価を行った.
著者
中野 敦 河村 仁 三浦 枝里子 星野 准一
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.145-153, 2007 (Released:2008-05-27)
参考文献数
15
被引用文献数
2 6

近年,能動的に行動するキャラクタの生き生きとした反応を見て楽しむインタラクティブな創発型コンテンツが見られるようになってきた.これらのコンテンツでは,ユーザが仮想世界に干渉すると,それをキャラクタが知覚して反応する様子が見られる.しかし,その反応したキャラクタがさらに他のキャラクタの行動に影響を与えて新たな話に展開するといった現実世界では容易に起こりえる連鎖的なエピソードの発生はあまり見られない.このような連鎖的なエピソードを能動的に行動するキャラクタによって生じさせることができれば,より創発性の高いコンテンツとなることに加えて,ユーザは仮想世界のキャラクタがより生き生きと行動していると思えるようになり,コンテンツへの没入感を高められるはずである.そこで我々は,ストーリーの断片であるエピソードを階層的なAND/ORの達成条件を持つツリー構造のイベントの流れ(エピソードツリー)として表現し,連鎖的なエピソードを生じる創発的なストーリーを生成するための手法を提案する.提案手法では,キャラクタがユーザからの干渉を知覚しながら複数のエピソードツリーから現在の状況に適していて,かつ優先度の高いイベントを動的に選択し,実行していくことによって,多数のエピソードが連結されたストーリーやエピソード内にその他のエピソードが途中挿入されたストーリー,そして複数のキャラクタが同時に異なるエピソードツリーを実行していくことによって並列的にエピソードが進行するストーリーを生成する.実験として,ユーザがオブジェクトを仮想世界へ追加したり,仮想世界のオブジェクトに触れたりすることで,多様なエピソードの連鎖を鑑賞できるゲームコンテンツ(Spilant World)を制作した.このコンテンツを通して手法の有効性について評価を行った.
著者
中野 敦 塩入 健太 星野 准一
雑誌
情報処理学会研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.59(2005-EC-001), pp.61-66, 2005-06-04

近年,CGキャラクタとの対話によってストーリーの進行するコンテンツが数多く見られるようになった.そのためCGキャラクタの表現力を向上することは,これらのコンテンツに没入するための重要な要素となっている.従来の対話型コンテンツでは,CGキャラクタは台詞に対応付けられた振る舞いを行っており,同じ台詞に対して同じ動きを繰り返すといった動きの単調さが見られた.そのため内面に存在するはずの心理状態を感じられない無機質な印象を利用者に与えてしまうという問題がある.そこで本研究では会話内容を補足するジェスチャに加えて,心理状態を表現する姿勢やしぐさを動的に複合することで心理状態を表現した振る舞いを生成する.この技術によって表現豊かな振る舞いを生成した結果を心理コミュニケーションゲームという対話型コンテンツ上で示す.
著者
中野 敦行 長山 優 山口 昌樹
出版者
ライフサポート学会
雑誌
ライフサポート (ISSN:13419455)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.63-67, 2013-08-10 (Released:2014-10-22)
参考文献数
20

The purpose of this research is to demonstrate the influence of odor to physiological reaction when a subject’s experience is taken into consideration as a factor. Ten normal Japanese adult male (22.1 ± 1.1 years, mean ± SD) were enrolled. A mixture of spices including coriander, fenugreek, and cumin by the same ratio was used as the standard sample. Commercially available curry powder was used as the excellent sample. Three salivary biomarkers such as amylase, orexin, and β-endorphin were measured during baseline, inhalation and post-inhalation periods. Our results indicated that (i) change of the salivary orexin levels by inhalarion of spice was agreed with the result of subjective evaluation, (ii) the excellent sample showed more remarkable changes in physiology reaction than that of the standard sample. It was thought that a functional spice which it not only backs up delicacy, but have an effect which pulls out sensitivity may be designed.
著者
中野 敦 織田 知明 前田 晃 山田 秀和 手塚 正
出版者
日本皮膚悪性腫瘍学会
雑誌
Skin Cancer (ISSN:09153535)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.465-470, 1997-03-10 (Released:2010-08-05)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

