- 著者
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中野 幹生
島津 明
小暮 潔
- 雑誌
- 全国大会講演論文集
- 巻号頁・発行日
- vol.52, pp.45-46, 1996-03-06
- 被引用文献数
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話し言葉により人間と自然に会話できる計算機を作るためには,自然な対話文を解析して,意味を求める方法を構築する必要がある.そのためには,まず,対話文が書き言葉の文とどのように異なるかを調べる必要がある.そこで,問い合わせや仕事の依頼の電話対話,野球中継,ラジオ電話相談の書き起こしデータを分析し,対話文特有の現象の調査を行っている.これらの対話は,あらかじめ状況を設定して行われたものではなく,自然に行われた対話である.次に,発見された現象を分類整理し,個々の現象について対処法を考える必要がある.この時,どのように現象を分類するかが問題となる.現象の分類と対処法の構築は分離して行えるものではなく,処理の枠組をどうとるかに応じて分類が決まる.話し言葉には,一見規則がないように見えるが,よく観察すると,一定の規則性が見られる.我々は,書き言葉の文法を構築しなおすことによって話し言葉を扱う立場で分析を進めている.竹沢らは,状況を設定して行われた対話の調査を基にして,対話特有の現象を扱う音声認識用の文法を構築しているが,網羅的であるかどうか,また,どのように意味関係を求めるのか明かでない.本稿では,文法枠組として,統語構造と意味表現の関係が明確な単一化文法を用い,この観点からの対話文特有の現象の整理を試みる.文法の拡張法として,語彙項目の追加,素性制約の緩和,句構造規則の追加,文の概念の拡張の四つを考え,これらの拡張を書き言葉の文法に施すことにより対処できる現象について述べる.今までに調べられている現象は,これらの四つに分類が可能である.