著者
加藤 みゆき 田村 朝子 斎藤 ひろみ 大森 正司 難波 敦子 宮川 金二郎
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.525-530, 1995-06-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
12
被引用文献数
2

後発酵茶の一つである石鎚黒茶について, その製造工程中の成分変化について検討した.ポリフェノール含量は, 他の後発酵茶と同様に製造過程で減少していた.カテキン含量については, 製造工程中で減少し, 特にエステル型カテキンの減少が大きかった.有機酸含量としては, 桶づけ後の茶葉に乳酸が顕著に生成した.
著者
築舘 香澄 大森 正司
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

<b>目的</b> &gamma;-アミノ酪酸(GABA)は抑制性の神経伝達物質として脊椎動物の脳内に存在することが知られている.また,現在では様々な末梢組織にGABAが存在することも認められている.近年,GABAは血圧上昇抑制作用や抗ストレス作用,成長ホルモン分泌促進作用,腎機能障害抑制作用,中性脂肪増加抑制作用を有することが知られ,機能性食品素材として注目されているが,食餌性GABAの体内における挙動について検討した研究はほとんどない.そこで本研究では,ラットにGABAを経口投与し,各臓器におけるGABAの分布について検討した.<br><b>方法 </b>6週齢のWistar系雄性ラットを用いた.ラットに10%GABA溶液を1mL強制経口投与し,1,3,5時間後に二酸化炭素による安楽死の後開腹し,心臓採血を行った.その後,生理食塩水を灌流して脱血し,胃,肝臓,腎臓,脾臓,十二指腸,盲腸,大腸,睾丸,脳を摘出した.採取した血液および臓器についてTCA溶液で除タンパク後,L-8800形日立高速アミノ酸分析計を用いてGABA含量を測定した.<br><b>結果 </b>血液,肝臓,十二指腸および睾丸中のGABA含量は,投与後1時間で最大値を示し,時間とともに緩やかに減少した.胃では投与後1時間で最大値を示し,その後,急激な減少が認められた.腎臓では,投与後1時間から3時間で最高値を示し,その後減少した.脾臓では投与後3時間で最大値を示した.盲腸および大腸では,投与後,時間とともに増加した.GABA投与後,脳中GABA含量の大きな変化は認められなかった.
著者
長野 宏子 大森 正司 矢野 とし子 庄司 善哉 西浦 孝輝 荒井 基夫
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.389-393, 1992-05-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
20
被引用文献数
1

植物由来のEnterobacter cloacae GAO と, 腸由来のE.cloacae IAM 12349, E.coli IAM 12119 との簡易判別法開発のための検討を行った.(1) E.cloacae GAO の生育はグルコース, アスパラギンを含むG培地にリンゴジュースを添加すると約2倍に, カザミノ酸を添加すると約3倍に促進された.(2) GAO の炭素源としてはリンゴジュース中に存在するブドウ糖とショ糖がIAM 12349に比べよく資化された.セロビオース, リボースがよく資化されており, 特にキシロースはIAM 12349ではごくわずかな資化性であるが, GAOではよく資化された.(3) GAO は, pH4から10までの広い範囲で生育が可能であり, E.coli はpH7以下, pH10では生育せず, またGAO はエスクリン分解陽性であったが, IAM12349, E.coli は陰性であり相違が明らかであった.以上の結果より簡易判別法になりうるものであった.
著者
長野 宏子 大森 正司 庄司 善哉 飯渕 貞明 荒井 基夫
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.219-226, 1994

中国等の多くの国の小麦粉発酵食品は自然発酵によっているところが多い.タイやインドネシアの伝統的な小麦粉発酵食品に関与している微生物の検索を行い, ガス発生する微生物を分離・同定し, その性質を明らかにした.パームジュースをスターターとする蒸し菓子 (khanom taan) のドウから<I>Enterobacter cloacae</I>を単離した.揚げパン (paathong koo) のドウからは, <I>Klebsiella planticola</I>および<I>Proteus mirabilis</I>を単離した.発酵性細菌の安全性は既に確認されている.単離した細菌である<I>E.cloacae, K.planticola</I>を用いて饅頭を製造した結果, 良好な膨化を示し, 十分にスターターとしての働きをもつものであった.
著者
加藤 みゆき 長野 宏子 大森 正司
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.737-740, 2010-11-15 (Released:2013-07-01)
参考文献数
7
被引用文献数
1

The distribution method and consumption of tea products (except green tea) in Vietnam were studied. Fresh tea leaves are distributed in bundles like vegetables in South Vietnam, while in Hanoi, North Vietnam, fresh tea leaves are put into baskets and sold. Che xanh fresh tea leaves are infused by hot water together with ginger to serve for drinking. It presents a cool feel, although having some grassy smell.
著者
長野 宏子 大森 正司 庄司 善哉
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.38, no.10, pp.865-869, 1987-10-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10
被引用文献数
3

