著者
田中 育太 友兼 毅 門田 美由香 小田 修治 野田 和克 佐藤 康史 六車 直樹
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.118, no.5, pp.473-479, 2021-05-10 (Released:2021-05-10)
参考文献数
25

症例は60歳代,男性.精神科病院に長期入院中,発熱,嘔吐を認め,救急搬送された.炎症反応上昇,溶血所見,急性腎障害がみられ,CTで胸腹水と,直腸壁外の浮腫状変化,air densityを認めた.搬送前日に施行された浣腸による直腸損傷と限局性腹膜炎,グリセリン血管内流入にともなう溶血と急性腎障害と診断した.グリセリン浣腸は,直腸損傷および溶血尿をきたした報告が本邦でも散見され,留意する必要がある.
著者
三井 康裕 寺前 智史 田中 久美子 藤本 将太 北村 晋志 岡本 耕一 宮本 弘志 佐藤 康史 六車 直樹 高山 哲治
出版者
一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
雑誌
家族性腫瘍 (ISSN:13461052)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.53-59, 2019 (Released:2020-02-29)
参考文献数
28

GAPPSは胃底腺ポリポーシスを背景とした胃癌を発生する新規の常染色体優性遺伝性疾患である.その原因としてAdenomatous polyposis coli(APC)遺伝子promotor 1Bの病的バリアントが報告されている.GAPPSの報告は欧米の家系のみであったが,近年になって本邦からも少数例認められるようになった.しかし,Helicobacter pylori感染率が高い本邦においては疾患の拾い上げが十分でない可能性がある.また,GAPPSの自然史は未だ不明な点が多く,臨床的に高い悪性度を示すものの,予防的胃全摘術の適応を含むサーベイランス方法は十分に定まっていない.今後,本邦をはじめ,より大規模な調査によりGAPPSの臨床病理学的特徴,病態およびサーベイランスのあり方について十分に検討する必要がある.
著者
松本 主之 新井 正美 岩間 達 樫田 博史 工藤 孝広 小泉 浩一 佐藤 康史 関根 茂樹 田中 信治 田中屋 宏爾 田村 和朗 平田 敬治 深堀 優 江﨑 幹宏 石川 秀樹 岩間 毅夫 岡﨑 康司 斎藤 豊 松浦 成昭 武藤 倫弘 冨田 尚裕 秋山 卓士 山本 敏樹 石田 秀行 中山 佳子
出版者
一般社団法人 日本遺伝性腫瘍学会
雑誌
遺伝性腫瘍 (ISSN:24356808)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.79-92, 2020 (Released:2020-09-25)
参考文献数
52

若年性ポリポーシス症候群は全消化管に過誤腫性ポリープである若年性ポリープが多発する,希少疾患である.SMAD4あるいはBMPR1A遺伝子の生殖細胞系列バリアントが原因として報告されている.約75%は常染色体優性遺伝形式を示すが,約25%は家族歴のない孤発例である.また,がん遺伝子パネル検査によって診断される可能性がある. ポリープの発生部位により全消化管型,大腸限局型,胃限局型に分けられ,胃限局型ではSMAD4の病的バリアントを原因とすることが多く,胃癌のリスクが高い.また,SMAD4の病的バリアントを有する症例では,遺伝性出血性毛細血管拡張症を高率に合併し,心大血管病変の定期検査も考慮する. 本診療ガイドラインでは,小児から成人にかけてシームレスに,正確な診断と適切な治療・サーベイランスが行われるよう, 基本的事項を解説し,3個のクリニカルクエスチョンと推奨を作成した.
著者
新津 洋司郎 佐藤 康史 瀧本 理修 加藤 淳二
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

組織線維症は現在全く治療法のない病態である。その責任細胞は星細胞であり、組織が傷害を受けると、それが活性化しコラーゲンを分泌するようになる。この分泌過程にはコラーゲンに特異的なシャペロン蛋白HSP47が補助的に関与する。本研究ではsiRNAHSP47を用いる事により活性化星細胞からのコラーゲン分泌を抑制する事を意図し、ラット肝星細胞での効果を検討したところ、明確に抑制効果が確認された。次いで星細胞がVitamin A(VA)を取り込み貯蔵するという性質を利用して、liposomeにVAを結合させその中に、siRNAHSP47(ラットではsiRNAgp46)を含ませてComplexを作製し、3種類(DMN,CCL4,DBL)の肝硬変ラットモデルでその抗線維活性を調べたところ、いづれのモデルにおいても明確な効果が見られた。また致死的なDMN モデルでは100%の生存率も確保できた。さらに同様な抗線維効果はDBTC膵炎ラットモデルに於いても確認された。本治療効果の機序としてはsiRNAHSP47によりコラーゲン分泌が抑制されると同時に組織中のコラゲナーゼ(一部は活性化星細胞からも分泌される)により既沈着のコラーゲンが分解される事によると考えられる。以上により本研究での開発された臓器線維症の治療法は、今後臨床への展開が多いに期待されるところである。
著者
佐藤 康史
出版者
札幌医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、骨髄間葉系幹細胞(MSC)を複製可能アデノウイルスのvehiclesとして用いたin vivo腫瘍ターゲッティング療法を開発することを目的とした。各種消化器癌に対してMSCが実際に腫瘍局所へ特異的かっ効率的に集積できるか否かにつき検討した。またtet on systemを組み込んだ複製可能アデノウイスルの作製を試みた。(1)in vivoマウス腫瘍モデルでの基礎的検討-MSCの腫瘍集積性の検討各種消化器腫瘍細胞として、MKN28,MKN45などの胃癌細胞株やhuh7,Hep3Bなどの肝臓癌細胞株を用いた。これらの細胞をnude mouseに対し皮下接種し生着後に1×10^5に調整したMSCを20日間に3回尾静脈投与した群と直接腫瘍内投与する群を設定した。さらにその2週間後に全身の臓器を含め摘出し凍結固定した。これらについて蛍光顕微鏡や坑MSC抗体(A02)を用いて腫瘍内に集積したMSCの割合と分布を検討した。全身の臓器および腫瘍を摘出し検討したところ、いずれも腫瘍特異的なMSCの集積がみられた。とくにHuH7において著明な集積がみられた。(2)tet on systemで制御可能な複製可能アデノウイスルの検討自らの複製に必要なEIAを癌特異的プロモーター(AFP)で制御し、しかもp53を不活化するE1B-55Kを欠失させた構造を有する複製可能アデノウイルスAdAFPep/Repを作製した.本virusを改変しE1Aの発現をtet on systemで制御するためTREとその下流にAFPepの転写因子であるHNF-1遺伝子を組み込んだアデノウイルスを作成しこれらをMSCに感染させたところ、Doxycycline添加により効率よく複製を開始した。これを用いin vivoでの有効性につき検討を行っている。以上のことから、各種消化器腫瘍の移植マウスモデルにおいて、MSCは腫瘍に集積可能でありこれにtet on systemで制御したAdAFPep/Repを搭載するシステムが可能であることが示された。