著者
佐久間 康徳 佃 守
出版者
Japan Rhinologic Society
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.331-335, 2008 (Released:2009-11-04)
参考文献数
10

Necrotic lesions in the nasal cavity are induced by a variety of diseases that cause necrosis of the mucosa, bone, and cartilage in the nasal cavity, and Wegener's granulomatosis and sinonasal natural killer cell or T-cell lymphoma must be included in the differential diagnosis. Necrotic lesions induced by cocaine inhalation, on the other hand, are very rare in Japan, and cocaine inhalation also needs to be included in the differential diagnosis.We report the case of a 33-year-old male who complained of nasal pain and necrosis in the nasal cavity. Although we initially suspected Wegener's granulomatosis based on the endoscopic findings and results of laboratory tests, especially based on a slight elevation of the PR3-ANCA value, we did not detect any giant cell granulomas or necrotizing vasculitis, which are histological characteristics of Wegener's granulomatosis in repeatedly biopsyed specimens. Systemic steroid therapy was started based on suspicion of localized Wegener's granulomatosis, but was ineffective. Two months after the start of treatment, the patient failed to return for follow up. He was later arrested for the illegal possession of cocaine, and we realized that the necrotic lesions were caused by cocaine inhalation.Necrosis induced by cocaine inhalation should be included the differential diagnosis of necrotic nasal lesions.
著者
藤枝 重治 坂下 雅文 徳永 貴広 岡野 光博 春名 威範 吉川 衛 鴻 信義 浅香 大也 春名 眞一 中山 次久 石戸谷 淳一 佐久間 康徳 平川 勝洋 竹野 幸夫 氷見 徹夫 関 伸彦 飯野 ゆき子 吉田 尚弘 小林 正佳 坂井田 寛 近藤 健二 山岨 達也 三輪 高喜 山田 奏子 河田 了 寺田 哲也 川内 秀之 森倉 一朗 池田 勝久 村田 潤子 池田 浩己 野口 恵美子 玉利 真由美 広田 朝光 意元 義政 高林 哲司 富田 かおり 二之宮 貴裕 森川 太洋 浦島 充佳
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.118, no.6, pp.728-735, 2015-06-20 (Released:2015-07-18)
参考文献数
21
被引用文献数
2 9

これまで本邦における慢性副鼻腔炎は好中球浸潤が主体で, 内視鏡鼻副鼻腔手術とマクロライド少量長期投与にてかなり治療成績が向上してきた. しかし2000年頃からそれらの治療に抵抗性を示し, 易再発性の難治性副鼻腔炎が増加してきた. この副鼻腔炎は, 成人発症で, 嗅覚障害を伴い, 両側に鼻茸があり, 篩骨洞優位の陰影があった. 末梢好酸球も多く, 気管支喘息やアスピリン不耐症の合併もあった. このような副鼻腔炎の粘膜には多数の好酸球浸潤が認められていたため, 好酸球性副鼻腔炎と命名された. 好酸球性副鼻腔炎は, 徐々に増加傾向を示してきたが, 好酸球性副鼻腔炎の概念, 診断基準はあまり明確に普及していかなかった. そこで全国規模の疫学調査と診断ガイドライン作成を目的に多施設共同大規模疫学研究 (Japanese Epidemiological Survey of Refractory Eosinophilic Chronic Rhinosinusitis Study: JESREC Study) を行った. その結果, 両側病変, 鼻茸あり, CT 所見, 血中好酸球比率からなる臨床スコアによる簡便な診断基準を作成した. さらに臨床スコア, アスピリン不耐症, NSAIDs アレルギー, 気管支喘息の合併症, CT 所見, 血中好酸球比率による重症度分類も決定した. 4つに分類した重症度分類は, 術後の鼻茸再発と有意に相関し, 最も易再発性かつ難治性の重症好酸球性副鼻腔炎はおよそ全国に2万人いることが判明した. 治療法については経口コルチコステロイド以外まだ確立されておらず, 早急なる対応が急務と考えている.
著者
湯田 惠子 佐久間 康徳 山下 ゆき子 折舘 伸彦
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1-6, 2016 (Released:2019-02-13)
参考文献数
12

好酸球性中耳炎は難治性中耳炎であり、代表的な治療としてステロイドの鼓室内注入がある。今回、アスピリン喘息を合併する好酸球性中耳炎症例に対し、ケナコルトA®の鼓室内注入を行い、アナフィラキシーを呈した症例を経験したので報告する。症例は72歳、女性。10年前から難治性耳漏に対しケナコルトA®の鼓室内注入を定期的に施行していた。今回、外来にて注入を行った直後から呼吸困難などのアナフィラキシーを呈した。本稿では、アナフィラキシー発症の機序について若干の文献的考察を加えて報告する。