著者
大久保 正彦 稲垣 成哲 竹中 真希子 黒田 秀子 土井 捷三
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.28, no.suppl, pp.189-192, 2005-03-20 (Released:2016-08-01)
参考文献数
3
被引用文献数
15

本研究では, カメラ付き携帯電話を利用した協調学習支援システムを開発し, その授業実践への利用可能性を評価した.本システムは, カメラ付き携帯電話で撮影された写真を随時自動的にウェブに掲載・公開するとともに, 検索・編集を可能にするものである.小学校1年生及び現職教員を対象とした評価実験における質問紙調査の結果, 小学校1年生において本システムの操作が可能であるとともに, 本システムを利用した学習活動への興味が高いことなどがわかった.現職教員からも小学生と同様に肯定的な評価を得ることができた.また, 現職教員の自由記述の回答からは, 通信コストなどのいくつかの問題点が指摘されたものの, 本システムの授業実践への有効性として, 簡便性, 情報共有とコミュニケーションの活性化などが示唆された.
著者
小川 貴代 Kordzo Kpesese Wogbe 中辻 浩喜 諸岡 敏生 秦 寛 近藤 誠司 大久保 正彦 朝日田 康司
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理研究会誌 (ISSN:09166505)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.75-84, 1996-02-15

積雪・寒冷地における乳用雌牛の放牧を取り入れた周年粗飼料主体育成を検討するため、北海道大学農学部附属農場と附属牧場においてホルスタイン種雌牛計92頭を供試して8年間にわたる一連の試験を実施した。供試牛を、4ヵ月齢から初回分娩時まで通年舎飼で濃厚飼料を2kg/d給与した対照群(C群)および放牧時は濃厚飼料無給与で舎飼時の濃厚飼料給与量を1kg/d以下とした粗飼料主体群に配置した。粗飼料主体群はさらに春夏(4〜9月)生まれのGM群と秋冬(10〜3月)生まれのGE群に分類した。育成期間を4〜10ヵ月齢の前期、11〜16ヵ月齢の中期および17ヵ月齢〜初回分娩時までの後期に区分し、育成ステージ別の成長と繁殖成績を調査した一初回分娩以降は全群同一の飼養管理を行ない、乳生産成績を調査した。結果は以下の通りである。1)分娩時の体重および牛体各部位の測定値に3群間で有意な差はなかったか、全育成期を通じた日増体量はGM群とGE群でそれぞれ0.61、0.62kgであり、C群の0.72kgに比べ有意(P<0.05)に低かった。2)粗飼料主体群の日増体量は舎飼時に低く放牧期に高いパターンを示し、育成前期と後期はGM群か有意(P<0.05)に低く、育成中期はGE群が有意(P<0.05)に低くかった。3)舎飼時の日増体量は濃厚飼料給与量か少ないほど低く、その傾向は育成前期で顕著であった。4)放牧を育成前期に取り入れた場合の日増体量は、育成中期および後期の放牧した場合に比べ低い傾向にあった。5)放牧時の日増体量と放牧前の舎飼時における日増体量との間に有意(P<0.01)な負の相関が認められた。6)粗飼料主体群は初回種付け月齢がC群より1ヵ月以上遅延し、GM群は授精回数か多く受胎率が低い傾向にあった。7)初産乳期における乳生産量に3群間で有意な差は認められなかった。8)積雪・寒冷地における乳用雌牛の放牧を取り入れた周年粗飼料主体育成において、秋冬生まれの牛は4ヵ月齢から粗飼料のみでの育成か可能であるか、春夏生まれの牛では育成前期の舎飼時に濃厚飼料の補給か必要であることか示唆された。日本家畜管理研究会誌、31(3) : 75-84.1996.1995年8月28日受付1995年11月2日受理
著者
安江 健 近藤 誠司 大久保 正彦 朝日田 康司
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理研究会誌 (ISSN:09166505)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.61-68, 1993-11-10
被引用文献数
4

山地傾斜地における放牧地の地形が牛群の食草および休息時の牧区内分布に及ぼす影響を検討する目的で, 夏季放牧期間中(7月-9月)、5頭のホルスタイン種育成牛と32頭のヘレフォード種育成牛からなる牛群を、標高差が約60m(標高150-214m)で面積9.8haの牧区に放牧し、24時間の行動観察を計6回行った。牧区内各標高別区域および樹林地、谷、平坦部や斜面の方角に基づき分類した6つの小区画における食草および休息時間を、各行動の総時間に対する割合として算出し、面積比に基づく期待値との差をそれぞれX^2検定により検定した。この時、牛群の食草、休息行動の日内変化に基づき、1日を昼間(8-16 : 00)と夜間(20-4 : 00)および朝夕(4-8 : 00、16-20 : 00)の3つに分類し、解析を行った。得られた結果は次の通りである。1)標高ごとの各行動時間では、昼間の食草時間の63.5%、休息時間の79.4%が牧区内低標高区域(160-170m)で観察され、夜間の食草時間の67.9%、休息時間の75.9%が牧区内高標高区域(190-210m)で観察された。1日全体での食草時間は特定の標高別区域に偏ることはなかった。2)小区画ごとの各行動時間では、昼間の休息時間は南向き斜面(38.8%)と平坦部(51.0%)に有意(P<0.01)に偏った。昼間の食草時間の割合は南向き斜面、東向き斜面および平坦部で47.9、21.3、22.9%であり、南向き斜面の47.9%は期待値よりも有意(P<0.01)に高かった。1日全体での食草時間は、いずれの時間帯にも食草行動が行われなかった樹林地を除き、特定の小区画に偏ることはなかった。3)各小区画における総食草時間と積算放牧地草現存量から、全観察を通しての放牧地草現存量1kgDM当たりの食草時間を小区画ごとに算出した結果、現存量1kgDM当たりの食草時間は平坦部が他の小区画よりもやや低い傾向にあったが、期待値と比べて有意な偏りではなかった。日本家畜管理研究会誌、29(2) : 61-68.1993.1993年6月24日受理
著者
竹中 真希子 稲垣 成哲 黒田 秀子 出口 明子 大久保 正彦
出版者
日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.53-62, 2007-11-30
被引用文献数
1

本研究では,筆者らが開発したカメラ付き携帯電話を利用した情報共有システムであるclippicKidsの実践的な評価を行った。評価対象の学習活動は小学校2年生の「大発見プロジェクト」と呼ばれるもので,カメラ付き携帯電話とclippicKidsを使って,1年間の写真日記が作成された。実践的評価は「大発見プロジェクト」の中で撮影された一連の写真から「自然」が撮影されたものを素材として分析し,次の3つの課題について検討した。(1)子どもたちはカメラ付き携帯電話でどのような自然を撮影するのか,(2)その撮影において自然の何に気づくのか,(3)こうしたテクノロジに支援された活動を子どもたちはどのように評価するのか,であった。その結果,子どもたちは自然関連の写真を数多く撮影したこと,校内の樹木・雑草や栽培している野菜・草花といった植物が多いこと,既有知識とともに,対象の事実に即して具体的な観察や比較の視点を撮影の理由として記述できていたこと,子どもたちの主観的評価では,この活動が肯定的に受容されていたことなどが明らかになった。これらの結果に基づいて,カメラ付き携帯電話を利用した本システムは,自然観察の道具としての可能性と有効性を持つことが示唆された。