著者
斎藤 富由起 吉田 梨乃 小野 淳 Fuyuki Saito Yoshida Rino Ono Atushi 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科 東京学芸大学大学院 教育学研究科 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.19-26,

三世代のボディワークとして注目されているロシア武術システマ(Systema)は1.護身術、2.怒りを中心とした感情コントロール技法としての呼吸法、3.自己への気づきを深めるためのボディワーク、4.非常に強いストレッサーへの対処法、5.親子関係や対人関係を中心としたコミュニケーションの質を高めるワークショップなどに活動領域を広げている。一方、システマは日本に導入されてから日が浅く、定義が不明確であり、基礎研究に乏しかった。本研究では、作成された定義に基づきシステマの公認インストラクターへの半構造化面接を通じてシステマの特徴を整理した。また参与観察法に基づきシステマ親子クラスの構造を分析し、ワークショップ性と即興性の観点からその活動の性質を考察した。システマ親子クラスは、親子のコミュニケーションの質を高める優れたワークショップであることが示唆された。
著者
吉田 梨乃 守谷 賢二 江南 健志 小野 淳 Rino Yoshida Kenji Moriya Kenji Enami Atsushi Ono 東京学芸大学大学院 連合学校教育学研究科 淑徳大学 教育学部 こども教育学科 千里金蘭大学 生活科学部 児童教育学科 千里金蘭大学 生活科学部 児童教育学科
巻号頁・発行日
vol.13, pp.21-30,

第三世代のボディワークであるロシアのマーシャルアーツであるシステマが注目されている(吉田ら,2015).システマは,「破壊の否定」を根本におく優れたボディワークである.本研究では,システマの創始者であるミカエル・リャブコ(Mikhail Ryabko)に半構造化面接を試み,システマの定義とその展開について検討した.その結果,斎藤ら(2014)の定義は承認された.「コネクト」の概念において意味を拡大することが指摘された.さらにシステマの日本における展開として,身体性を重視した開発的カウンセリングへの応用が論じられた.
著者
斎藤 富由起 守谷 賢二 Fuyuki Saito Moriya Kenji 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科 文教大学大学院 人間科学研究科
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
pp.43-50, 2009

本研究では、境界性パーソナリティ障害(BPD)の治療として注目されている弁証法的行動療法(DBT)の観点から、DBT版マインドフルネス尺度を追試的に検討するとともに、DBTにおけるマインドフルネスと境界性パーソナリティ傾向の関連性を検討することが目的であった。マインドフルネス尺度を検討した結果、先行研究と同じ「中核的マインドフルネス」、「課題への注意集中」、「効果的な対人コミュニケーション」、「情動コントロール」という4因子構造が得られ、先行研究(守谷・池田・斉藤,2005)以上に信頼性と妥当性の高い尺度が作成された。さらに、境界性パーソナリティ傾向の高低を独立変数としDBT版マインドフルネス尺度得点を従属変数とした結果、境界性パーソナリティ傾向の高い人は低い人と比較して、マインドフルネス得点が有意に低いことが明らかになった。
著者
小野 淳 斎藤 富由起 Atsushi Ono Saito Fuyuki 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
pp.35-47, 2008

いじめ現象の第三のピーク期(尾木・渡部,2007)において、子どもたちの約40-50%がいじめに関係している。こうした動向の中で、新しいいじめの形態として、携帯やEメール、インターネット上の掲示板などを媒介とする「サイバー型いじめ」(Cyber Bullying)が注目されている。本論文では、第一に「サイバー型いじめ」が登場した背景とその定義を紹介し、第二に、サイバー型いじめの特徴や種類を伝統型いじめ(Traditional Bullying)との比較を通じて論じた。第三に代表的な教育委員会の取り組みと海外での教育心理学に基づくサイバー型いじめ対策プログラムを紹介し、今後のサイバー型いじめ対策の課題を検討した。
著者
串崎 幸代 Yukiyo Kushizaki 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科
巻号頁・発行日
vol.11, pp.11-17,

