著者
伊藤 秀三
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.187-194, 1990-12-31 (Released:2017-05-24)
被引用文献数
2

Correlations among nine indices of species diversity, HURLBERT's S(100), ITOW's b, FISHER's α, three varieties of SIMPSON's d, MCINTOSH's index, SHANNON's H', and PIELOU's J', were studied using measurements taken in 57 forests, from the humid tropical to the humid warm-temperate regions of East Asia, Pacific islands and Amazonian upstream. The indices were categorized into two groups according to their correlations. In first group, consisting of S(100), b, α and 1/d, values are sensitive to changes in species richness. (1-d), (1-d)/(1-d)max, MCINTOSH's index, H' and J' belong to the second group. The indices studied showed intra-but not inter-group correlation. The number of species occurring once in the community is significantly correlated with FISHER's α.
著者
伊藤 秀三 金 文洪 呉 文儒 李 じゅん伯 方 益燐 高 有峰 盧 洪吉 孫 泰俊 松野 健 松岡 数充 東 幹夫 茅野 博 OH Moon-you LEE Joon-baek GO You-bong RHO Hon-kil SOHN Tac-jun KIM Moon-hong 李 〓佰 方 益燦 慮 洪吉
出版者
長崎大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1992

済州島と佐世保の潮位差変動調査から,夏季には潮位差変動が比較的少ないこと,夏季の方が冬季に比べて潮位差が大きくなっていることが判明した.海面下3mに抵抗板を持つ漂流葉書を九州西方域に流し,それが海上で回収された結果から,同海域の対馬暖流の流れが,夏季には20cm/s程度であることが示唆された.東シナ海を鉛直方向に密度一様とした簡単な数値モデルをによると,朝鮮海峡に向かう流れが,東シナ海の等深線の分布に深く関係していることが示唆された.済州島周辺の海洋観測の結果,冬季には黄海暖流が済州島西方から朝鮮半島沿岸に流入し,夏季には黄海低層冷水が朝鮮半島沿岸を南下してくる様相が明らかになった.済州島周辺で1991年から1992年にかけての橈脚類群集の季節変化を調査した結果,黒潮域にも生息する7種の外洋性種が主要構成要素であり,Paracalanus indicusが早春,初夏,初冬に,Calanus sinicus,Acartia steuteri,Corycaeus affinis,Oncaea pluniferaが冬季と夏季に,A.omoriiが秋季のみに最高出現頻度を示すことが判明した.対馬浅芽湾および朝鮮半島南部沿岸の表層堆積物中の渦鞭毛藻シスト群集を初めて観察するとともに,表層水温と種多様度に正の相関関係のあることを示した.済州島の東水岳旧火口のボーリングにより,鬼界カルデラ起源のアカホヤ火山灰が済州島にも降下したことが判明した.西帰浦西方の旧火口ボーリングにより約50000年前以降の連続した堆積物が採取された.約20000年前の堆積物からは淡水産渦鞭毛藻シストが発見された.男女海盆の堆積物の花粉分析から最終氷期最盛期頃の照葉樹林は南九州低地部に対応していたことが明らかになった.陸上高等植物では,照葉樹129種について対馬暖流域の日韓島嶼域における分布を明らかにした.このうち53種は日本のみに,4種だけが韓国側に,残りは日韓両方の島嶼に分布する.岩角地植物のうち,チョウセンヤマツツジは日韓両方の尾根上と河岸の岩角地に自然分布し,済州島ではチョウセンヤマツツジ-シマタニワタリ群集が新記載された.また日韓両地にはダンギク-イワヒバ群集の岩角地での発達を確認した.朝鮮半島南部,済州島,五島・福江島,対馬,隠岐,鹿児島地域で採取したアユの19酵素をデンプンゲル電気泳動法で分析した結果,多型的な12の遺伝子座のうちGpi-1では福江島産と他地域,Pgm-1では隠岐産と他地域に明らかな差があり,いずれも人口アユ種苗放流による創始者効果によると考えられた.朝鮮半島南部,長崎周辺,福江島,中通島,対馬で採取したタカハヤに含まれる8種の酵素について検討した結果,朝鮮半島南部の個体群が九州本土や島嶼の個体群と僅かな遺伝的距離でつながっていることから本種の種個体群としての統一性が示されたとともに,中通島や下対馬のような分断された個体群では強い遺伝的浮動によって特異な遺伝子構成が保持されていることが明らかになった.血漿と赤血球中のタンパク質の電気泳動法およびミトコンドリアDNAの制限酵素切断法によって対州馬と済州馬の系統関係を検討した結果,両者は極めて近縁であることが判明したとともに,それらの起源が蒙古の野生馬(Equus przewalskii)にあることが示唆された.朝鮮半島,済州島,対馬,壱岐,五島列島,九州で採取したショウリョウバッタ,ショウリョウバッタモドキ,オンブバッタの過剰染色体(B染色体)を調査した結果,いずれの地域の集団にも過剰染色体が検出された.さらにオンブバッタでは朝鮮半島と九州の集団に共通の染色体多型がみられた.以上の事実は地質時代には朝鮮半島と九州が陸続きであった事を裏付けている.朝鮮半島,中国,台湾,南西諸島,九州およびその島嶼域のショウジョウトンボの染色体型を検討した結果,2n♂=24(n=12)型と2n♂=25(n=13)型の南北方向の分布境界が奄美大島と屋久島の間にあり,東西方向の分布境界が対馬と朝鮮半島の間にあること,さらに2n♂=24(n=12)型が日本列島に固有の染色体型であることが明らかになった.
著者
伊藤 秀三 山本 進一 中西 こずえ
出版者
長崎大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

