著者
木之内 誠 平石 淑子 大久保 明男 橋本 雄一
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

近代百年を通じてロシア、中国、日本の諸勢力がせめぎあい、多元重層的な文化の場を形成した植民都市大連の過去、現在を景観のうちに透視し、ここに生きた人々の場所をめぐる集合的な記憶を都市文化の未来への展望につなぐ歴史地図を制作した。各種の旧地図などの歴史的な文献資料と、現地調査結果を総合して描かれた立体鳥瞰図的な多色表示による、五千分の一縮尺を基本とした二十枚ほどの区分図によって、この地図は構成される。建物の建造年代別の色分けや道路の起伏の表示など、現地を歩く利用者にとって使いやすい、直感的な了解をたすける可視化の手法を追及した。
著者
蘭 信三 外村 大 野入 直美 松浦 雄介 上田 貴子 坂部 晶子 高野 和良 高畑 幸 飯島 真里子 花井 みわ 竹野 学 福本 拓 大久保 明男 倉石 一郎 山本 かほり 田村 将人 田村 将人
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究の成果は以下のようである。まず、(1)第二次世界大戦後の東アジアにおけるひとの移動は日本帝国崩壊によって策定された新たな国境線によって引揚げ、送還、残留、定着という大規模な人口移動と社会統合がなされたことを明らかにした。しかし、(2)例えば日韓間の「密航」や中国朝鮮族居住地域と北部朝鮮間の移動のように、冷戦体制が整うまでは依然として残る個々人の戦前期の生活戦略による移動というミクロな側面も継続されていたことを明らかにした。そして、(3)帝国崩壊後も中国に残留した日本人の帰国のように、それは単純に「遅れた帰国」という戦後処理(コロニアリズム)の文脈だけではなく、日中双方における冷戦体制崩壊後のグローバル化の進行という文脈、という二つのモメントに規定されていたことを明らかにした。