著者
石浦 良平 飯田 拓也 柿木 章伸 安藤 瑞生 吉田 昌史 齊藤 祐毅 山岨 達也 光嶋 勲
出版者
日本頭頸部癌学会
雑誌
頭頸部癌 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.76-78, 2017-04-25 (Released:2017-06-16)
参考文献数
7

外耳道癌は稀かつ予後不良な疾患である。その危険因子として過剰な耳かきが臨床上推測されているが,統計学的に検討した報告は少ない。今回,我々は当科で加療を行った外耳道癌患者14例を対象とし年齢,性別,耳かき頻度,耳かきに使用する道具の材質,罹患側,病理組織について検討した。また,本研究に同意を得た健常人69名を対象とし,年齢,性別,耳かき頻度,耳かきに使用する道具の材質について調査し患者群と比較検討した。その結果,50歳未満の若年群における患者群と健常人群間において,有意に耳かき頻度,および硬質素材を用いる率が高かった。今回の結果から,過剰な刺激の耳かきが外耳道癌発生を誘発する可能性が示唆された。
著者
藤枝 重治 坂下 雅文 徳永 貴広 岡野 光博 春名 威範 吉川 衛 鴻 信義 浅香 大也 春名 眞一 中山 次久 石戸谷 淳一 佐久間 康徳 平川 勝洋 竹野 幸夫 氷見 徹夫 関 伸彦 飯野 ゆき子 吉田 尚弘 小林 正佳 坂井田 寛 近藤 健二 山岨 達也 三輪 高喜 山田 奏子 河田 了 寺田 哲也 川内 秀之 森倉 一朗 池田 勝久 村田 潤子 池田 浩己 野口 恵美子 玉利 真由美 広田 朝光 意元 義政 高林 哲司 富田 かおり 二之宮 貴裕 森川 太洋 浦島 充佳
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.118, no.6, pp.728-735, 2015-06-20 (Released:2015-07-18)
参考文献数
21
被引用文献数
2 9

これまで本邦における慢性副鼻腔炎は好中球浸潤が主体で, 内視鏡鼻副鼻腔手術とマクロライド少量長期投与にてかなり治療成績が向上してきた. しかし2000年頃からそれらの治療に抵抗性を示し, 易再発性の難治性副鼻腔炎が増加してきた. この副鼻腔炎は, 成人発症で, 嗅覚障害を伴い, 両側に鼻茸があり, 篩骨洞優位の陰影があった. 末梢好酸球も多く, 気管支喘息やアスピリン不耐症の合併もあった. このような副鼻腔炎の粘膜には多数の好酸球浸潤が認められていたため, 好酸球性副鼻腔炎と命名された. 好酸球性副鼻腔炎は, 徐々に増加傾向を示してきたが, 好酸球性副鼻腔炎の概念, 診断基準はあまり明確に普及していかなかった. そこで全国規模の疫学調査と診断ガイドライン作成を目的に多施設共同大規模疫学研究 (Japanese Epidemiological Survey of Refractory Eosinophilic Chronic Rhinosinusitis Study: JESREC Study) を行った. その結果, 両側病変, 鼻茸あり, CT 所見, 血中好酸球比率からなる臨床スコアによる簡便な診断基準を作成した. さらに臨床スコア, アスピリン不耐症, NSAIDs アレルギー, 気管支喘息の合併症, CT 所見, 血中好酸球比率による重症度分類も決定した. 4つに分類した重症度分類は, 術後の鼻茸再発と有意に相関し, 最も易再発性かつ難治性の重症好酸球性副鼻腔炎はおよそ全国に2万人いることが判明した. 治療法については経口コルチコステロイド以外まだ確立されておらず, 早急なる対応が急務と考えている.
著者
森 安仁 上羽 瑠美 橘 澄 佐藤 拓 後藤 多嘉緒 藤巻 葉子 二藤 隆春 山岨 達也
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.120, no.7, pp.932-938, 2017-07-20 (Released:2017-08-18)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

