著者
森田 果 井深 陽子 日引 聡 尾野 嘉邦
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

法学における実証分析の近時の国際的な潮流は,実験によって収集されたデータを利用して実証分析を行うことに移りつつある。実験を行うことで,ランダム化比較対照実験を実現することができ,因果関係を正しく判別することができるからである。しかるに,日本の法学からの実験データを利用した実証分析の国際的な発信はほとんどなされておらず,国際的な実証法学への日本からの貢献は非常に低調である。そこで本研究は,COVID-19の下でも低コストで実施可能なオンライン実験を実施していくことで,消費者法・医事法・環境法の分野を中心に実験データに基づいた実証法学の日本からの国際的な貢献を実現することを目指す。
著者
赤林 英夫 敷島 千鶴 島田 夏美 竹ノ下 弘久 加藤 承彦 井深 陽子 稲葉 昭英 野崎 華世 川本 哲也 中村 亮介 直井 道生 佐野 晋平 田村 輝之 栗野 盛光
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2021-07-05

新型コロナパンデミックは、子供の教育格差研究に対し、取り組むべき課題と研究手法との双方に、変革の必要性を迫っている。社会のオンライン化に伴い、家庭環境が子供に与える影響が強まることが懸念されている。また、教育格差拡大を防ぐために、世界各国で、新たな政策的対応の必要性が議論されている。そこで、本研究では、全国の子供を対象とし、オンラインにより、ポストコロナの新たな課題に対応した調査や実験による研究手法を考案する。それらを通じ、コロナ禍が子供の学力や日常生活に及ぼした影響を厳密に分析し、国際比較も行うことで、コロナ後の研究と政策のあり方を提示する。
著者
柿原 浩明 井深 陽子 馬 欣欣
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理學雜誌 = Folia pharmacologica Japonica (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.141, no.2, pp.95-99, 2013-02-01
参考文献数
15

薬理学と関係の深い創薬は医薬品産業政策と密接なかかわりを持つ.本稿では,医薬品産業政策の課題を,経済の基盤である市場における主体の行動と経済の関わりをもとに整理する.医薬品産業政策を考える上での問題の1つは,医薬品産業政策において重視される複数の目的が必ずしも両立可能でないということである.たとえば,現在の政策の1つの流れである医療費の抑制は,その目的においてしばしば中・長期的な経済への正の影響とトレードオフの関係にある.中・長期的な経済への正の影響とは,消費者の将来の健康そのもの,または健康に起因する経済への効果のことであり,さらに生産者である医薬品業界における研究開発投資が経済成長を起こす潜在的な機動力となる,ということである.これらの医薬品の使用が健康に及ぼす影響や創薬の経済効果は,長期間にわたり発生するため定量的な評価が著しく困難であるが,医薬品産業政策を考えるうえで重要な要素である.