著者
今井 康雄
出版者
教育哲学会
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.68, pp.1-14, 1993-11-10 (Released:2010-05-07)
参考文献数
24

From the viewpoint of their place in the history of ideas, Benjamin and Dewey as thinkers differ widely. However, looking at it from the angle of the problems both tried to tackle, they have a great deal in common. Both tried to solve the problems of modern society through recourse to an anti-dualistic empiric concept. Furthermore, they tried to dismantle the traditional idea of education by means of this anti-dualistic experience.Of course, inspite of their starting from a common approach to problems, their educational theory shows significant structural differences. By pointing to the differences of both educational theories, this paper attempts to discover the potential of Benjamin's thought in terms of educational theory. First, in this paper, the difference of the empiric concept of both thinkers is clarified along the lines of their aesthetic and social philosophy; then, the difference in their educational thought is analyzed which is founded on their respective different empiric concept. Through this argumentation this paper makes it clear that Benjamin's educational theory turned out to be better fitted for dealing with the problems of modern society.
著者
ドリンク バルバラ 今井 康雄
出版者
首都大学東京
雑誌
教育科学研究 (ISSN:02897121)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-11, 1999-04-30
著者
對馬 達雄 今井 康雄 遠藤 孝夫 小玉 亮子 池田 全之 山名 淳
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、戦後ドイツを通底する課題である「過去の克服」という課題に、これまで等閑視されてきた精神史、文化史、広く人間形成の側面からその本質に迫ることを目的としている。本年度は、7名の分担者が交付申請書記載のそれぞれの研究テーマに則して、文献・資料の分析を進め、2回の全体研究会を通じて、共同研究としての統一性を保ちつつ研究を進めた。より具体的には、まず遠藤は、州憲法及び基本法の制定を通して、ナチズム克服の理念としてキリスト教の復権が行われたこと、小玉はナチズムにより解体の危機に瀕していた家族の再建に関する議論と施策が行われたこと、渡邊はナチ教義の注入手段と化していた歴史教育の再建において、ヴェーニガーの「政治的歴史教育」の理念が重要な役割を果たしたことを明らかにした。また、池田は20世紀ドイツを代表する哲学者ハイデガー、リット、ヤスパースの「過去」に対する思想的対応の相違を腑分けし、今井は「政治的成人性」の理念を中核とするアドルノの教育思想の特質を「過去の克服」との関連で明らかにし、對馬は反ナチ運動の復権を司法界において最初に宣明した「レーマー裁判」の意義を検事ブリッツ・バウアーの思想と行動に関連づけて明確にした。そして、山名は「追悼施設教育学」の成立経緯とその今日的意味を「記憶文化」と関連づけて明らかにした。これらの研究成果は、平成23年3月に上梓された對馬達雄編著『ドイツ過去の克服と人間形成』の各論文として収録された。
著者
今井 康雄
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育學研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.98-109, 2006-06-30

ウィトゲンシュタインの後期哲学は、反表象主義の主要な典拠となっており、教育学においても、「情報化」の要請に対応した、「力」を重視する現代的な教育論の傾向にそって解釈がなされている。これに対して本稿が試みるのは、ウィトゲンシュタインの後期哲学を、「力」を重視する教育論の基盤を掘り崩すような哲学として解釈することである。ウィトゲンシュタインは、反表象主義の立場を徹底することによって、一方で教えることの不確実性を明らかにするとともに、他方では、この不確実性を回避するために教育論が通常子供の心のなかに想定している「力」の観念を解体する。その結果、教育は極めて脆弱な営みとして現れることになる。ウィトゲンシュタインは、その小学校教師時代、こうした教育の脆弱さに実際に直面していたと推測できる。しかし『哲学探究』のなかには、教育の脆弱さを克服する可能性が、理解されていないものを理解可能なものにおいて示すという「事例」のメディア的構造として示唆されてもいるのである。
著者
鈴木 晶子 小田 伸午 西平 直 金森 修 今井 康雄 生田 久美子 加藤 守通 清水 禎文
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

スポーツや音楽演奏や伝統芸能における「わざ」の修練・継承においては、(1)目習いと手習いの連動、(2)修練と継承の一体化が軸となっていた。(1)目習いにおいては単に視覚のみでなく様々な運動感覚が統合的に働くこと、また手習いにおいても自己の身体動作の実際と身体イメージとの間を繋ぐために表象・言語の力が大きく関与していること、(2)修練における経験の内在化が常に継承行為の一部となっていること、創造的模倣(ミメーシス)が、経験の再構成において広義の制作的行為(ポイエーシス)へと移行していく機構が認められることが解明された。
著者
佐藤 裕 四戸 豊 佐藤 健一 坂本 望 今井 康雄 城 茂治
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.25-30, 2007-02-01 (Released:2008-05-23)
参考文献数
15

68歳女性の顔面神経麻痺患者に星状神経節ブロック、薬物治療、経皮的神経刺激通電療法による治療を開始した。初診から1カ月後、十分な改善を認めず難治例とも思われたが、その後鍼治療を取り入れたところ症状は徐々に改善し、初診から10カ月後、麻痺症状は消失した。49歳女性の三叉神経麻痺患者に星状神経節ブロック、薬物治療、経皮的神経刺激通電療法などにより治療を行っていたが、症状は改善せず、麻痺に神経痛様疼痛を伴うようにもなり治療に苦慮していた。鍼治療を取り入れたところ症状の軽減を認め治療を継続している。これら神経麻痺2症例に対し、鍼治療が有効な治療手段であった。神経ブロック、薬物治療に鍼治療を併用することは極めて有用と考えられる。