著者
森 俊文 松本 早代 井本 佳孝 四宮 寛彦 和田 哲 友成 哲 谷口 達哉 北村 晋志 六車 直樹 高山 哲治
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.254-258, 2014-05-20 (Released:2014-05-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

症例は21歳,フィリピン人女性.18歳までフィリピンにて生育,以降日本に在住.呼吸困難の精査目的で撮影したCT検査で肝臓内に網目状模様を認め,日本住血吸虫症を疑い血清抗体価を測定したところ高値であった.プラジカンテル40 mg/kg/日を投与し,6カ月後に抗体価は低下した.本邦では,新たな日本住血吸虫症はみられなくなったが,輸入症例や陳旧症例の報告が散見される.非流行地域において特徴的な肝画像所見を呈したことにより発見された本症の1例を報告する.
著者
木村 哲夫 六車 直樹 板垣 達三 井本 佳孝 梶 雅子 宮本 弘志 岡村 誠介 高山 哲治 春藤 譲治
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.1448-1454, 2008

症例は63歳,男性.つるし柿6個を一度に食べた後に,腹痛・嘔吐が出現し近医を受診した.上部消化管内視鏡検査にて6cm大の胃石を認めた.柿胃石と判断し,近年の報告を参考にコカ・コーラの経口摂取や内視鏡下にERCP力ニューレを用いて直接散布などを行ったところ,数個の破片に崩壊,消失する経過が内視鏡的に観察された.本疾患に対するコカ・コーラによる溶解療法は安全かつ簡便で,医療経済的にも有用な方法であると考えられた.
著者
田中 育太 友兼 毅 門田 美由香 小田 修治 野田 和克 佐藤 康史 六車 直樹
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.118, no.5, pp.473-479, 2021-05-10 (Released:2021-05-10)
参考文献数
25

症例は60歳代,男性.精神科病院に長期入院中,発熱,嘔吐を認め,救急搬送された.炎症反応上昇,溶血所見,急性腎障害がみられ,CTで胸腹水と,直腸壁外の浮腫状変化,air densityを認めた.搬送前日に施行された浣腸による直腸損傷と限局性腹膜炎,グリセリン血管内流入にともなう溶血と急性腎障害と診断した.グリセリン浣腸は,直腸損傷および溶血尿をきたした報告が本邦でも散見され,留意する必要がある.

1 0 0 0 OA 大腸癌の予防

著者
高山 哲治 宮本 弘志 六車 直樹
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.113, no.7, pp.1168-1175, 2016-07-05 (Released:2016-07-05)
参考文献数
23

食生活を改善して大腸癌を予防する1次予防では,赤身肉,加工肉,アルコール,喫煙などの危険因子を回避(または減量)すること,野菜,線維,果物,牛乳,カルシウムなどを十分に摂取するとともに,適度な運動を行うように心がけるべきである.また,大腸癌を早期に発見する2次予防では,便潜血検査や大腸内視鏡検査を受けることが重要である.大腸内視鏡検査では,前癌病変である腺腫を摘除することも癌の予防に重要である.一方,現在種々の薬剤の発癌予防効果を調べる臨床試験が行われており,近い将来,有効な予防薬が開発されることが期待される.大腸癌の3次予防としては,異時性の大腸癌予防の観点から定期検査の受診が必要である.
著者
三井 康裕 寺前 智史 田中 久美子 藤本 将太 北村 晋志 岡本 耕一 宮本 弘志 佐藤 康史 六車 直樹 高山 哲治
出版者
一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
雑誌
家族性腫瘍 (ISSN:13461052)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.53-59, 2019 (Released:2020-02-29)
参考文献数
28

GAPPSは胃底腺ポリポーシスを背景とした胃癌を発生する新規の常染色体優性遺伝性疾患である.その原因としてAdenomatous polyposis coli(APC)遺伝子promotor 1Bの病的バリアントが報告されている.GAPPSの報告は欧米の家系のみであったが,近年になって本邦からも少数例認められるようになった.しかし,Helicobacter pylori感染率が高い本邦においては疾患の拾い上げが十分でない可能性がある.また,GAPPSの自然史は未だ不明な点が多く,臨床的に高い悪性度を示すものの,予防的胃全摘術の適応を含むサーベイランス方法は十分に定まっていない.今後,本邦をはじめ,より大規模な調査によりGAPPSの臨床病理学的特徴,病態およびサーベイランスのあり方について十分に検討する必要がある.
著者
高山 哲治 五十嵐 正広 大住 省三 岡 志郎 角田 文彦 久保 宜明 熊谷 秀規 佐々木 美香 菅井 有 菅野 康吉 武田 祐子 土山 寿志 阪埜 浩司 深堀 優 古川 洋一 堀松 高博 六車 直樹 石川 秀樹 岩間 毅夫 岡﨑 康司 斎藤 豊 松浦 成昭 武藤 倫弘 冨田 尚裕 秋山 卓士 山本 敏樹 石田 秀行 中山 佳子
出版者
一般社団法人 日本遺伝性腫瘍学会
雑誌
遺伝性腫瘍 (ISSN:24356808)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.93-114, 2020 (Released:2020-09-25)
参考文献数
62

Cowden症候群/PTEN過誤腫症候群は,PTEN遺伝子の生殖細胞系列の病的バリアントを原因とする常染色体優性遺伝性の希少疾患である.消化管,皮膚,粘膜,乳房,甲状腺,子宮内膜,脳などに過誤腫性病変の多発を特徴とする.巨頭症および20歳代後半までに多発性皮膚粘膜病変を発症することが多い.ときに小児期に多発する消化管病変,自閉スペクトラム症,知的障害が診断の契機となる.また,がん遺伝子パネル検査によって診断される可能性がある.乳癌,甲状腺癌,子宮内膜癌,大腸癌,腎細胞癌などの悪性腫瘍を合併するリスクが高く,適切なサーベイランスが必要である. 本診療ガイドラインでは,小児から成人にかけてシームレスに,正確な診断と適切な治療・サーベイランスが行われるよう,基本的事項を解説し,4個のクリニカルクエスチョンと推奨を作成した.