著者
多和田 眞一郎
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.58-68, 2004-08-31 (Released:2017-08-31)

This paper provides a general description of the phonological history of Okinawan language, mainly focusing on its palatalization and affricative changes. The outline of this paper is as follows; (1) Did the affricative change of */ki/ occur during the 16th century? (2) The affricative change of */ti/ already occurred in the beginning of the 16th century, prior to that of */ki/. (3) It appears that the affricative formation of */gi/ and */di/ occurred slightly later than that of */ki/ and */ti/. (4) The palatalization of */-ika/ had already occurred in the beginning of 16th century. (5) The affricative formation of */ita/ occurred in the beginning of 16th century. (6) The palatalization of */iga/ occurred in the beginning of 16th century. (7) The palatalization of */ida/ must have occurred during the 16th century.
著者
多和田 眞一郎
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

沖縄語の通時的研究は、その共時的研究に比して、遅れていると言わざるをえないという認識の下に、(音韻史に関して)その基盤構築・整備のための研究を進めてきた。その目標の八割ぐらいは実現できた。ハングル資料・漢字資料に関してはほぼ達成できたが、いくつかの仮名資料及びアルファベット資料に関しては、後日を期すものが生じた。作業は継続し、相応のまとめをする予定である。ハングル資料「語音翻訳」「漂海録」に関しては、影印・翻刻を初め、本文・語彙索引及び分析にいたるまで、今回の研究で最終的なものが示せた。漢字資料に関しては、『琉球譯』の分析が保留となったが、本文の検討と語彙索引の作成によってある程度の成果が得られた。その他の漢字資料「中山伝信録」「琉球入学見聞録」等については、ほぼ完成したものが得られた。仮名資料に関しては、辞令文書・碑文記を中心に研究の骨格となるものが示せた。が、本文入力は終了しながら語彙索引作成・分析にまで到れなかったものが、いくつか存在する。その最たるものが『沖縄對話』(1880)である。進行中の語彙索引が完成すれば、研究の進展に寄与すること大である。アルファベット資料に関して言えば、「クリフォード琉球語彙」を基に研究の基盤が整備された。「チェンバレン琉球語彙」と称して収録した「チヤンバレーン氏増訂琉球会話」の語彙索引は、有効な資料となろう。『ベッテルハイム琉球語文典』から抜粋した「ベッテルハイム琉球語彙」の語彙索引も今後作成されるので、合わせて利用すれば相当の効果が得られる。報告書(1)・(2)を基に、前述の保留資料も整備して、『沖縄語の歴史(音声・音韻)』としてまとめる構想を持っている。研究の更なる発展を目指す。
著者
多和田 眞一郎
出版者
日本総合学術学会
雑誌
総合学術学会誌 (ISSN:13474278)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.5-12, 2002 (Released:2022-05-09)

The Action of Nonverbal Representation sometimes plays a more important role than Linguistic behavior. The purpose of this study is to propose the material to assist Japanese Language Learning based upon the newly established data base of the Action of Nonverbal Representation in Japanese.
著者
平川 均 多和田 眞 奥村 隆平 家森 信善 根本 二郎 小川 光 山田 基成 中屋 信彦 奥田 隆明 佐藤 泰裕 森杉 雅史 瀧井 貞行 蔡 大鵬 崔 龍浩 徐 正解 厳 昌玉 陳 龍炳 蘇 顕揚 劉 慶瑞 宋 磊 李 勝蘭
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2006

急速な東アジアにおける発展と国際競争力の源泉を産業集積と結びつけて論じた。その結果は一般的通念とされる低賃金に基づく単なる産業の発展を超えた側面の発見であり、東アジア地域のイノベーションの持つ役割である。独自のアンケート調査を実施した。日中韓台、ベトナムなどの海外の主要な研究機関の研究者との研究ネットワークの構築に成功し、国際会議も北京、南京、名古屋、ハノイで開催した。学術刊行物として、日本語、中国語、韓国語の図書の公刊、英語での学術雑誌への発表も行った。
著者
多和田 眞 (2008-2009) 多和田 真 (2007) 孫 淑琴 (SUN Shuqin)
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

発展途上国の二重経済について、環境政策と貿易政策がどのように協力して経済厚生を上昇させるかという課題に取り込んできた。特に発展途上国経済の特徴を代表するモデル(Harris-Todaro、1970)に環境問題を導入し、環境保護政策や貿易政策が労働移動や経済厚生にどのような影響を与えるかを分析した。また、循環資源貿易とリサイクル活動をH-Tモデルに取り込んで、貿易自由化がこの経済にどのような影響を及ぼすかも検討してきた。二重経済モデル(Harris-Todaro)についての拡張は多く見られるが、環境問題や循環資源貿易を導入した分析はそれほど多くない。本研究では生産要素は二要素として部門間移動が自由な労働と各部門に固定的な資本を考え、小国開放経済を想定する。そして、従来の研究を発展させて、労働移動のインセンティブが賃金の格差ではなく効用の格差であると考えて分析を行った。その下で工業部門の生産活動が環境汚染を引き起こし、消費者に悪影響を与えると考えて、工業部門の汚染発生率や工業部門の固定賃金水準の変化など、工業品の輸入に対する関税の賦課が労働移動や経済厚生水準にどのような影響を与えるかを考察した。結果は汚染削減技術の推進などの環境保護政策が都市失業の増加を招くが、経済厚生を上昇させるなどの結論を導出した。また、Harris-Todaroモデルに循環資源貿易とリサイクル活動を取り入れた新たな一般均衡モデルを構築し、循環資源の貿易パターンがどのような要因によるのか、循環資源の貿易自由化がこの経済にどのような影響を与えるかを検討してきた。そして、これまでの研究をまとめて、2編の論文を作成して、そのうち1本は国際誌に、もう1本は国内レフェリー誌に掲載となっている。