歯ブラシによる口腔・咽頭外傷は小児に多く, 外力の加わる方向により深頸部や頭蓋内を損傷する可能性がある. 当院で入院加療を行った4症例を報告する. 症例1は咽頭後壁の受傷翌日に発熱と呼吸障害を来し, 深頸部・縦隔の気腫と周囲への感染を認め人工呼吸管理を要した. 3症例は口腔内の創傷が軽微だったが, CT で全例に気腫を認めた. 症例2は左副咽頭間隙を中心とした気腫, 症例3は咽後間隙上方に気腫と腫脹, 症例4は右顎下部から副咽頭間隙に気腫と腫脹を認めた. 全例が抗菌薬による保存的治療で治癒したが, 歯ブラシ外傷では局所所見が軽微な場合でも異物遺残や気腫, 深部感染の可能性に留意し, CT などの画像評価を行うべきである.
著者
今井 直子 熊川 孝三 安達 のどか 浅沼 聡 大橋 博文 坂田 英明 山岨 達也 宇佐美 真一
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.352-359, 2013 (Released:2014-03-20)
参考文献数
18

【目的と方法】  先天性難聴の原因として最も頻度が高いのは GJB2 遺伝子変異であり,一般的に非進行性難聴を呈するとされる。今回我々は GJB2 変異97例について遺伝子型と難聴の進行の有無について検討した。【結果】  遺伝子型は従来アジア人に多いとされている235 delC が最も多く,欧米人に多い35 delG は認められなかった。当初からの重度難聴例を除いた41例のうち,1 年以上の間隔で聴力が 2 回以上測定されている症例は32例であった。明らかな難聴の進行例は 1 例,進行疑い例は 3 例であったが,遺伝子型の特定の傾向は認められなかった。【結論】  GJB2 変異においては難聴の進行は稀であり,進行性難聴を呈する特定の遺伝子型は指摘できなかった。しかし乳幼児では特に難聴の程度が言語発達に大きく影響を与えるため,GJB2 遺伝子変異例であっても稀に難聴が進行するということをふまえて注意深く難聴の経過を追う必要がある。
著者
山岨 達也 越智 篤
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.52-62, 2014-02-28 (Released:2014-11-06)
参考文献数
46
被引用文献数
7

要旨: 加齢に伴う聴覚障害では, 末梢聴覚, 中枢聴覚, 認知の三つの機能が複合的に障害されている。老人性難聴では聴力は高音域から閾値上昇し, 難聴の進行は年と共に加速し, 個人差が大きいことが知られる。語音明瞭度は聴覚レベルに応じて悪化するが, 高齢になるほど聴力レベルよりも悪化する傾向にある。耳音響放射や聴性脳幹反応は主に聴力レベルに応じて障害されるが, 年齢自体の影響も見られる。Gap detection などで評価できる時間分解能も加齢により悪化する。難聴のために日常生活上の会話に不自由を感じる場合には補聴器装用が治療の第一選択となる。補聴効果が無くなった場合は人工内耳が高齢者においても有用であるが, 装用開始年齢が高齢であるほど術後の聴取成績が悪い傾向にある。加齢に伴う聴覚障害に対しては不要な強大音曝露の回避や動脈硬化の予防や治療などが有用と考えられる。また聴覚に基づく認知訓練が時間分解能の改善に役立つ可能性も示唆されている。
著者
二藤 隆春 山内 彰人 上羽 瑠美 山岨 達也
出版者
THE JAPAN LARYNGOLOGICAL ASSOCIATION
雑誌
喉頭 (ISSN:09156127)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.97-99, 2012-12-01 (Released:2013-05-10)
参考文献数
13
著者
山岨 達也 田山 二朗 喜多 村健
出版者
Japanese Society of Otorhinolaryngology-Head and neck surgery
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.93, no.12, pp.2028-2037, 1990-07-20 (Released:2008-03-19)
参考文献数
46
被引用文献数
4 4

