著者
浜本 隆志 R.F Wittkamp 熊野 建 大島 薫 森 貴史 浜本 隆志
出版者
関西大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

最終年度にあたる本年は、ジュヴァルツヴァルト地方の冬至祭礼調査、宮崎県高千穂町での仮面を用いる冬至祭の儀礼調査、秋田県男鹿地方での新年の祭礼であるナマハゲおよびその周辺地域の祭礼調査といった、これまでの複数年度の調査をもとに、分析・考察をおこなった。ドイツ語圏を中心としたヨーロッパの通過儀礼と、日本を中心としたアジアの通過儀礼は意外と類似する部分が多いという認識に到達することになったが、そうした場合は、たいていがキリスト教文化の浸透以前、あるいはあまり浸透していない西欧の地域や地方のものであることが多いようである。あらためて、現在の世界各地で発生している文化摩擦や紛争の主な要因のひとつが、結局のところ、多神教と一神教の対立に起因しているのではないかという推測に蓋然性をみいだすこととなった。したがって、多神教的思考と一神教的思考というこの二項対立、たとえば、それは中沢新一が主張するところの対象性思考と非対象性思考の対立といえるのだが、これを乗り越えるために必要な思想や考え方を、世界の別の地域や住民たちのものにみいだすにしろ、まったく新たに創造していくにしろ、それともこれらのことが可能ではないときにはやはり、このふたつの対立を統合していくべき方法論を将来、模索していかなければならないだろう。本研究に従事した研究者の個別の研究成果によってなされている主張が、現時点における考察の結果の一部ではあるが、これらの成果によって、萌芽研究という本研究の役割は果たされたと思われる。
著者
大島 薫
出版者
関西大学
雑誌
國文學 (ISSN:03898628)
巻号頁・発行日
vol.82, pp.7-19, 2001-03
著者
大島 薫
出版者
関西大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

<説法>と称される一連の言説に<経釈>を位置付け、その構造を明らかにするとともに、法会における一連の所作として、学侶の研鑽を明らかにするために行われた<論義>と、これら<説法>における言説との関連性など見出した(福田晃編『唱導文学研究第四集』、三弥井書店、発表予定)。また<経釈>に限らず、<説法>における一連の言説として表白された<表白><施主段>についても伝本調査を行い、東寺観智院金剛蔵『十二巻本表白集』ほか、その本文を電子化するなど、それらの解読をすすめる準備を行った。さらに、「説法の上手」とうたわれ、「説法道」を確立したと伝えられる、安居院澄憲の<説法>を相対化するために、澄憲以前に、多くの「説法詞」を草したことで知られ、その「詞」の多くが伝存する寛信について、その著作に関する調査と解読をすすめた。結果、『類雑集』の成立ほか、勧修寺流の形成についても私見を得た(勧修寺聖教文書調査団における夏期報告会において口頭発表した)。また、澄憲草を中心とする、安居院流の「説法詞」を伝える文献に関して、真福寺・神奈川県立金沢文庫・叡山文庫・東寺観智院金剛蔵・勧修寺などで伝本調査を行った結果、「説法の上手」で知られた澄憲が、天台教学の研鑽をすすめるべく「宗要」の編纂を手がけたむねを伝える文献を発見するなど、これまでの澄憲理解を覆す新見をも得た。
著者
曽根原 理 牧野 和夫 福原 敏男 佐藤 眞人 大島 薫 松本 公一 岸本 覚 山澤 学 大川 真 中川 仁喜 和田 有希子 万波 寿子 クラウタウ オリオン 青谷 美羽 杉山 俊介
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本の近世社会において、東照宮が果たした役割を考えるため、関係する史料を各地の所蔵機関などで調査した。また、近世初期に東照宮を設立する際に基盤となった、中世以来の天台宗の展開について、各地の天台宗寺院の史料を調査した。加えて、年に二回のペースで研究会を行い、各自の専門に関する報告を行い議論した。そうした成果として、日本各地の東照宮や天台宗寺院に関する著作と論文を公表することが出来た。