著者
西岡 和昭 伊藤 正裕 林 省吾 平井 宗一 福沢 嘉孝 大滝 純司
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.199-204, 2012-06-25 (Released:2014-01-09)
参考文献数
8

献体標本を用いて各部位の名称や機能を問う実習試験と一般的な解剖学的知識を問う筆記試験の正答率を比較して解析した.1)実習試験の正答率と筆記試験の正答率との相関は弱かった.2)実習試験では,通常の筆記試験では測れない能力を評価している可能性が示唆された.3)人体の構造の多様性・個体差の要素が含まれる献体を用いた実習試験と解剖学知識を問う筆記試験の併用は,学生を評価する上で有用であることが推測された.
著者
鈴木 重人 伊藤 正裕 杉浦 孜
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
岩石鉱物鉱床学会誌 (ISSN:00214825)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.183-192, 1976-07-05 (Released:2008-08-07)
参考文献数
3
被引用文献数
3

本鉱物は,三波川帯中の各種銅鉱物をともなう蛇紋岩体の割れ目より発見された。細かな針状ないし長柱状をなし,特徴的なsky-blueの色を呈する。構造式(C=1)として, Mn0.019Ni0.231Cu7.770(SO4)3.904(CO3)(OH)6.232・48.4H2O または, (Mn,Ni,Cu)8(SO4)4(CO3)(OH)6・48H2Oをもつ。 本鉱物の光学的性質, X線回折,電子線回折, DTA-TG, IRパターンに見られる諸性質について報告した。また,産状の違いにより, X線回折およびDTAパターンに僅かな違いが見られ,これらについても検討した。 Nakauri, Shinshiro, Aichi Prefecture愛知県新城市中宇利
著者
小川 夕輝 曲 寧 北岡 三幸 内藤 宗和 寺山 隼人 伊藤 正裕 松野 義晴 森 千里
出版者
日本生殖免疫学会
雑誌
Reproductive Immunology and Biology (ISSN:1881607X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.49-55, 2009 (Released:2009-11-20)
参考文献数
30

精細管内のhaploid germ cellsは、様々な自己抗原を含むことがわかっているが、Sertoli細胞間の結合で構成される血液−精巣関門 (blood-testis barrier=BTB) によって免疫系 (精巣間質マクロファージを含む) からある程度守られているとされている。しかしながら、直精細管および精巣網には、投与された抗体やhorseradish peroxidase (HRP) が管内へ若干入り込むため、その部位のBTBは生理学的に脆弱なことが明らかとなってきている。精巣毒性物質として知られているカドミウム (CdCl2) は、主に精巣毛細血管障害を引き起こし、BTBの破壊や精上皮壊死を伴うことが報告されているが、本研究では、精子形成障害を惹起しない程度のCdCl2微量投与 (1mg/kgおよび3mg/kg) による精巣の免疫学的組織環境変化 (CdCl2投与12および72時間後の外来性HRPと内在性IgGの精巣内分布の変化) を、8週齢雄A/Jマウスを用いて組織化学的に検討した。その結果、CdCl2投与によって、HRP (屠殺30分前に投与) は直精細管・精巣網周囲の間質に強い集積を認めたが、間質の定住マクロファージによるHRP取り込みは精巣全域で逆に弱くなった。また、基底膜を超えて管内 (精細管→直精細管→精巣網) の上皮細胞に取り込まれたり上皮細胞間に侵入するHRP像を一部に認めたが、特に直精細管・精巣網に選択的に起こるものでなかった。一方、内在性のIgGは、HRPのような局在性分布や定住マクロファージによる取り込みを、対照群、CdCl2投与群ともに認めず、精細管→直精細管→精巣網への侵入像も精細管の一部に観察するのみであった。よって、精子形成障害を引き起こさない程度の微量CdCl2投与によっても、精巣間質における微小循環やマクロファージの機能に障害が起こることが示唆された。また、明らかなBTBの破綻とは異なる精細管→直精細管→精巣網の基底膜の一部に破壊が起こることが示唆された。しかし、その破壊は生理学的にBTBが脆弱とされる直精細管・精巣網に強く起こるということはないことがわかった。
著者
曲 寧 伊藤 正裕 善本 隆之
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

