キーツ(John Keats, 1795-1821)が、ガイ病院付属医学校の学生であった時に書きとめた「解剖学・生理学覚書」(Anatomical and Physiological Notes)における記述と、『エンディミオン』(Endymion)のグローカス(Glaucus)、「ハイペリオン」('Hyperion')のハイペリオン、および「ハイペリオンの没落」('The Fall of Hyperion')における詩人などが受ける痛みに関するそれぞれの描写とを比較すると、後者は前者の知識を踏まえて描写されている点を論じた。また、その記述の方法は、身体的・生理学的に理解可能な描写となっていることから、彼らの痛みは一般的に理解可能なものとして示されているのではないかと論じた。また、キーツの痛みに対する態度は共感的なものと考えられるが、それはsympathyよりも、むしろ19世紀後半にOEDに取り上げられるempathyの力によるものと推測した。そして、その共感の力は看護師が臨床の場で求められる能力にも通じるものであると論じた。