著者
森 龍太 今井 海里 大野 栄治 森杉 雅史
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_31-I_41, 2014

日本では,1992年にUNESCOの世界遺産条約を締約した後,2013年末までに17件が世界遺産リストに登録されている.そのうち,白神山地はそこに広がるブナの原生的自然林およびそれに付随する公益的機能によって世界自然遺産に登録されているが,そのブナが温暖化の進行により衰退の危機に瀕している.もし世界遺産登録後のモニタリングにより顕著な普遍的価値を失っていると判断されると,世界遺産リストから抹消されることとなる.本研究では,温暖化による世界自然遺産への影響として白神山地の世界遺産登録抹消を想定し,それによる白神山地観光訪問への影響を分析した.その際,旅行費用法に基づく仮想行動法を用いて,白神山地のレクリエーション価値の変化を推計した.
著者
中村 英佑 森杉 雅史 井村 秀文
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
環境システム研究論文集 (ISSN:13459597)
巻号頁・発行日
no.31, pp.395-403, 2003
被引用文献数
1

環境公平性を議論する上での1つの規範は, 「人間は全て平等であり, 人間1人当たりに許容される資源消費量と環境負荷発生量は等しくなければならない」というものである.しかし現実には, 1人当たりの資源消費量や環境負荷発生量は国によって大きく異なる. さらに, 経済のグローバル化によって, 世界各国は資源消費と環境負荷の相互依存性を強めており, 自国の環境負荷を他国に転嫁する動きもみられる. 本研究では, アジア太平洋地域を対象として, 産業連関分析により貿易を通じた資源消費と環境負荷の国際的相互依存状態を定量化し, それが環境問題をめぐる国同士の公平性にとって如何なる意味を持つかを検証した. その結果, この地域での資源消費と環境負荷の中心は米国と中国であり, 1人当たりの資源消費と環境負荷には米国と他国との間に格差が存在することが明らかとなった.
著者
加知 範康 加藤 博和 林 良嗣 森杉 雅史
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.558-573, 2006
被引用文献数
2

本研究では,生活環境質(QOL)が高い都市空間構造を実現するための居住地立地誘導の方向性を見いだす指標として,都市内各地区における居住から得られる生活環境質の評価指標を「余命」を尺度として定義する.定義した指標を用いて財政的持続性および社会的公平性制約下での都市全体の生活環境質最大化問題を定式化し,さらに,これを都市の居住地立地施策に適用するために,生活環境質を市街地維持費用で除した社会的費用効率(S値)を用いた撤退・再集結地区選定の枠組みに展開する.本手法を実際の地方都市に適用した結果,生活環境質自体は中心部より郊外部の方が高いものの,S値は市街地が拡大する前の既存集落部で高くなり,分散集中型への誘導が望ましいことが示される.
著者
森杉 雅史 大野 栄治 宮田 譲 根本 二郎 大西 暁生 金 広文
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究課題は、近年のメコン川流域諸国の急激な経済発展に起因する水資源に関わる諸問題を、経済と環境の二つの視点に即し、統計整備と幾つかの解析を試みるものである。具体的には得られた地域内間表のサーベイと、諸国の経済状況、並びに、誘発環境負荷分析の下で諸地域の相互依存状況を見ていく。また現地調査により水質悪化に伴う疾病対策の評価も行っている。また一方で目下流域諸国の中では情報整備が抜きんでている中国を対象とし、河川流域の水資源に関する需給モデルを展開する。また、費用関数やフロンティア分析の応用などによって、水資源の農産物に対する生産性、課徴金制度の効果なども吟味している。
著者
平川 均 多和田 眞 奥村 隆平 家森 信善 根本 二郎 小川 光 山田 基成 中屋 信彦 奥田 隆明 佐藤 泰裕 森杉 雅史 瀧井 貞行 蔡 大鵬 崔 龍浩 徐 正解 厳 昌玉 陳 龍炳 蘇 顕揚 劉 慶瑞 宋 磊 李 勝蘭
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2006

急速な東アジアにおける発展と国際競争力の源泉を産業集積と結びつけて論じた。その結果は一般的通念とされる低賃金に基づく単なる産業の発展を超えた側面の発見であり、東アジア地域のイノベーションの持つ役割である。独自のアンケート調査を実施した。日中韓台、ベトナムなどの海外の主要な研究機関の研究者との研究ネットワークの構築に成功し、国際会議も北京、南京、名古屋、ハノイで開催した。学術刊行物として、日本語、中国語、韓国語の図書の公刊、英語での学術雑誌への発表も行った。