著者
生井 智司 伊藤 毅志
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2010-GI-24, no.3, pp.1-7, 2010-06-18

本稿では,将棋における棋風を人間がどのように感じるのかをインタビューを通して明らかにすることを試みた.そして,その知見をもとにして,プレイヤが棋風を感じられるような棋風模倣システムを試作して,その効果を評価した.
著者
伊藤 毅志 古郡 廷治
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.37-38, 1994-09-20

我々が解いている問題は、大別すると2種類に次の2つに分類される。一つは、誰が解いても(正解であれば)同じ答えに至る収束的問題であり、もう一つは、解く人によって解答が異なったり、そもそも正解などない発散的問題である。従来の認知科学的問題解決研究では、ハノイの塔などのパズルの問題をはじめとして、クイズや数学や物理の問題などの収束的問題が殆どであった。この理由は、これらの問題は良定義問題(問題の目標状態、操作子が明確な問題)であり、被験者の行動がある程度実験者にも予想されるために、研究の対象としては扱いやすかったからと考えられる。それに対して、発散的問題の方は、近年ようやく少しずつ研究として扱われつつあるにすぎない。しかし、実際の我々の日常生活を考えてみると、殆どが悪定義問題であるばかりか発散的問題でもあるような問題に囲まれていると言える。例えば、「お昼に比較的安くてでおいしいものを食べる」とか「普段着になるようなズボンを選ぶ」などの日常的問題は操作子も不明確であるし、人によって結論の異なる発散的問題である。このように、発散的問題の研究が意義深いものであることは明確だろう。本研究では、このような発散的問題を解決する際に視覚的イメージ(特に作図)が、どのように問題解決過程に影響を与えているのかについて考察していく。
著者
伊藤 毅志 古郡廷治
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.93(1996-CE-041), pp.49-56, 1996-09-20

本稿では、自立的学習を支援する新しいCAIシステムのための基礎研究について説明する。このシステムは、間接指導と自己観察の二つの指導法を組み込んだシステムである。まず、間接指導と自己説明について説明し、実際の教育実践活動の結果をもとに、さらに考察していく。また、これまで提案してきた間接指導に基づいたCAIシステムについても説明し、自己観察をこのシステムに組み込んだ新しいシステムの全体像を紹介する。
著者
小幡 拓弥 杉山 卓弥 保木 邦仁 伊藤 毅志
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2009論文集
巻号頁・発行日
vol.2009, no.12, pp.51-58, 2009-11-06

本稿では、将棋プログラムの新たな並列処理手法である”合議アルゴリズム”を提案し、その効果について検証した様々な実験を報告する。合議アルゴリズムは複数の思考プログラムの意見を集めて指し手を決定する手法で、疎結合マルチプロセッサにおける動作によく向いている。筆者らは合議アルゴリズムを用いて強豪プログラム同士を連結し、より強いプログラムを作ることに成功した。また、単一の思考プログラムから簡易な方法で複数のプレイヤを作り合議させる手法を提案し、その有効性を示した。
著者
伊藤 毅志
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、棋風を模倣する手法として、以下の2つの手法を提案した。Bonanzaの評価関数の機械学習を利用して、特定の棋士の棋風を偏重させて学習させる手法を提案し、その実装を行った。具体的には、特長あるトッププロ棋士の棋譜を偏重して学習させることによって、その棋風をある程度模倣できることを示した。また、一般的な棋風である「攻めー受け」「重厚-軽快」「直線的-曲線的」などに着目し、それぞれの棋風を色濃く反映しているプロ棋士の棋譜を統計的に分析することで、棋風を形成している特徴要素を特定し、その要素を用いて模倣システムを構築した。
著者
水上 明 伊藤毅志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.26, pp.23-28, 2008-03-07
参考文献数
2
被引用文献数
1

