著者
吉田 陽祐 多田 昌裕 野間 春生 野田 賢
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.20, pp.5-8, 2011-05-20

近年,自動車や道路に対して様々な改良がなされた結果,交通事故件数は減少傾向にあるが,依然として高い水準を保っている.これに対し筆者らは,装着型センサで計測した運転行動データに加え,交差点のもつ地形的特性や周辺交通状況をも考慮した運転技能評価手法により,ドライバーの安全意識の向上を図るアプローチを提案している.今回,予防安全面から見て提案手法による評価がどの程度意味のあるものなのか,その有用性を調べるため,教習所指導員による主観的な技能評価との比較を行った.38人のドライバーを被験者とした公道走行実験の結果,安全運転の専門家である指導員の評価結果と相関係数0.71の関連がある事を示し,提案手法の予防安全面での有用性を確認した.
著者
多田 昌裕 飯田 克弘 安 時亨 山田 憲浩
出版者
Japan Society of Traffic Engineers
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.A_79-A_87, 2015

<tt>筆者らは,先行研究の事故調書解析によって,接触と追突という異なる形態の事故が高速道路の本線料金所において,どちらも多く発生していることを明らかにした.一方,交通コンフリクト指標として汎く用いられている TTC は,計算の際,各車両を点として扱うために,衝突形態(接触事故,追突事故の別)の判別が困難であるという問題があった.そこで,本研究では車両の大きさを考慮に入れることで,衝突形態を把握できるよう工夫した 2 次元 TTC を用い,西名阪道・柏原 TB の交通流データ(23.5min,845 台)を解析した.その結果,TTC が 3 秒以下となった 11 件の事例のうち,5 件は接触事故,6 件は追突事故の危険性を示唆するものとなり,柏原 TB において接触事故と追突事故,それぞれのリスクを高めるような交通状況が同時に発生していることが明らかとなった. </tt>
著者
大谷 眞弘 多田 昌裕 岡田 昌也
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.A_294-A_301, 2018

<p><tt>日本では,特に地方部において乗合バスが重要な公共交通インフラとなっており,</tt>1 <tt>件のバス事故が日常生活に大きな影響を及ぼす.しかしながら乗合バス事故の件数は依然として多い.本研究では,新人バス運転手 </tt>16 <tt>名と指導運転手 </tt>7 <tt>名の,バス停留所への停車・発車,右左折など,バス乗務中に起きる様々な交通場面を含む公道上での運転行動を計測し,計測データを比較することで,どのような場面においてバス運転手がリスクの高い運転をする傾向にあるのかを調査した.その結果,バス停留所発車時や狭路直進時における,同時に複数の項目を確認しなければならない状況下において,新人運転手群は車内事故や対人事故を防止するために確認すべき項目の確認回数が指導運転手群と比較して有意に少ないことが明らかとなった.</tt></p>
著者
多田 昌裕 瀬川 誠 岡田 昌也 蓮花 一己 小暮 潔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.263, pp.1-6, 2008-10-16
被引用文献数
4

本稿では事故多発地点など,通行の際に十分な注意を要する場所(要注意地点)における運転者の行動を自動評価するシステムを提案する.提案システムは,無線ジャイロセンサ情報とGPS情報とを併用することで,運転者が要注意地点において十分な事故予防動作をしているかを自動的に判定する.もし運転者の行動に予防安全の観点からみて改善すべき点がある場合には,その旨を走行後に提示し,運転の改善を促す.筆者らは,タクシー運転手を対象とした公道上での実車実験を実施し,提案システムによる運転技能の自動評価結果が,指導員による評価結果と80%以上の精度で一致することを確認した.筆者らは,さらに次のステップとして,提案システムをタクシー運転手再教育講習の現場に導入する実証実験を,2008年4月から実施している.この実証実験からは,受講者が自らの運転を客観的に把握するためのツールとしても,提案システムが有効であることを示唆する結果が得られている.
著者
内海 章 野間 春生 多田 昌裕 萩田 紀博 宇野 雅博 小林 聖
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CNR, クラウドネットワークロボット (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.338, pp.23-26, 2012-11-30

交通環境における無線機器の利用状況と通信品質の関係について解析した結果を報告する.近年,自動車内にはインターネットに繋がるゲートウェイとなる情報ハブが用意され,車内の運転者や同乗者は各自の端末を介して情報ハブにアクセスする環境が当たり前になりつつある.しかし,道路を走行する多くの車が無線ハブを搭載するようになると,渋滞などで搭載車両が過密に分布した場合に無線リソースが逼迫し,正常なサービスの提供が困難になることが考えられる.特に災害や事故による渋滞では,緊急性の高い通信が阻害される恐れがある.本報告ではISM 帯において現在広く利用されているWi-FiとBluetooth 通信を対象に,公道を想定したシミュレーションによって,通行状態と無線の輻輳状態の関係を分析する.また,通信のQuality of Service (QoE) 充足度を指標にした無線システムの制御による通信品質改善の可能性についても併せて検討する.
著者
戸田 英夫 多田 昌裕 野間 春生 蓮花 一己
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.54, pp.37-40, 2009-12-03

近年の交通事故原因の特徴として安全不確認,脇見運転,動静不注視が上位を占めており,運転手の危険認知不足によって引き起こされる事故が多発している.そのため,運転手が危険認知不足に陥りやすい箇所を抽出し,それを認知させる技術の確立は予防安全の観点からみても重要である.本研究では,運転手に装着型センサを取り付けて運転手の一挙一動を計測し,計測した動作データから危険認知不足にともなう行動を推定し,推定した行動が頻発する領域を潜在的危険領域として抽出する.抽出した潜在的危険領域に基づき交通ハザードマップを生成し,これら一連の仕組みを自動化する手法を提案する.
著者
坂本 龍哉 多田 昌裕 大村 廉 納谷 太 野間 春生 鳥山 朋二 小暮 潔 佐野 睦夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.45, pp.43-48, 2008-05-15

従来の人物位置推定手法の大半は,(1)観測対象領域内に遮蔽物や仕切りがほとんど存在しない環境,(2)壁などの遮蔽物によって観測対象領域が空間的に完全に分離されている環境,のいずれかを観測対象領域としていた.しかしながら(1),(2)のいずれにも該当しない環境,例えば大型ショッピングモールのように,商品棚や背の低いパーティションといった仕切りは存在するものの,空間的には完全に分離されていない環境(半開放型環境)も少なからず存在する.そこで本研究では,従来考慮されていなかった半開放型環境においても,高い精度で人物位置推定可能な手法を提案する.提案手法は,複数のパーティクルフィルタを取捨選択的に用いることによって,半開放型環境において頻発する人物検知センサの誤反応・検知漏れを逐次検出・修正し,従来手法よりも10%以上高い人物位置推定精度を実現した.