著者
加茂 具樹 小島 朋之 小島 朋之 北岡 伸一 家近 亮子 加藤 陽子 川島 真 服部 龍二 一谷 和郎 王 雪萍
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2007

近年の日中関係は、日中間の歴史認識問題をめぐって対話可能な環境が整いつつあるきわめて稀な「凪」の状況にあるとの認識のもとで、(日本に利用可能な)日中戦争に関連する歴史資料の調査及び収集をすすめ、また同時に日中戦争や日中歴史研究に関する対話のプラットフォームの構築をおこなった。
著者
菱田 雅晴 天児 慧 高原 明生 厳 善平 唐 亮 Wank David 朱 建栄 大島 一二 諏訪 一幸 趙 宏偉 加茂 具樹 小嶋 華津子 福田 円 油本 真理 南 裕子 中岡 まり 岡田 実 鈴木 隆 呉 茂松 毛里 和子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、パラドキシカルな中国の腐敗現象を対象として、1)刺激・行為間の誘引/制約に関するインセンティブ・システムおよび市場体制・行政機構の未発現情況に焦点をあてた制度論に依る実態論分析と2)腐敗学構築のための一般分析ツール開発とその検証・適用の両者から構成される。本年度にあっては、既往年度と同様に、研究分担者、連携研究者および研究協力者等から構成される研究組織(=廉政研究会)を法政大学中国基層政治研究所内に設置し、研究計画の全体調整および班別研究組織体制の再確認を行った上で、各種腐敗現象のビジネス領域との関わりに焦点をあてることを本年度課題の核として設定し、各国・地域における経済腐敗、不正ビジネスの構造の検討を行なうこととした。併せて、中国的腐敗の具体的個別事案の事例蒐集を進めると同時に政治社会学的手法に基づく腐敗関知度/寛容度に関する広範なアンケート調査を実施すべく調査票の設計等準備作業を本格化させた。また、中国の腐敗現象に関わる事案、データを中国内外から広く蒐集し、事例研究を進めると共に党・国家による反腐敗のさまざまな法律、制度規定類を併せ蒐集分類することで、公権力の行使に関わる公務員、党幹部らの内部昇任、賞罰制度、登用制度、各級党組織間の関係、更には、“党政関係”(党と行政機関との関係)、“党企関係”(党政機関と市場諸組織・アクター間の関係)等々のあらゆる組織内規定、規則、ルールを検討した。これらの作業を通じ、腐敗現象そのものをどのように把捉すべきか、腐敗研究の原点を再確認することができた。
著者
阿古 智子 小島 朋之 中兼 和津次 佐藤 宏 園田 茂人 高原 明生 加茂 具樹 諏訪 一幸
出版者
学習院女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

急成長を続ける経済発展、世界の投資を吸収し続ける中国市場、その拡大する市場を武器にした外交戦略、等々、いまや中国を抜きには世界もアジアも、また経済も政治も語ることはできない。しかし一方では、日中間をはじめとして、さまざまな緊張要因をも中国は作り出している。中国国内に目を向けると、経済発展の裏で貧富の格差は拡大し、また腐敗は深刻化し、人々と政府との緊張関係は時には暴動となって表れている。こうした中国の国内、国際問題は、一面からいえば全て中国政治および社会の統治能力(ガバナビリティ)と統治のあり方(ガバナンス)に強く関連している。本研究は、現代中国の政治、社会、経済におけるガバナンス構造とそのための制度形成に注目し、中国社会がどのような構造問題に直面しているのか、またどのように変わろうとしているのか、という問題について、国際的学術交流をつうじてとらえ直そうとしたところに意義がある。本年度は、2009年2月9-11日にフランス・現代中国研究センターとの共催で、香港フランス領事館文化部会議室にて、総括を行うための第3回国際ワークショップを開催した。オーストラリア国立大学、香港バプティスト大学、米・オバリンカレッジなどの研究者らと共に研究成果を発表し、現代中国のガバナンスの特徴と変容について、経済・社会・政治の各分野から、積極的に議論を行った。ワークショップで議論した内容は、今後、フランス・現代中国研究センターの発行する学術誌に各々の論文や特集として発表するか、メンバー全員の論文を一つにまとめ、1冊の書籍として刊行することを目指している。日本の研究者が海外に向けての発信力を高めるという意味でも、当研究は一定の成果があったと言える。
著者
菱田 雅晴 毛里 和子 天児 慧 加藤 弘之 高原 明生 大島 一二 趙 宏偉 南 裕子 WANK David 唐 亮 小嶋 華津子 朱 建榮 加茂 具樹 諏訪 一幸 鈴木 隆 阿古 智子 中岡 まり 中居 良文 林 載桓 福田 円 呉 茂松 弓野 正宏
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

中国共産党を組織集団として捉えようとの目的から、中国側カウンターパートの協力の下、党および党員に関する認識をめぐる広範なインデプス・インタビューおよびアンケート調査を実施した。国家社会論フレームに基づくクロス解析結果から、「党政関係」、すなわち,党・国家体制の揺らぎおよび「党群関係」、すなわち,党に対する公信力の低下が観察された。だが、その一方で、政府、とりわけ中央政府に対する信任は依然として高位にあるところから、党信任の脆弱性は国家信任の強靱性によって補完されており、党のサバイバル戦略が依然として機能しているものと推測される。
著者
加茂 具樹
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、中華人民共和国の「議会」に相当する人民代表大会と、その構成員である人民代表大会代表の政治的機能を明らかにした。これまでの現代中国政治研究は、人民代表大会の活動、とくに人民代表大会代表の活動について、ほとんど関心を払ってこなかった。本研究は、そうした学問的な空白を埋めることができた。また、地方の人民代表大会代表に対する調査をつうじて、これまで政治的機能の実態が明らかではなかった人民代表大会代表が、選出された選挙区への利益誘導を目的として活動する実態を描き出すことに成功した。本研究をつうじて現代中国政治研究は、「議会」政治研究という新しい研究分野を見出すことに成功したかもしれない。
著者
菱田 雅晴 毛里 和子 天児 慧 加藤 弘之 唐 亮 高原 明生 小嶋 華津子 朱 建榮 趙 宏偉 諏訪 一幸 阿古 智子 南 裕子 中岡 まり 加茂 具樹 中居 良文 呉 茂松 白 智立 鄭 永年 景 躍進 趙 秀梅
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

1978年末以来の中国の改革が"私利"を核とした社会システム全体の転型であることに呼応して、中国共産党自身にも"私化"傾向が著しく、組織としての私人性に加えての"私利性"は"領導核心作用"なるレトリックの正統性に深刻な影を落としている。最終的には、この党組織は、内外の環境変化から危機的様相を強め、存続そのものが危殆に瀕しているかの如く見えるものの、これら変化を所与の好機として、この世界最大の政党にして最大規模の利害集団はその存在基盤を再鋳造し、新たな存在根拠を強固なものとしつつあるものとの暫定的結論を得た。