著者
大隅 典子
巻号頁・発行日
pp.1-24, 2019-12-03

会議名: 第42回日本分子生物学会年会研究倫理フォーラム
著者
村上 陽一郎 浅島 誠 白川 英樹 相澤 益男 大隅 典子
出版者
日本科学技術ジャーナリスト会議
雑誌
日本科学技術ジャーナリスト会議 会報 (ISSN:24364525)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.100, pp.8, 2021 (Released:2021-09-28)

科学ジャーナリスト賞2021の受賞作品、受賞者の声を前号で紹介しました。今号は審査してくださった有識者委員の講評を紹介します。新しい事態の衝撃 東京大学名誉教授、国際基督教大学名誉教授 村上 陽一郎「サクラエビ異変」講評公的資料の重要性と科学的調査 東京大学名誉教授、帝京大学特任教授 浅島 誠書籍「理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!」8 割おじさん奮闘記 筑波大名誉教授、ノーベル化学賞受賞者 白川 英樹テレビ番組「恐るべきデジタルネイテイブ」世界のメデイアに革新 科学技術振興機構顧問、東京工業大学名誉教授・元学長 相澤 益男書籍「理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!」コロナ3件 東日本大震災1件 東北大学副学長 大隅 典子
著者
大隅 典子
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.44-47, 2022 (Released:2022-06-25)
参考文献数
17

本稿では,近年増加の一途をたどる自閉スペクトラム症などの神経発達障害の病因の理解のために,「精子の老化」に着目する。精子細胞は,生命の起源としてゲノムの半分を供給するだけでなく,DNAのメチル化,ヒストン修飾,マイクロRNAなどのエピジェネティックな変化(エピ変異)を持ち込むことによって付加的な情報を伝達しうる。実際,筆者らはマウスをモデルとして,父親の加齢に伴い生じる精子DNAの低メチル化が次世代の神経発生に影響する分子機構について明らかにした。精子に生じるエピジェネティックな変化(エピ変異)がどのように次世代の病気や障害を引き起こすのかについての理解は,神経発達障害の新たな治療法や予防法の開発に資するものである。
著者
大隅 典子
巻号頁・発行日
pp.1-19, 2023-03-31

「転換点を生きる / 東北大学教養教育院編. -- 東北大学出版会, 2023.3. -- (東北大学教養教育院叢書「大学と教養」 / 東北大学教養教育院編 ; 6).」第7章(pp.151-168)の著者版
著者
酒寄 信幸 大隅 典子
出版者
日本脂質栄養学会
雑誌
脂質栄養学 (ISSN:13434594)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.14-20, 2018 (Released:2018-07-16)

Arachidonic acid (ARA) and docosahexaenoic acid (DHA) are the principal n-6 and n-3 polyunsaturated fatty acids (PUFAs) in the brain, respectively, and essential for proper brain development. Previous in vitro studies have revealed that ARA induces astrocytic differentiation of neural stem cells (NSCs), and that DHA induces neuronal differentiation of NSCs. Thus, n-6 and n-3 PUFAs have different roles in brain development. Regarding the evaluation of in vivo roles of these PUFAs, the balance of n-6/n-3 PUFAs is considered to be important because these PUFAs compete each other in their synthesis, metabolism, and transport. Indeed, we have reported neurodevelopmental consequences of maternal consumption of an n-6-rich/n-3-poor diet in mice. We found that epoxy metabolites of ARA and DHA oppositely regulated the neurogenic-to-gliogenic fate transition of NSCs, and consequently they affected brain development. These findings are scientifically and socially important, because intake of seed oils, which are abundant in n-6 PUFAs, and that of fishes, which are abundant in n-3 PUFAs, have recently been increased and decreased, respectively, in many countries. In another study from our collaborators, a mouse model for schizophrenia has been proposed based on phenotypes of offspring derived from pregnant mice fed a PUFA-deficient diet. In the present review, we summarize the functions of dietary n-6 and n-3 PUFAs in brain development.
著者
大隅 典子
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第48回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.S16-2, 2021 (Released:2021-08-12)

