著者
守上 祐樹 藤森 明 久米井 真衣 灰原 博子 岡田 志緒子 溝渕 憲子 坂井 誠 中西 健
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.187-190, 2016 (Released:2016-02-28)
参考文献数
6
被引用文献数
1

血流量 (QB) とTMPの関係を明らかにする目的で, 血液透析 (HD) および前希釈オンライン血液透析濾過 (OHDF) の際, 血液側入口圧 (PBi), 血液側出口圧 (PBo), 透析液側入口圧 (PDi), 透析液側出口圧 (PDo) の4点の圧を測定した. 透析液流量は500mL/分とし, 血液流量 (QB) を100mL/分から250mL/分まで変化させTMPの変動を観察した. 5種類の計算式でTMPを算出し比較した. TMPの値は計算法によって大きく異なった. QBを上昇させた場合, HD条件ではすべての計算法でTMPは低下した. 一方, 前希釈OHDFではPBiを測定した計算法でTMPは上昇, その他の計算法では低下した. QBを上昇させると血液側の圧損失が増大するため, PBiを測定しなければ計算上のTMPの誤差が大きくなるものと考えられた. QB上昇の際, HDでは剪断速度の上昇のためTMPは低下し, 前希釈OHDFではQBの上昇により希釈率が低下したためTMPが上昇したと考えられた.
著者
古賀 佳代子 木村 裕美 西尾 美登里 久木原 博子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.634, 2020 (Released:2020-03-06)
参考文献数
24
被引用文献数
3

地域包括支援センター(以下,地域包括)は,業務量の過大や職員不足,離職問題等が報告されており,保健師,社会福祉士,主任介護支援専門員それぞれの専門性が発揮できていない。保健師も保健師間相互の連携の希薄さ等を実感し今後の保健活動への懸念を感じている。本研究では,地域包括保健師の研修教育体制を確立するための基礎資料の示唆を得るために,専門性を明らかにすることを目的とした。A県内の地域包括に所属している経験年数3年以上の保健師8名を対象とし,テキストマイニングKH Coderで分析した。その結果,「相談を受け,関係性を大事にし,判断する能力」,「認知症高齢者や精神疾患,医療的知識,在宅生活を知ることが必要」,「介護予防事業の支援」,「保健師が訪問やサロンに行って皆と一緒に活動」,「地域で包括的に保健指導等の活動が求められる仕事」の5クラスターが抽出された。専門性を発揮するためには,保健師,社会福祉士,主任介護支援専門員の3職種それぞれの専門性を活かしてチームアプローチを包括的に支援することが望ましい。また,教育体制として,ビジョンを立てることや相談できる人・スーパーバイズの必要性,キャリアパスの「見える化」を整備することで,地域包括の機能がさらに発揮できると示唆を得ることができた。
著者
澁谷 利雄 水野 杏一 菅原 博子 荒川 宏 里村 公生 五十嶋 一成 大鈴 文孝 青崎 登 栗田 明 細野 清士 山田 堯
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.557-562, 1983-05-25 (Released:2013-05-24)
参考文献数
14

Ear-lobe crease(EC)に関してこれまでにいくつかの報告があるが,詳細なものは少なく,その有用性については議論のあるところである.著者らは,ECの臨床診断学的意義について検討を行った.冠動脈造影で確かめられた冠動脈疾患(CAD)を有する患者82例とCADのない65例を対象に,ECとCAD,冠危険因子および眼底の動脈硬化性変化の関連性について調べた.ECはCAD,男性,喫煙歴と有意の関連があり,かつ加齢とともにECの陽性率が増加する傾向があった.ECとCADの関連をより明確にするため,EC陽性群とEC陰性群の間で性と年齢のm atchingを行い, 再び検討したところ,ECはCADのみと有意の関連があった.よって,ECはCADの有無を予測するのに有用なsignであると思われた.
著者
古賀 佳代子 木村 裕美 西尾 美登里 久木原 博子 池田 智
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.104-113, 2021 (Released:2021-09-16)
参考文献数
30