小麦粉製品の膨化に関して昔から, 伝統的に酵母以外の微生物と考えられるものが, 日本の一部で用いられてきた.このように蒸し物として中国料理で用いられ, また秘伝とされている発麺 (スターター) を聴聞により調製することを検討し, 饅頭をつくることが可能となった.1) 発麺発酵条件を検討した結果, 水を用いるよりも, リンゴ浸漬水を用いるほうが, スターター (発麺) を調製するのに適していた.また, 発麺の調製条件は, 30℃で4時間を要した.2) 発麺を用いて饅頭を作るための, 2次発酵時間は, 30℃で4時間を要し, また発麺の小麦粉に対する割合は, 5~10%でよかった.3) 発麺とパン酵母を用いて饅頭を作り, 官能検査をした結果, 有意差はなかった.とくに発麺を用いた饅頭は酵母臭がないものであった.4) 発酵ドウ中の微生物を光学顕微鏡で観察した結果, 桿菌のみが存在し酵母は存在しなかった.
著者
加藤 みゆき 大森 正司 加藤 芳伸
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.421-427, 2011-09-15
被引用文献数
2

緑茶を対象としてretroposon-like sequence DNA (RLS-DNA)塩基配列の比較解析により品種の判別を試みた.実験には,やぶきた品種のチャ葉より製造した緑茶と,市販されている中国,ベトナム,ミャンマー,台湾の緑茶,そして日本の緑茶用40品種の生茶葉を用いて実験した.RLS-DNAの塩基配列を比較解析することにより,おくみどり,べにふうき等の品種の判別が生茶葉と緑茶葉を用いた場合,共に可能であることが認められた.また,中国,ベトナム,ミャンマー,台湾の緑茶についてもRLS-DNAの多型解析により我が国の緑茶と識別可能であることが認められた.今回の実験から,RLS-DNAを指標とした塩基配列の多型解析は,おくみどり,べにふうき品種等の品種を判別するための手法に適用できるものと考える.
著者
大森 正司 矢野 とし子 岡本 順子 津志田 藤二郎 村井 敏信 樋口 満
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.1449-1451, 1987
被引用文献数
41 87

This study was conducted to investigate the effects of green tea made from leaves incubated in an anaerobic condition (Gabaron tea) on the blood pressure of spontaneously hypertensive rats (SHR). No difference was found in the mean body weight of the control groups (first group, fed on water; second group, fed on ordinary green tea) and the experimental group (third group, fed on Gabaron tea) throughout the test period. The mean blood pressure of the three groups was identical at 160 mmHg in the pre-test period. The mean blood pressure of the experimental group was 158 mmHg, whereas the control groups shared 163_??_167 mmHg one week after the experiment started. The blood pressure of the experimental group was significantly lower than pressures of the <br>control groups (<i>P</i><0.01).<br> In all groups, the mean blood pressure increased gradually from 10 to 20 weeks of age. The mean blood pressure of the experimental group was about 150 mmHg, and those of the control groups reached 175_??_180 mmHg. The mean blood pressure of the experimental animals was 14_??_17% lower than the pressures of the control animals at 20 weeks of age (<i>P</i><0.01). The hypotensive effect on SHR fed the Gabaron tea infusion disappeared when the animals were returned to ordinary green tea intake at 20 weeks of age.
著者
加藤 みゆき 大森 正司 長野 宏子 加藤 芳伸
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

阿波晩茶製造工程中の桶漬けにおいて微生物を分離した。その中でも乳酸菌に分類されるLactobacillus pentosus, Lactobacillus plantarum, Enterococcus fecium and Enterococcus avium.を分離同定した。この DNA を解析した結果 1494bp の塩基配列が明らかとなった。阿波晩茶から分離した微生物の中にコラゲナーゼ活性を有している微生物が明らかとなった。阿波晩茶の浸出液中に抗酸化性を示す物質があることが明らかとなった。
著者
加藤 みゆき 田村 朝子 水落 由美子 大森 正司 難波 敦子 宮川 金二郎
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.7, pp.561-565, 1993-07-15
被引用文献数
5

Awa-bancha, a kind of post-heating fermented tea, is produced locally at remote and secluded place in the mountains of Tokushima prefecture in Japan. The present study was undertaken to investigate the changes of the components in Awa-bancha during the manufacturing process. Optical density of the tea infusion at 380 nm increased, but amounts of catechins and amino acids in the infusion decreased with the proceeding of the process. The presence of organic acid such as oxalic and citric acids were found before the fermentation. In addition to the above acids, lactic and acetic acids were identified after the fermentation, which were thought to be products of microbiological fermentation. Content of caffeine did not change during the process.