著者
野口 賢一 阪内 澄宇 古家 賢一 羽田 陽一 片岡 章俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.403, pp.31-36, 2005-11-10
被引用文献数
6

通信会議において, マイクロホンに触れたり, その近傍で発生する衝撃音や紙めくり資料をめくる音は, 相手側で非常に大きな音として再生され問題となる.本稿では, 通信会議で発生するこれら突発性雑音を1チャネル入力から抑圧する方式を検討した.提案方式では, 入力信号の線形予測残差信号を用いて, 突発性雑音の存在を判別する.突発性雑音が存在する区間では, 耳障りとなる高域の雑音成分を大きく抑圧するサブバンドリミッタと, 処理による音声劣化を抑えた低域に対する音声の調波構造強調を組合せて, 突発性雑音抑圧を行う.実験の結果, 突発性雑音重畳音声に対して, 騒音レベルを3.6dB改善できることがわかった.また, 主観評価実験から, 提案方式により突発性雑音が重畳した信号の音質を改善できることがわかった.
著者
清原 健司 古家 賢一 金田 豊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.161, pp.39-43, 2000-06-23
被引用文献数
1

反射性の対向壁の間でパルス音等の短音を発生させた場合に、特別な音色の音が室内に残って知覚される現象は、フラッターエコー(鳴き竜)としてよく知られている。しかし、壁面の反射率が極めて高い直方体室内で短音を発生させた場合に、sweep音が知覚されることは、一般にはあまり知られていない。本稿では、この「3次元鳴き竜」とでもいうべきsweep音についての分析をし、その生成機構を解明したので報告する。解析は簡単のため、立方体室について行った。解析の結果、反射パルス音列の大部分が二乗時間軸上で等間隔になっており、これが時間軸上では時間に比例して周波数が上昇しているためにsweep音として知覚されていることを明らかにした。
著者
織田 修平 青木 真理子 古家 賢一 片岡 章俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.10, pp.2765-2774, 2007-10-01

本論文では,聴覚障害者支援を目的として,日常生活における様々な報知音を2チャネルのマイクロホンで収録し,4方向の振動子により音源方向情報と振動パターンを伝達する方法を提案した.報知音の到来方向を識別する場合,従来は必要とする音源にマイクを装着したり,マイクロホンアレー方式など複数のマイクロホンが必要であったが,本提案ではゾーン分離収音技術(SAFIA)を用いて2チャネルのマイクロホンで目的の報知音を収録し,4方向の振動子により報知音の到来方向を伝達することが可能となる.これらの提案方法を実装し,聴覚障害者に使用してもらいその有効性を確認した.
著者
織田 修平 水島 昌英 古家 賢一 羽田 陽一 片岡 章俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.388, pp.41-46, 2004-10-21
参考文献数
7
被引用文献数
3

聴覚障害者支援を目的として,日常生活における様々な警告・報知音を,鳴動パターンを保持したまま振動で伝達する方法の検討を進めている.この方法の特徴は従来のように機械が音を識別して文字などでユーザヘ伝達するのではなく,ユーザ自身が音の種類をその鳴動パターンを手がかりにして判別することにある.聴覚障害者が振動の鳴動パターンのみで判別が可能かどうかを検証するため,まず最も鳴動パターンから判別がしやすいと思われる家電製品等で用いられるビープ音による「報知音」を対象に,健聴者,聴覚障害者それぞれを対象とした実験を行った.その結果,聴覚障害者は健聴者が音で報知音を聞く場合と同程度の判別力をもつことがわかった.さらに事前に情報を与えると判別力が向上することを確認した.
著者
古家 賢一 片岡 章俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.88, no.10, pp.1089-1099, 2005-10-01
被引用文献数
8

マイクロホンから離れた位置の音声を収音する場合, 部屋の残響により収音された音声が劣化する. この問題に対して従来, MINT法では残響抑圧のための逆フィルタ計算に事前のインパルス応答の測定が必要であり, 実用的ではなかった. 本論文では, 事前のインパルス応答測定を必要としないチャネル間相関行列と白色化フィルタを用いて残響抑圧を行うSemi-blind-MINT法を提案する. 提案手法では, 最も音源に近いマイクロホンのみを既知とし, 室内インパルス応答の事前測定の代わりに各マイクロホン入力間の相関行列を用いて逆フィルタ計算を可能とする. また, 音源信号が有色信号である音声のため性能が低下する点を, 収音された音に音声の平均スペクトルの逆特性をもつ白色化フィルタを用いることにより改善を図った. 実際の部屋において実験を行い, その結果, 提案手法では7dBの残響抑圧効果が確認でき, また, 遅延和アレー法による残響抑圧に比べても4dBの改善効果があった.