著者
福井 秀夫 畠中 薫里 久米 良昭 玉井 克哉
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

1.土地利用及び環境の融合領域に係る法改正スキームの構築都市計画・建築規制、借家法制、不動産競売法制、景観法制、都市環境法制等に関する法律を対象に、現行制度の問題点を摘出したうえで、これを解決するための具体的法改正スキームを構築した。そのうえで、コースの定理等法と経済学のツールを適用した分析を行い、その妥当性を検証した。2.土地利用・交通需要予測総合モデルによる法改正影響の分析東京大都市圏(一都三県+茨城南部)を対象とする土地利用・交通需要予測総合モデルを利用し、ロードプライシングを始め、都市計画・建築規制、環境・景観法制に係る法改正を実施した場合に、交通流動、環境負荷及び都市構造に与える影響を推計した。具体的には、東京23区業務地区で20%増の容積率緩和を行った場合、域外からの流入等により就業人口が23区合計で約140万人増大する。これに伴い自動車交通量は、環6〜環2間で2.1%、環2内で5.5%増大する。これに対して環状8号線内側地域を課金エリアとし、この中に19ゾーンを設定したうえで、(a)エリア外から(環8を超えて)流入する車両及び(b)エリア内でゾーン境界を都心方向又は環状方向に通過する車両に課金する(課金額は一律200円)道路課金を導入するとともに、三環状道路が整備されれば、環6〜環2間自動車交通量は3%減少し、環2内でも1.2%の増大に留まる。3.法改正による総合的な費用・便益分析の実施20%増の容積率緩和により、オフィス賃料収入は年間4917億円増大する。これに対する道路混雑による社会的損失は、道路課金導入及び三環状道路整備が行われれば、年間713億円に留まる。このほか、容積率緩和による環境・景観悪化による社会的費用計測手法を開発し、法改正が社会にもたらす影響のバランスシートを作成する方法論を構築した。4.立法に係る学術的方法論の普遍化以上の成果を踏まえ、より普遍的な「仮説-検証」型立法の方法論を構築した。
著者
下村 郁夫 福井 秀夫 久米 良昭 丸山 亜希子
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

建築基準法における建物の形態・容積・用途に関する規制は、一定の仕様に適合することを求める仕様規定である。仕様規程を、住環境影響やインフラなど建物性能に関する指標で直接制御する性能規程に置き換えることにより、より効率的な規制を実現できる。建物の形態に関する規制は、天空遮蔽率を用いた性能規定に代替できる。建物容積による影響のうち、建物形態がもたらす影響も、天空遮蔽率を用いた性能規定に代替できる。道路に対する負荷の影響は、自動車への混雑課金に代替できる。住居系地域における工場用途の仕様規定も、工場の騒音、臭気等の性能規定に代替できる。