近年、新しい入力インターフェースを用いたゲーム機が現れ、注目を集めている。ゲームの操作方法と共に複雑化していった従来型の操作デバイスと比べて、これらの入力装置は、直感的でわかりやすく、操作自体が新鮮であるという際立った特徴を持つ。本研究では、新しい入力デバイスとして、視線入力装置を用いて入力を行うリアルタイムゲームのシステムを構築した。また、入力の特徴を踏まえサンプルゲームを製作、従来型デバイス使用時との比較、および評価を行った。Recently, the game machines that use new input interface appear , and they are paid attention. Input devices of them have a remarkable feature that it is intuitive,comprehensible, and the operation is fresh compared with old model. We developed computer game system with using Eye-Gaze tracking system. It contains some sample games that use feature of Eye-Gaze input. We also use other devices to play sample games , and evaluate it.
著者
杉山 卓弥 小幡 拓弥 斎藤 博昭 保木 邦仁 伊藤 毅志
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.2048-2054, 2010-11-15
被引用文献数
1

コンピュータ将棋において,複数のプレイヤの意見から1つの指し手を選択する合議アルゴリズムが注目されている.多数決による合議では,単純な手法であるにもかかわらず,単体のプレイヤに比べてパフォーマンスが向上することが報告されている.本研究では,各プレイヤの指し手に加えて,局面の優劣評価の値も利用する新しい合議法について報告する.正規乱数を用いて局面評価値を修正し生成された複数プレイヤから,最大の評価値を付けたプレイヤを選択する楽観的合議法を提案し,その有効性と仕組みについて議論する.The consultation algorithm, which selects a move based on decisions made by multiple players, recently attracted considerable attention in the computer Shogi community. It was reported that the consultation algorithm based on majority voting improved the strength of a computer Shogi program despite the simplicity of the algorithm. In this paper, we present a new consultation approach which utilizes not only the actual moves provided by the players but also the evaluation values of the moves. The proposed approach, optimistic consultation, selects a player that scores the highest evaluation value among the multiple players. Here, the multiple players are prepared by adding normal random noise to the original evaluation function. The performance and the mechanism of the algorithm are analyzed.
著者
伊藤 毅志 滝沢 洋平
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.20, pp.17-23, 2007-03-05
被引用文献数
3

ゲームをプレーするシステムは、大別すると「探索主導型システム」と「知識主導型システム」に分けられる。知識主導型システムは、熟達者の経験的知識をコンピュータ上に組み込むシステムであるが、熟達者の知識を抽出すること自体が難しく、抽出した知識を反映したプログラムを作るには、ある程度のプログラミング能力が必要であり、労力と手間が必要であった。そこで、本研究では、熟達者が特別なプログラミング能力が無くても、直観的に知識を記述できるシステムと、その知識を反映して対戦するシステムを開発した。その動作を示し、このシステムの可能`性について考察する。General classification of the computer system which plays games will divide into a "Knowledge driven system" and a "Search driven system". Although the knowledge driven system was a system which incorporates an expert's empirical knowledge on a computer, it was difficult to extract an expert's knowledge itself. And also, in order to make the program reflecting the extracted knowledge, it is required a certain amount of programming capability. In this research, the player without special programming capability developed the system which can describe knowledge intuitively. And, the system pitched against each other with the described knowledge was developed. We explain the performance of these systems and consider the possibility of them.
著者
伊藤 毅志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.4033-4040, 2007-12-15

本研究では,同じ問題を,現在トップクラスのコンピュータ将棋とトッププロ棋士に解かせ,その思考過程の違いを比較する.現在のコンピュータの特徴を人間のトッププロ棋士の思考と比較することで,近い将来トッププロ棋士に挑むコンピュータ将棋の現状と展望を考察する.In this research, the computer Shogi and the top-professional shogi player are made to solve the same problem, and I compared the difference in the thinking process. By comparing the feature of the contemporary computer with thinking of top-professional player, I consider the contemporary and the future of computer Shogi which will play a match against the near future top professional Shogi player.