We reported a 69-year-old male case of multiple myeloma. His chief complain was a skin tumor, and it was localized on his forearm. After general examination of whole the body, atypical myeloma cells were found in the bone marrow. We selected radiation therapy, because of his age, past disease history, and so on. The tumor expressed good response, and reduced clinically. But, in a short time, it formed metastatic lesions in both thoracis vetebra and forearm arround the first lesion.Multiple myeloma is a disease, which is usually found and mainly complained chronic anemia, morbid bone fracture, and lumbago. This case that we reported was found as extramedullary plasmacytoma on the skin, and in that point, it was comparatively rare clinically.
著者
中野 敦
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

ゲームプレイヤーがモーションを自由にクリエイションできるようになるとゲームの話の展開が変化するため,その変化した展開に対してキャラクタが柔軟に対処することが求められています.そのため,基盤システムの重要な機能として,ゲームプレイヤーからの自由なタイミングでのインタラクションに対してキャラクタが人間のように知的に振る舞い,かつそれらのキャラクタの能動的な行動によって長期的な話の展開を生成する行動制御技術が必要となっていました.そこで,話の流れを保ちつつ,状況に合わせて豊富で能動的な反応を生成するために,エピソードツリーと名付けた統一的な制御構造を用いて反応行動を生成するシステムを提案しました.このシステムでは,各キャラクタが状況に合わせて断片的なエピソードを表すエピソードツリーを取捨選択していくことで,全体の話の流れを構成します.また,キャラクタが干渉された場合には,エピソードツリーに付随された中断処理を挿入し,反応行動へ移り,反応行動が終了した際には復帰処理を挟み,元の行動に復帰することでキャラクタの行動の連続性を保ちます.ユーザが自由なタイミングでアニメーションに干渉するためのインタフェースとして,「触る」,「掴む」,「オブジェクトを追加する」の3つの異なる特徴を備えたゲームコンテンツを実際に制作しました.このコンテンツ上で,これらのインタフェースを用いて,自由なタイミングで相互作用できるキャラクタアニメーションを生成できることを,インタラクティブ東京やDiva展といった複数の会場で展示し,示しました.その結果,芸術科学会論文誌で論文賞をいただくといった学術的な成果に加えて,芸術科学会展のデジタルシネマ部門で優秀賞,そして国内の優秀なコンテンツが展示されるインタラクティブ東京に推薦されるなど,展示作品としても大きな成果を得られました.
著者
中野 敦 塩入 健太 星野 准一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.59, pp.61-66, 2005-06-04

近年,CGキャラクタとの対話によってストーリーの進行するコンテンツが数多く見られるようになった.そのためCGキャラクタの表現力を向上することは,これらのコンテンツに没入するための重要な要素となっている.従来の対話型コンテンツでは,CGキャラクタは台詞に対応付けられた振る舞いを行っており,同じ台詞に対して同じ動きを繰り返すといった動きの単調さが見られた.そのため内面に存在するはずの心理状態を感じられない無機質な印象を利用者に与えてしまうという問題がある.そこで本研究では会話内容を補足するジェスチャに加えて,心理状態を表現する姿勢やしぐさを動的に複合することで心理状態を表現した振る舞いを生成する.この技術によって表現豊かな振る舞いを生成した結果を心理コミュニケーションゲームという対話型コンテンツ上で示す.Mental communication with characters is important for many entertainment and edutainment applications. Human's mental statuses are complex, and mental behaviors typically consist of multiple components such as poses and many unconscious movements. In this paper, we propose the layered behavior synthesis technique for integrating mental behaviors and conversational gestures. We compose various mental behavior representations by considering the spatial consistency and co-occurrence probability. We also show an example of a game using the mental behavior synthesis technique.
著者
中野 敦 星野 准一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.390, pp.13-18, 2004-10-21

会話と連動したジェスチャを自動的に生成することはCGアニメーションやゲーム制作などで必要とされている.従来法では複数のジェスチャを組み合わせるときに運動レベルでの連続性や整合性については考慮されていないため,あるジェスチャを行う度に必ず直立位置に戻るなど機械的な印象を与えるという問題がある.本稿では,ジェスチャの運動的な連続性と連動性を考慮に入れることで,より自然な会話動作を生成することができる複合行動生成法を提案する.