熊本地震の震災関連死に認定された者のうち3割が車中泊を行なっていたことが報告されている。車中泊による影響は,身体のみならず精神的負担も大きく,車中泊が及ぼす影響についての報告は少ない。そこで,本研究は被災就労者を対象に,熊本地震1年後の車中泊者の特性と精神的健康に影響を及ぼす要因を検討する。対象者は,熊本県上益城郡にある工業団地13社の被災就業者460名を対象者とし,車中泊あり群,車中泊なし群の2群に分類し分析した。結果,車中泊あり群は181名(72.7%)を占めていた。車中泊なし群に比べて,アテネ不眠尺度(Athene Insomnia Scale以下AIS),PTSDスクリーニング尺度(Impact of Event Scale-Revised以下IES-R),精神的健康調査票(General Health Questionnaire 以下GHQ 28)が有意に高いことが明らかになった。次に,精神的健康(①IES-R,②GHQ 28)の関連について重回帰分析を行なった結果,IES-R得点には,「身体機能(PF)」,「社会生活機能(SF)」,「不安と不眠」,「車中泊の有無」が,GHQ 28得点には,「活力(VT)」,「回避症状」,「車中泊の有無」,「自覚症状の有無」が影響を及ぼす要因として明らかになった。災害時の就労者の精神的負担は,累積された業務負担の上に課されている。長引く精神的負担は,改善されない可能性が指摘されており,早急に支援対策の在り方について検討する必要性が高いことが示唆された。
著者
西尾 美登里 坂梨 左織 木村 裕美 久木原 博子 緒方 久美子 古賀 佳代子
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.23-28, 2018-05-19 (Released:2021-03-15)

福岡市の高齢者における地域の災害避難場所の認知について, 実態調査を行い, 独居高齢者への災害支援のありかたについて検討した. 地域包括ケアシステムと介護の啓発を目的とした集会の参加者258 名を分析対象とし, 基本属性, フォーマルな相談窓口の認知と活用の有無, 活用している相談窓口数, 地域の避難場所の認知, 楽しみの有無, 情緒的支援, 自尊感情尺度について調査した. 分析は同居群と独居群の2群の差のカテゴリ変数にはχ2 検定, 連続変数にはMann–Whitney U 検定行い群間差を検定した. その結果, 独居高齢者は同居者がいる高齢者より有意に高齢で, 公の相談窓口を知らず, 相談談窓口数が少なく, 避難場所を知らず, 楽しみを有さず, 情的支援を受けていなかった. 都市部における高齢者への災害支援を充実させるためには, 特に独居高齢者が情的な交流のある生活の中で, 楽しみながら社会活動ができる場づくりを行う必要がある. また, 災害支援の情報提供は,社会活動ができる場で行うことが有益であることが示唆された.
著者
福田 章一郎 井口 郁雄 福島 邦博 木村 宣彦 杉原 博子 松原 浄
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 補冊 (ISSN:09121870)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.64, pp.27-35, 1993

Group pure tone screening test was performed on kindergartners to efficiently screen for hearing disorders. Pure tones of 500,1000 and 4000 Hz in each ear were combined with a hand raising response. The test frequency of 500 Hz was added to screen for otitis media.<BR>About 80% of children over 3 years and 6 months of age were capable of takin g the group screening test with hand raising response. At the same time, the ratio of children who could pass the screening test also increased considerably from 45.2% to 65.2%.<BR>Although we used 500 Hz to screen for otitis media, it was difficult to di a g nose otitis media by hearing screening only. Therefore, hearing screening was mainly effective in determining moderate hearing loss and unilateral sensorineural hearing loss.<BR>We found that a well-planned screening procedure and preparation b e fore the screening as well as decrease in the fail one rate on initial screening are necessary to examine large numbers of children rapidly and screen hearing disorders efficiently.
著者
田中 文雄 赤木 成子 藤本 政明 結縁 晃治 杉原 博子 増田 游 斉藤 稚里 小河原 利彰 中井 貴世子 難波 正行 岡田 聡子
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.851-856, 1994-09-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
10

めまいおよび耳鳴を主訴に来院した59症例に対してトフィソパムを投与し, 自覚症状, 他覚所見の改善度を検討した. 同時に心理テストであるTMIおよびシェロング起立試験を施行した. 全般改善度は軽度改善以上で, めまいに対して85%, 耳鳴に対して83 %であつた. めまいでは併用薬を用いた群で改善率が高かつたが, 耳鳴では併用薬のない群でも高い改善率が得られた. TMIでは, II型+IV型での著明改善の割合が1型での著明改善の割合より高い傾向を示した. またシェロングの起立試験では, 施行したすべての症例で陰性化を認めた. トフィソパムは自律神経機能不全の悪循環を断ち切ることにより, めまいおよび耳鳴を改善することが示唆された.