著者
山嶋 哲盛 及川 伸二 山下 竜也
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、世界的に様々な疾患モデルで追試されて来た研究代表者提唱の「カルパイン-カテプシン仮説」に基づき、オメガ6系の食用油を多量に摂るヒトに好発するアルツハイマー病や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)及び2型糖尿病などの病因を、ヒドロキシノネナール(HNE)などの過酸化脂質に着目して究明する。すなわち、『酸化損傷(カルボニル化)とカルパイン切断がもたらすHsp70.1の異常に起因するリソソーム膜の破綻』をサルモデルで検証し、生活習慣病の根本原因を見直す。
著者
及川 伸二 村田 真理子 平工 雄介 川西 正祐 Shinji Oikawa Mariko Murata Yusuke Hiraku Shosuke Kawanishi 三重大学医学部衛生学教室 三重大学医学部衛生学教室 三重大学医学部衛生学教室 三重大学医学部衛生学教室 Department of Hygiene Mie University School of Medicine Department of Hygiene Mie University School of Medicine Department of Hygiene Mie University School of Medicine Department of Hygiene Mie University School of Medicine
出版者
日本環境変異原学会
雑誌
環境変異原研究 = Environmental mutagen research communication (ISSN:09100865)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.207-213, 2001-12-22
参考文献数
33

Reactive oxygen species are capable of causing damage to various cellular constituents, such as DNA, proteins and lipids, leading to carcinogenesis, aging and a number of diseases. We have investigated the sequence specificity of oxidative stress-mediated DNA damage by using ^<32>P-labeled DNA fragments obtained from the human c-Ha-ras-1, p53 and p16 genes. The sequence specificity of DNA damage plays the key role in the mutagenic process, and affects the mutation frequency. Therefore, investigation on sequence specificity of DNA damage would provide clues on the biological significance of DNA damage which in turn may be beneficial for cancer prevention strategy. Here we discuss the mechanisms and sequence specificity of DNA damage caused by various environmental chemicals and UVA-activated photosensitizers in relation to carcinogenesis and aging.
著者
及川 伸二 山嶋 哲盛 小林 果
出版者
三重大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2018-06-29

アルツハイマー病の発症には多くの要因が関係すると考えられているが、近年脂質類のアルツハイマー病への関与を示す報告が多数なされている。脂質は、加熱などにより酸化され過酸化脂質を生じ、この過酸化脂質がさらに生体に酸化ストレスをもたらすことがよく知られている。本研究では、過酸化脂質などにより酸化ストレスを暴露したサルを用いて、細胞死誘導と酸化損傷タンパク質の変動について明らかにした。
著者
及川 伸二 大西 志保 村田 真理子 平工 雄介 川西 正祐
出版者
日本環境変異原学会
雑誌
環境変異原研究 (ISSN:09100865)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.125-133, 2004 (Released:2005-12-21)
参考文献数
24

Reactive oxygen species generated by environmental factors, such as radiation, UV and chemicals can cause sequence-specific DNA damage and play important roles in mutagenesis and carcinogenesis. We have investigated sequence specificity of oxidative stress-mediated DNA damage by using 32P-labeled DNA fragments obtained from the human c-Ha-ras-1, p53 and p16 genes. Free hydroxyl radicals cause DNA damage with no marked site specificity. Copper-hydroperoxo complex caused DNA damage at thymine, cytosine and guanine residues. 1O2 preferentially induces lesions at guanine residues. Benzoyloxyl radical specifically causes damage to the 5’-G in GG sequence; this sequence is easily oxidized because a large part of the highest occupied molecular orbital of this radical is distributed on this site.Recently, we demonstrated that BP-7,8-dione, a metabolite of carcinogenic benzo [a] pyrene (BP) , strongly damaged the G and C of the 5’-ACG-3’ sequence complementary to codon 273 of the p53 gene in the presence of NADH and Cu (II) . BP-7,8-dione also caused preferential double base lesion at 5’-TG-3’ sequences. Since clustered DNA damage is poorly repaired, it is speculated that induction of the double base lesions in DNA might lead to activation of proto-oncogene or inactivation of the tumor suppressor gene. Therefore, oxidative DNA damage induced by BP-7,8-dione, especially double base lesions, may participate in the expression of carcinogenicity of BP in addition to DNA adduct formation. Here, we discuss the mechanisms of sequence-specific DNA damage including clustered DNA damage in relation to mutagenesis and carcinogenesis.
著者
遠藤 大二 及川 伸 泉 賢一
出版者
酪農学園大学
雑誌
酪農学園大学紀要 自然科学編 (ISSN:0388001X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.41-49, 2006-10

一般的に、牛群や個体の管理は牛群検定(乳検)データの統計的解析に基づいて実施されている。季節変動、乳量の個体変動、乳脂肪分、体細胞数などの乳検データをグラフ化するためのアプリケーションソフトが開発された。ソフトはインタラクティブに二次元の散布図を構成する乳検データを選択できるようにデザインされた。データベースアプリケーション(マイクロソフトアクセス)の使用により、参照データ等による修正や乳検とは独立に採取されたデータとも連携した分析が可能になった。分析事例として、2005年12月15日の検査においては、1産目の牛群に比べて2産目以降の牛群で体細胞数の変動が高かったことが示された。このアプリケーションソフトは大学内の乳生産および疾病研究者に、1)乳検データを分析する際の効率を高め、2)研究者独自のデータと生産性の関係分析をより効果的に行うことを可能にし、3)学内の研究協力を推進するという点で、利益をもたらすことが期待される。本論文では、アプリケーションソフトの構築と利用画面について述べる。
著者
小川 康恭 圓藤 陽子 及川 伸二
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

平成7年より「化学物質の神経細胞毒性機構として、活性酸素が生成されアポトーシスもしくはプログラム細胞死を引き起こす」という仮説の基で研究を続けてきた。材料は、人間への影響をよりよく予測できるデータが得られることを期待して、株細胞ではなく初代培養細胞を用いることとした。平成7年度までに得られた成果は、(1)2,5-HexanedioneによりDNAの断片化が起こることを培養後恨神経節神経細胞により示したこと、(2)シスプラチンの場合、それだけではDNAに対する活性酵素の関与する毒性は発現しないこと等である。平成8年度においては(1)培養後恨神経節神経細胞に起こったDNAの断片化がアポトーシスそのものであること、(2)そのとき何らかの活性酸素種が発生していること、さらには(3)化学物質がアポトーシス進行過程のどの段階に作用しているのかを研究課題とした。平成8年度において以下の結果が得られた。(1)DNAラダー検出法を改善するために、神経細胞の収量を増大させ、鋭敏なDNA染色法の導入等を行ったとこと、ラダーの描出は可能となったが、依然として明確な像を得るには不十分な状態であるので更なる改善が必要である。(2)各種活性酸素消去剤により細胞死が抑制される結果が得られた。(3)DNAラダー検出系の感度及び安定性がまだ十分ではないためプロテアーゼが用いたアポトーシス進行過程での作用点解析はまだ進んでいない。このような結果に基づき、引き続きDNAラダー検出系の確立、発生している活性酸素種そのものの同定め、化学物質が働いているアポトーシスの進行段階の検討を進めている。