人は老いることによってさまざまな喪失を体験することが多い。老年期の課題については、そうした喪失などに対処し老いや死を受け入れることが挙げられるが、認知的・精神的な機能が衰退する後期高齢者や認知症の患者において、老いを生きることの意味はどのように考えるべきであろうか。文献を通して考察した結果、人生の最終段階においては他者を信頼して自己を委ねていくという課題が存在し、高齢者が認知的機能や自己意識を手放して生きることの意味や希望は高齢者を見守る側の他者に託されると考えられた。
著者
斎藤 富由起 吉森 丹衣子 守谷 賢二 吉田 梨乃 小野 淳 Fuyuki Saito Yoshimori Taeko Moriya Kenji Yoshida Rino Ono Atushi 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科 公立中学校スクールカウンセラー 文教大学大学院 人間科学研究科博士後期課程 社会福祉法人聖音会鎌倉児童ホーム 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科
巻号頁・発行日
vol.9, pp.13-20,

社会的ネットワークの希薄化を背景に,過剰な承認欲求(山竹,1998 ・2011)などの現代的な課題を反映した青年期心性が注目されている.こうした青年期心性の一つに「見捨てられ不安」(abandonment anxiety)がある.見捨てられ不安は,その概念の成立から精神分析理論の影響が強く,現在の社会的要因を独立変数とする数量的検証に乏しかった.本研究では見捨てられ不安を社会構造の変化に基づく現代的な青年期心性として,「重要で身近な他者(集団)に承認される自信がなく,自身の価値観をありのままに主張すると,重要で身近な他者(集団)から嫌われるのではないかという不安から自己犠牲的な認知・行動を過剰に選択する心理傾向」と定義し,質問紙の開発を試みた.その結果,「承認・注目欲求」と「過剰な自己犠牲」の2因子15項目の「見捨てられ不安尺度」の開発に成功した.
著者
岡村 吉隆 奥田 豊子 Yoshitaka Okamura Toyoko Okuda 千里金蘭大学 生活科学部 食物栄養学科 大阪教育大学 教育学部 生活環境講座
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-14,

睡眠時無呼吸症候群は肥満を伴うことはよく知られている。治療の第一選択肢は経鼻的持続気道陽圧療法であるが対症療法である。したがって、長年使用する必要がある。多くの日本の睡眠時無呼吸症候群患者は重症度が同程度にもかかわらず白色人種の睡眠時無呼吸症候群患者ほどの肥満ではない。それは、日本人では肥満に加えて顔面軸角(FX : facial axis)が睡眠時無呼吸症候群に影響されやすいための因子である可能性がある。すなわち、日本人の側頭蓋計測においては白色人種に比べて顔面軸角が狭いことが要因と考えられる。
著者
辻 ゆき子 千里金蘭大学 生活科学部 児童教育学科
巻号頁・発行日
vol.17, pp.29-40,

本学は保育者養成校として、学生自身の心の豊かさや感性の育成を重要視して保育内容(表現)の授業の中で様々な体験学習を計画・実施している。そのような折、2019年末からの新型コロナウィルス感染症拡大の波の中で対面での様々な演習を行うことが難しくなり、今年度はリモートでの演習を実施することとなった。そこで、例年は対面で実施していた演習をリモートで行うことで、学生の気付きや学びにどのような影響があるのかを検証することとした。結果的には、課題の内容を全く同様にはできずに結果に違いは見られ、ポイントを絞った細やかな観察は難しかった部分はあったが、2020年度は各自が好きな時間に自身の身近な場所で実施したことで、時間的にも余裕があり、自身の生活圏の自然により関心をもつことができ、課題以外の事柄にも幅広く目を向け、これまでとは違った気付きや考察が多く見られる結果となった。
著者
宮里 慶子 森本 美絵 Keiko Miyazato Morimoto Mie 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科 京都橘大学 人間発達学部 児童教育学科
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-12,

本稿は、養子縁組里親及び養親に対するインタビュー調査から、当事者自身が、抱える困難をどのように意味づけ、対処しているのか、その特徴をスティグマの問題から分析したものである。その結果、当事者は地域や学校等で特別視され排除されることがあり、その対処に迫られ、養育負担感が増す、抱える困難が拡大・深化する面がありながら、公的支援を受けることに消極的な傾向があるとわかった。
著者
國井 哲義 Tetsuyoshi Kunii 千里金蘭大学 生活科学部 食物栄養学科
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
pp.23-34, 2009

