著者
高橋 洋成 池田 潤 和氣 愛仁 永井 正勝
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、前二千年紀から前一千年紀にかけて、古代オリエント地方で広く親しまれたギルガメシュ叙事詩のデジタル・アーカイブを構築するものである。ギルガメシュ叙事詩は、前二千年紀初頭に成立した古バビロニア語版と、前二千年紀末に成立した標準版が、ある程度現存している。そこで、古バビロニア語版と標準版の異同をデジタル処理可能なかたちでアーカイブ化することで、テクストの対応関係ならびに発展段階をある程度まで可視化することができた。本研究で開発されたデジタル化の枠組みは、言語研究や文学研究に広く応用することが可能である。
著者
和氣 愛仁 宇陀 則彦 永崎 研宣 松村 敦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.5, pp.1-4, 2013-07-27

筑波人文情報学研究会は,筑波大学人文社会系及び図書館情報メディア系の教員が中心となって立ち上げた研究グループである.資料の在り方に対して両極端の姿勢を持つ,人文学研究者と図書館情報学研究者のコラボレーションによって,人文情報学へ如何にアプローチしていくかを,本研究会のこれまでの活動報告を交えて議論する.The Tsukuba Research Group for the Digital Humanities is a research group that was started by members of the Faculty of Humanities and Social Sciences and the Faculty of Library, Information and Media Science. This paper will discuss approaches to the digital humanities through the collaboration of scholars in the humanities and in library and information science, who have views from opposite ends of the spectrum regarding data and what it should be. The discussion will include a report of the activities of this research group to date.
著者
永井 正勝 和氣 愛仁 高橋 洋成
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2019-CH-119, no.14, pp.1-7, 2019-02-09

一般言語学的なスタンスで様々な時代や地域の言語を統一的に扱おうとした場合に,どのような言語学的データの整理の仕方が必要なのかという観点は,データベース構築の際のプラクティカルな問題であると同時に,その整理行為そのものが,言語のあり方を記述する記述言語学の一形態としての価値を有する.本発表では,このような問題意識のもと,文字の直線的な羅列のみを見ていても言語構造が見え難いような文字資料をも対象としつつ,文字資料が持つ情報の,何を,どのように,整理 ・ 構造化して,それらを情報処理に結びつけていくべきなのか,という点について言語学の立場から提案を行う.
著者
高橋 洋成 永井 正勝 和氣 愛仁
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.5, pp.1-5, 2015-01-24

近年のコンピュータとインターネットの発展に伴い,これまでコンピュータ上では転写テキストとして扱われることの多かった言語資料を,音声,動画,画像と一緒に保存・利用することが容易になった.著者らは古代エジプト神官文字文書,楔形文字粘土板資料,近代日本語文典資料などの文字資料を統一的に扱うための画像データベースと,World Wide Web 上のプラットフォームを構築している.さらに,本プラットフォームは次の 2 点を目指している.(1) 本プラットフォームの内部に格納された言語資料および研究データを,外部に保存し共有するために Text Encoding Initiative (TEI) を利用すること.(2) データの保存と共有をさらに促進させるために,言語資料と研究データに関する RDF トリプルを生成し,Linked Open Data (LOD) として提供すること.本稿はこの 2 点について,現在までの取り組みと具体例を報告する.Recent development of the internet and computer technologies makes it easier to compile various linguistic materials such as audios, videos and photos with their transliteration texts together. The authors are constructing the general-purpose image database and the platform on World Wide Web for the linguistic studies on hieratic texts of Ancient Egypt, cuneiform tablets of Ancient Orient, and Modern Japanese Grammar Textbooks. The platform aims on the following two points: (1) to use Text Encoding Initiative (TEI) for preservation and sharing of the internal data with its outer world, (2) to create sharable RDF triples from the data to provide them as Linked Open Data (LOD). The current snapshot of the developing platform will be discussed.
著者
和氣 愛仁 矢澤 真人 宇陀 則彦 永井 正勝 高橋 洋成
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、資料画像にテキスト情報を付与し、画像から文字あるいは単語等のテキストデータを検索できるようなシステム(「アノテーション付与型画像データベースシステム」)について、さまざまな人文学資料を共通の枠組で扱うことを可能にするために、共通のユーザインターフェイスと標準的なデータ構造モデルを作成し、汎用データベースプラットフォームシステムを構築した。本研究ではこのプラットフォームを利用し、古代エジプト語神官文字パピルス資料、明治期日本語文典資料、古代シュメール・アッカド語楔形文字年度版資料のデータベースを構築した。
著者
矢澤 真人 橋本 修 和氣 愛仁 川野 靖子 福嶋 健伸 石田 尊
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

代表者、分担者、協力者の協力も得て、以下のことを行い明らかにした。国文法理論に関しては、形態論重視の文法理論と、それに対抗する意味論重視の文法理論とを検討し、包括性・初学者への分かりやすさでは前者に、認知論との関連・直感的な興味深さでは後者にメリットが多いことを明らかにした。これと相関して学習指導要領における文法教育・言語事項の位置づけや、教育現場での実際の取り扱い等を検討し、現況にあった有益な文法教育の目標としては、言語感覚の養成・母語への愛着の涵養等がより中心的になるべきであることを示した。他の文法理論については、それぞれ、存在動詞構文・ハイパレージ現象に対して構文文法的アプローチ、中世日本語述部(特にテンス.アスペクト)に対して形態・機能論的アプローチ、非分末の「ですね」に対して談話文法論・情報管理理論的アプローチ、自他の形態(の少なくとも一部)に対して認知・計算意味論的アプローチ、テイル文に対して(生成)統語論的アプローチが、有生性の心的実在性に対しては実験心理学(脳科学)的アプローチが有効であることが、それぞれの具体的分析・実験等により示された。また、教育文法に関しては、枠組みとして、身体活動も含めた言語行動ルールとしての文法の必要性、国語教材の選択・使用法について具体的手順(活用の既定の一部修正・教授順序の変更)を経たカスタマイズのありかた、生徒が作成する要約文の特徴と字数との関連等が示された。