Auricular hematoma is not rare condition and its prognosis has been considered to be good in Japanese textbooks. Recurrence of the hematoma, however, frequently occurs by use of simple aspiration or incision, and a pressure dressing. In this paper, we report a case of ruptured othematoma and review the biliographies concerning the pathology and treatment of othematomas.A 37-year-old man sustained a fist blow to his left ear at the beggining of May, 1989. He was first seen with auricular hematoma on July 4, but refused a surgical treatment. The laceration of the skin overlying the hematoma occurred by once more fist blow on July 26, with the upper auricle divided into anterior and posterior parts. The auricular cartilage was broken into several pieces, some of which attached to the anterior side and the others to the posterios side.Under general anesthesia, fibrin glue was applied to the dead space after irrigation, minimal debridement, and removal of the clots. Four horizontal mattress sutures were put through the entire pinna after the anterior skin was protected by fluffed gauze with antibiotic ointment and the posterior skin by buttons. The dressing was allowed to remain in place ten days and was then removed. Nine months after the operation the pinna appeared almost normal.In recent reports, the othematoma is considered to occur between the perichondrium and the cartilage, or within the cartilage. Various techniques have been applied to treat the othematoma, which are classified into three types : incision and drainage, pressure dressing with splinting mold, or with mattress suture. Treatment of choice is discussed, with reviewing the advantages and disadvantages of each method.
著者
二藤 隆春 今川 博 溜箭 紀子 山岨 達也 榊原 健一 田山 二朗
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.166-170, 2010-04-20
参考文献数
8

声帯瘢痕は, 手術や外傷による損傷, 炎症の反復などにより本来柔軟な声帯粘膜が硬い瘢痕組織に置換され, 声帯振動の異常から音声障害が生じる疾患である. 瘢痕性病変の部位や程度を正確に評価するには通常の喉頭内視鏡検査では困難であり, 喉頭ストロボスコピーや高速度デジタル撮影が必要である. 患側の声帯振動, 粘膜波動の減弱や消失, 両側声帯間の位相差や声門閉鎖不全などの所見が観測される. 画像解析法として, 声帯振動の時系列的な変化を追うキモグラフや部位ごとの声帯振動の差異を表示可能な喉頭トポグラフなどが活用されはじめ, さらなる発展が期待されている. 症状と喉頭内視鏡検査所見が一致しない場合は, 声帯瘢痕の可能性も念頭におき, 積極的に精査を進めることが重要である.
著者
赤松 裕介 廣田 栄子 尾形 エリカ 山岨 達也
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.34-42, 2022 (Released:2022-01-28)
参考文献数
20

小学校就学前にCI手術を受け,当科にて聴覚管理を行っている先天性重度聴覚障害児123名を対象に,小学校低学年(1-3年生)時の読書力検査(教研式読書力診断検査)と聴取能検査(福田版明瞭度検査単音節語表)の結果を後方視的に解析した.読書力偏差値は大きな個人差を認めたが,症例の54%で健聴児平均以上を示し,CI装用下の単音節聴取能と有意な相関を示した.読字力領域では,おおむね健聴児平均以上の良好な傾向を示し,語彙・文法・読解鑑賞領域で低下した.発達障害例,蝸牛神経低形成例は読書力に影響を与えることが示されたが,内耳奇形例と4歳以上手術例に必ずしも読書力の低下を示さなかった.聴取能の予後不良因子を除いた標準例の読書力偏差値は症例の61%(平均偏差値49.8)で健聴児平均以上を示し,動作性知能指数と単音節聴取能の関与が示された.今後,教育環境や家族要因などについても検討を行うことが必要と考えられる.
著者
山岨 達也
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.649-664, 2011 (Released:2012-02-09)
参考文献数
26
被引用文献数
3