フィジーには、先住フィジー人とインド人の深刻な民族対立の問題がある。その対立を背景に、1987年から現在まで4回のクーデターと1回の軍の反乱があり、09年の現在も軍事暫定政権が権力を掌握したままである。対立の第一の原因と考えられるのが、マタンガリ・システムと呼ばれる土地所有制度である。本稿は現地でのフィールドワークをもとに、入手できたさまざまな資料を用いて、土地問題と民族対立の歴史と現状、さらに今後の展望を論じたものである。
著者
斎藤 富由起 Fuyuki Saito 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
pp.65-72, 2007

「パーソナリティ障害ほどの重篤さはないが、BPDと類似した認知・行動パターン」は、境界性パーソナリティ特性(Borderline Personality Trait)と呼ぶことが出来る。BPT研究では信頼性と妥当性を備えた質問紙が作成されていないため、量的研究が遅れていた(加来・斎藤・守谷・末武、2005)。そこで本研究では、境界性パーソナリティ特性尺度の標準化を試みた結果、信頼性と基準関連妥当性の高い5因子38項目の尺度が作成された(α=90)。本尺度の因子は弁証法的行動療法における主要4スキルとの適合性が高いため、効果的な介入法と予防法の観点から、主要4スキルを尺度化し両要因の関連性を検討すること、また見捨てられ不安尺度や二分法的思考尺度との関連を求め、本尺度と境界性パーソナリティ障害との関連を検討することが今後の課題として指摘された。
著者
原 雅子 Masako Hara 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科
巻号頁・発行日
no.10, pp.1-9,

古典文学は新たな文学の典拠として援用され、時に飛躍転換し姿を変え文学として人を魅了する。古典は連続しつつ不連続に様々なジャンルの文学の中に糸を紡いできているといえる。古典文学と古典語を生かした現代絵画、現代の歌を掲げ底流に在る古典との意味を追求するものである。
著者
原 雅子 Masako Hara 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-9,

古典文学は新たな文学の典拠として援用され、時に飛躍転換し姿を変え文学として人を魅了する。古典は連続しつつ不連続に様々なジャンルの文学の中に糸を紡いできているといえる。古典文学と古典語を生かした現代絵画、現代の歌を掲げ底流に在る古典との意味を追求するものである。
著者
浅井 千晶 Chiaki Asai 千里金蘭大学 生活科学部
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.31-40,

Although Rachel Carson (1907-64) is now remembered largely for Silent Spring (1962), which exposed the dangers of pesticides, this book was preceded by three best-sellers about the ocean environment : Under the Sea Wind (1941), The Sea Around Us (1951), and The Edge of the Sea (1955). Carson always had a great appreciation for the natural world. She spent a great deal of her childhood exploring the woods on her family's property and enjoyed watching birds, insects and flowers. Remarkably, it was the ocean that most strongly attracted Carson, even though she lived far away from the Atlantic coast and had never visited the ocean as a child. She also developed a love of books and read every book she could find about the ocean. Through reading poems of Swinburne, Masefield and other poets, Carson formed an attachment to the traditional romantic image of ocean as ultimate sanctuary. It was some lines from "Locksley Hall" by Alfred Lord Tennyson that convinced Carson of her destiny. Later in her life she wrote, "I can still remember my intense emotional response as that line spoke to something within me seeming to tell me that my path led to the sea-which then I had never seen-and that my own destiny was somehow linked with the sea". Carson is a talented scientist and exceptional writer who kept her "Sense of Wonder" throughout her life. Carson's life and work tell us the importance of a vivid imagination and a strong will to go his/her chosen road.
著者
斎藤 富由起 小野 淳 社浦 竜太 守谷 賢ニ Fuyuki Saito Ono Atushi Syaura Ryuta Moriya Kenji 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科 ものつくり大学 学生相談室 文教大学大学院 人間科学研究科
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.69-81,

子どもの権利研究において居場所感と自己肯定感の関連性が指摘されているが、これらを実証的に検討した研究は非常に乏しい。本研究では、子どもの権利における心理学的実証研究の一環として、全日制普通科高校生版居場所尺度の作成を試み、自己肯定感との関連性を検証した。その結果、信頼性と妥当性のある居場所尺度が作成された。研究2では、居場所感と無効化環境体験(Invalidating Environment)の関連性を検討した結果、両要因に負の相関関係が確認された。