龍良山の照葉樹林は海抜120mから山頂(海抜560m)に及び、面積は約100haである。海抜350m以下はスダジイ/イスノキ林、上方はアカガシ林である。調査項目は次の通り。1)スダジイ/イスノキ林に面積4haの永久方形区を設定し、胸高直径5cm以上の木本の生育位置、種別、胸高直径の測定、2)頂上に達する全長940m、幅10mのベルトトランセクトを設定し上記と同様の測定、3)低地から山頂まで、林冠木から林床までの林冠ギャップを除いた群落組成の調査、4)林冠ギャップ部位の群落組成の調査、5)林冠ギャップ部位のコケ植物の調査、6)ギャップ部位における樹木実生の生長の測定。下記の結果を得た。1)林冠ギャップは低地のスダジイ/イスノキ林に集中し、ギャップの大きさは5〜20mで、5m四方のメッシュ総数1600個のうちギャップは274個で森林面積の17.1%に達した。2)胸高直径分布では、二山型(スダジイ)、逆J型(イスノキ、サカキ、ヤブツバキ等)、正規型(ウラジロガシ)があり、全生存木では逆J型であった。3)低地〜山頂の植生傾度において、高木、低木、草本個体直群すべてにおいて海抜350ー400mで急激な組成の交替があり、種類密度は不変化、種多様度は低下した。4)ギャップ部位と非ギャップ部位の林床植生の比較により、次のギャップ指標植物(木本)が明らかとなった(出現頻度の高い順に)。イイギリ、アカメガシワ、サルナシ、カラスザンショウ、ハゼノキ、カジノキ、オオクマヤナギ。またギャップ部位で実生密度が高くなる照葉樹林要素はスダジイとカクレミノである。5)ギャップ指標のコケ植物の上位5種は、ホソバオキナゴケ、カタシロゴケ、トサヒラゴケ、エダウロコゴケモドキ、ツクシナギモドキ。6)ギャップ部位における実生の直径と高さの相対生長関係では、生長係数が高い上位5種は次の通り。ウラギンツルグミ、オガタマノキ、カラスザンションウ、カジノキ、クロキ。
著者
伊藤 秀三郎 高部 哲
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, 1978-12-01

体重約30gのD.D系雄マウス18匹を,10日間のトレッドミル上での走行持続時間の変動により次の如く3群に分けた。A.走行持続時間が全期間を通して増加する傾向ある群,B.これとは反対に減少の傾向にある群,C.日々の変動が激しく上述の二つの群は該当しないと思われる群 持久力短期トレーニングには動物用トレッドミルを,回避学習こはMourer-Miller型のShuttle-boxを用いた。かくて,学習の成立にようした平均日数においてほ,A群が5日と他のグループより早く,順次B群(6.2日),C群(6.8日)と遅くなる傾向をしめしている。消去の成立においては,B群が4.3日と他のグループより早く順次C群(6.0日),A群(6.8日)と遅くなる傾向をしめし,持久力が上昇の傾向にあることは学科の成果においてもすぐれていると思われた。