乳幼児難聴では早期発見・早期支援が重要であり, 新生児聴覚スクリーニングを広く行うことに大きな意義があるが普及率は高くない。スクリーニング未施行例や進行性難聴例では介入が遅れる傾向にある。高度難聴のみでなく軽度から中等度難聴でも早期発見・早期介入が重要であり, 看過された場合はコミュニケーションに支障をきたし, 言語発達, 情緒, 社会性の発達などに影響が生じる。補聴効果に限界があると予想される高度難聴の場合はコミュニケーションモードの選択を視野に入れた対応が求められ, 療育上人工内耳が選択肢と考えられる場合には速やかに人工内耳医療を専門とする医療施設に紹介することが重要である。小児における人工内耳の術後成績には手術年齢, 難聴の原因, 重複障害の有無, コミュニケーションモードなど多くの因子が影響する。手術適応決定にはこれらの因子を含め考慮すべき多くの因子があり, 多職種によるチーム医療での対応が求められる。乳幼児難聴の臨床上の特徴は患児のみならず保護者も対象とし, その経過が長期にわたる事とダイナミックな発達的変化を含む事である。聴力検査一つをとっても高い専門性が求められ, 児の生活上の困難や保護者のニーズを把握するには聴覚医学だけでなく発達医学や心理学の知識も必要である。適切な時期の適切な判断が児の将来の発達に影響することを念頭に置いて治療にあたることが肝要である。
著者
小池 毬子 樫尾 明憲 尾形 エリカ 赤松 裕介 小山 一 浦中 司 星 雄二郎 岩﨑 真一 山岨 達也
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.195-203, 2021-04-28 (Released:2021-05-19)
参考文献数
29

要旨: 当科で経験した人工内耳埋込術を行った蝸牛神経低形成または欠損を認めない小児内耳奇形例23例を Sennaroglu 分類による内耳奇形に分類し, 就学期の聴取能や語彙理解能力及び就学状況について報告した。内耳奇形の内訳は, incomplete partition type I (IP-I) が7例, IP-II が7例, IP-III が1例, cochlear hypoplasia III (CH-III) が1例, cochlear hypoplasia IV (CH-IV) が4例, common cavity (CC) が3例であった。IP-II 症例では聴取能, 語彙理解能力ともに良好な症例を多く認めた。IP-I, CC 症例では症例間での差はあるものの, 聴取能, 語彙理解能力ともに良好という症例も存在した。一方, CH-IV 症例では聴取能が良好であっても, 語彙理解能力はいずれも不良であった。就学時普通学級選択状況については他の内耳奇形を伴わない症例の報告と大きな違いはなかった。予後の不確実性はあるが, 内耳奇形の種類に関わらず良好な成績をおさめる症例は存在し, 人工内耳手術は選択肢の一つとして考慮されるべきと思われた。
著者
原田 勇彦 加我 君孝 水野 正浩 奥野 妙子 飯沼 寿孝 堀口 利之 船井 洋光 井上 憲文 安倍 治彦 大西 信治郎 牛嶋 達次郎 宮川 晃一 伊藤 修 佐久間 信行 北原 伸郎 土田 みね子 飯塚 啓介 小林 武夫 杉本 正弘 佐藤 恒正 岩村 忍 矢野 純 山岨 達也 広田 佳治 仙波 哲雄 横小路 雅文 鈴木 光也
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.380-387, 1994-06-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
15

鼓膜炎, 慢性化膿性中耳炎, 真珠腫性中耳炎の感染時, 中耳術後の再感染症例を対象として, オフロキサシン (OFLX) 耳用液の有用性と耳浴時間に関する臨床的研究を行った。研究参加施設を無作為に2群に分け, 1群では1回6-10滴, 1日2回, 7日間以上の点耳を行い, 毎回点耳後約10分間の耳浴を行うよう, II群では同様の点耳後に2-3分間の耳浴を行うよう患者に指示した。総投与症例は258例で, 全体では83.3%の改善率, 86.7%の菌消失率 (143例中) が得られた。副作用は1例もなく, 全体としては82.9%の有用率であった。統計学的検定により1群とII群の比較を行ったところ, すべての項目で両群間に有意の差はみられなかった。以上の結果から, OFLX耳用液は鼓膜, 中耳の炎症性疾患に対して極めて有用かつ安全なものであり, その点耳後の耳浴時間は2-3分でも十分な効果が得られるものと考えられる。
著者
山岨 達也 菊地 茂 八木 昌人 菅沢 正 原田 勇彦
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.41-50, 1992
被引用文献数
18 1