化学療法や放射線療法などの抗癌治療の副作用として精子形成障害が起こることがある。近年、抗癌治療副作用の軽減に漢方薬が注目されているが、抗癌治療後の精子形成障害の改善効果に関する報告は未だ少ない。申請者らは、抗癌剤投与或いは放射線照射後のマウス精子形成障害に対する牛車腎気丸の治療効果を調べた。抗癌剤投与や放射線照射後のマウス精子形成障害に牛車腎気丸が共に有効な治療効果をもつことが明らかとなった。また液性因子や細胞因子への影響について明らかにし、牛車腎気丸による精子形成障害の改善作用機序を明らかにした。補中益気湯および八味地黄丸による精子形成障害の改善効果も比較検討した。
著者
伊藤 正裕
出版者
香川医科大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

発育期にある各週令マウスの精巣マクロファージの分布をマウス抗マクロファージ抗体を用いて免疫組織学的に検索すると、新生マウスの精巣で既にマクロファージはその間質に認められるものの、その数は少なく直精細管周囲に集中する局在は認められなかった。このマクロファージの直精細管を取り巻く局在性は3週令マウス精巣より観察された。これは自己免疫源性抗原を持つ精子細胞の出現時期とほぼ一致していた。しかしここを中心に始まる自己免疫性精巣炎におけるリンパ球浸潤は6週令マウスからは認められたものの、それより若いマウスでは認めることはできなかった。抗精巣細胞抗体とその細胞に対する遅延型過敏反応は3週令から5週令までは成獣マウスのそれと比べて有意に低いことがわかった。これは精巣内マクロファージ集中の局在性が3週令から認められるものの、精巣を取り巻く免疫環境により、リンパ球が浸潤しにくいことを示唆している。成獣マウスの精巣炎における内分泌反応の変化は、血清テストステロンは明らかな減少を示さず中には正常よりも高値を示すものも認められた。血清LHも有意な変化を示さなかったが、血清FSHはどのマウスも高値を示した。これは精細管上皮は障害を受けるもののリンパ球浸潤の最も厳しい間質においLEYDIG細胞及びそのテストステロン分泌能は比較的保たれていることが考えられた。過去の研究でマクロファージとLEYDIG細胞のCELL-CELL INTERACTIONがテストステロンの分泌に重要であると報告が多い。実際に様々なサイトカインを分泌するリンパ球が浸潤し精巣マクロファージにも何らかの機能変化があったと推察され、これが一部のマウスにおいてLEYDIG細胞を刺激して高テストステロン状態を誘導したことも考えられる。
著者
竹内 義喜 中村 和彦 岩橋 和彦 三木 崇範 伊藤 正裕
出版者
香川医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

発達障害誘導因子として放射線とアルコールを取り上げ、脳組織のうちとくに海馬領域のニューロンネットワーク形成を対象として研究を行った。妊娠動物(ラット)に放射線を照射し、生後6週で脳組織を検索したところ、海馬に対する影響は0.6Gy以上から現われ、錐体細胞の脱落および層構造の乱れがCA1領域よりCA3領域でより顕著であった。また、CA3領域では異所性mossy fiberの終末がstratum orienceに存在するのが特徴的であった。一方、生後ラットへのアルコール投与実験では、まず小脳のプルキンエ細胞を研究対象とした。プルキンエ細胞は生後4-9日でアルコール高感受性であり、樹状突起の発育不全を示した。しかしながら、生後10日以降の脳組織においてはプルキンエ細胞をはじめとする他の神経細胞には何ら変化が認められないという実験結果を得た。次に、このような生後早期における神経細胞のアルコール感受性に関し海馬で行なわれた研究では、歯状回門領域の顆粒細胞や錐体細胞にも小脳組織と同様神経細胞の発育不全が認められ、海馬領域においても高感受性であることが明らかになった。さらに、マウスに対する短期アルコール投与実験をおこなったところ、海馬領域においてcalbindin D28k免疫反応陽性細胞の数が減少した。しかしながら逆にGFAP反応陽性細胞の数の増加が認められ、神経細胞とグリア細胞の変化が形態学的に非常に対照的なものとなった。このようなニューロンとアストログリア細胞の脳組織における変化は、海馬に起因する神経症状発現メカニズムにこれら細胞相互の働きが深く関与することを示唆するものであると考察される。