We studied 50 patients with acute low-tone sensorineural hearing loss (ALHL) who were examined at the Department of Otolaryngology, University of Tokyo, and followed up for 18 months or more. We investigated the prognosis of hearing loss within 3 months after onset, rate of recurrence during long-term follow-up, interval between the first and the second episodes of hearing loss or between onset and the time when the diagnosis of Meniere's disease was made, and factors affecting prognosis.<br>The results were as follows.<br>1. Within the initial 3 months of follow-up, hearing loss continued to fluctuate in 5 patients. In the remaining 45, hearing returned to normal in 34, improved without returning to normal in 6, showed no marked change in 4, and became worse in one.<br>2. In long-term follow-up, the recurrence of hearing loss without vertigo occurred in 16 patients, and 5 others were eventually diagnosed as having Meniere's disease. The average interval between the first and second episodes of hearing loss was 9.2 months, and the diagnosis of Meniere's desease was made an average of 27 months after onset.<br>3. Recurrence was not significantly related to the initial prognosis of hearing loss.<br>4. Within the initial 3 months of follow-up, the prognosis of hearing loss was significantly better in patients whose hearing loss at 1kHz was within 20dB, and tended to be better in females and in patients attending within one week of onset. Long-term follow-up showed that the rate of recurrence was significantly lower in patients aged 40 years or more, and tended to be lower in patients who visited the hospital within one week of onset or whose hearing loss at 1kHz was within 20dB.<br>5. There were no significant differences between patients with single and recurrent attacks with respect to sex, subjective symptoms, and results of the glycerol test and electrocochleography.<br>ALHL tends to recur without any relationship to the initial prognosis of hearing loss. Since it is still difficult to predict whether or not hearing loss will recur, long-term follow-up is necessary even in patients with good initial prognosis.
著者
樫尾 明憲 山岨 達也
出版者
日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.191-196, 2010 (Released:2011-11-30)
参考文献数
16

酸化ストレス、ミトコンドリア遺伝子障害と老化の関連が示唆されている。我々はPolgおよびゲルマニウム慢性摂取マウスという2つのミトコンドリア障害モデルで、聴覚系の変化を検討し、加齢に伴う有意な聴力閾値上昇・蝸牛組織の変性を確認した。ゲルマニウム摂取モデルでは蝸牛でミトコンドリア関連遺伝子発現低下を認め、その機能低下が蝸牛組織変性・難聴につながると考えられた。次に抗酸化剤であるビタミンC合成能欠損マウス(SMP30/GNL KOマウス)を用い、ビタミンCの投与量による聴覚系の変化を検討した。ビタミンC制限は蝸牛内ビタミンC濃度低下、聴力閾値上昇とラセン神経節細胞の減少を来たした。しかし、ビタミンC補充は野生型マウスでも蝸牛内ビタミンC 濃度の上昇はなく、聴力・ラセン神経節の保護効果はなかった。ビタミンCの欠乏は老化に伴う難聴を加速させるが、補充は難聴の進行を予防できないことが示唆された。
著者
加我 君孝 狩野 章太郎 伊藤 健 山岨 達也
出版者
東京大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

(1)対象の選定東京芸術大学音楽部の学生のうち絶対音感を持つ学生と東京大学医学部の絶対音感を持たない学生を対象とした。被験者の聴覚中枢のどこが関係するかを解剖学的に明らかにすべく、脳のMEGで調べた。(2)方法音源定位については聴覚心理学的には、a.頭蓋内の音像が正中よりのずれの程度の認知を調べる音源定位法と、b.左右45度づつの範囲内にスピーカーを10度おきに配置して調べる音源定位法、c.バイオーラルステレオ録音を行い、音像移動法の3つについて改良を加えて用いた。aについてはリオン社製の旧式モデルを改良した。bとcについてはコンピュータ処理する方法を開発した。すでに脳磁図は東大病院検査部にあるフィンランド製のWhole head型を用いて、双極子の位置を調べた。脳の解剖と機能の両方から調べた。(3)結果1)絶対音感を持つ被験者の方向感も音源定位も非絶対音感者に比べ有意に域値が低いことがわかった。2)MEGでは絶対音感者は左右の側頭平面のより限局した部分に聴覚中枢が限局していることがわかった。