近年、疾病の原因が胎児期にまで遡ることができるというDOHaD(Developmental Origin of Health and Disease)説が着目を浴びている。DOHaDでは古典的には母体の栄養摂取や薬物暴露等、胎仔にとっての子宮環境に主眼が置かれてきたが、近年の疫学研究により、父親側の因子も次世代に影響することが指摘されつつある(Paternal Origin of Health and Disease, POHaD)。例えば、高齢の父から生まれた子どもにおいて、低体重出生児や、神経発達障害の増加が繰り返し報告されている。米国では、神経発達障害の一つである自閉スペクトラム症(ASD)のリスク因子を特定するための試みとして縦断調査(EARLI study)が行われ(http://www.earlistudy.org/)、この調査成果により、父親の精子DNAメチル化の変化と子どものASD的な兆候が確かに相関することや、そのうちの複数のDNAメチル化変化がASD患者の剖検脳においても共通していることが明らかにされた。このような背景にもとづき、我々は、加齢雄マウスを用いて父親の加齢が子どもの神経発達障害のリスクとなる分子機構について研究し、継精子エピゲノム変異に着目している。このような父親の加齢だけでなく、内分泌かく乱物質等、様々な要因によって変化し得る雄性生殖細胞エピゲノムが子どもの疾患リスクとなることが明らかとなりつつある。これは精子を介するエピゲノムの経世代影響の結果として、子孫が多様な表現型を持ち得るということも示唆している。エピゲノム変異の経世代影響という観点はこの問題に対する新たな切り口となるかもしれない。
著者
舘花 美沙子 大隅 典子
出版者
一般社団法人 日本DOHaD学会
雑誌
DOHaD研究 (ISSN:21872562)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.52-62, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)

DOHaD (Developmental Origins of Health and Disease)研究において、母親側の因子、とくに胎児期の環境などについてはよく研究されている。一方、父親側の因子がリスクとなる表現型として、低体重出生とともに自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)が知られている。父側のリスクはPOHaD (Paternal Origins of Health and Disease)として、新たに注目され始めている。近年のASD患者の増加の背景となる生物学的要因の一つとして、結婚年齢の上昇等に伴う父親の高齢が挙げられ、胚や胎児期の母体環境だけではなく、父側の生殖細胞の状態が子どもの神経発達症発症リスクに寄与するという報告が増えている。とくに、卵子と異なり、膨大な回数の細胞分裂を経て一つの幹細胞から多くの精子が産生される精子形成では、加齢によるゲノムの変異やエピゲノムの変化が起きやすいとも考えられる。De novoのゲノム変異が子どもの神経発達症の発症リスクに寄与する可能性も指摘されているが、近年はDNAメチル化をはじめとするエピゲノムの変化と疾患の関連も明らかになりつつあり、これまで解明されていなかった疾患の発症メカニズムの理解に向けて研究が進んでいる。その他、ヒストン修飾およびnon-coding RNAなども、加齢により変化するエピゲノム因子として報告されている。このような、雄性生殖細胞の持つ疾患発症リスクが実際に疾患を引き起こす分子メカニズムやその相互作用の解明は、新たな治療法・予防法の開発にもつながると期待される。本稿では、とくに父加齢に着目して、雄性生殖細胞で起こりうるエピゲノムの変化について紹介する。
著者
大隅 典子
出版者
国立精神・神経センター
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998

脊椎動物の脳形成はまず外胚葉に神経上皮が誘導され、その後背側で癒合して神経管が形成されるとともに、前後軸に沿ったいくつかのコンパートメント(分節)に分がれることによりなされる。近年、多数の形態形成遺伝子やシグナル分子がこの脳分節に特異的に発現することが報告されており、脳の分節構造は形態的な単位であるばかりでなく、その後の領域特異的な神経細胞の分化やネットワーク形成の基本単位として極めて重要な役割を果たしていると推定される。ショウジョウバエの形態形成遺伝子であるpairedのホモログの一つとして同定されたPax-6遺伝子は転写因子をコードし、発生中の前脳や菱脳・脊髄で領域特異的に発現する。本研究では実験発生学的手法と分子形態学的手法を駆使することにより、脳分節形成の細胞系譜的解析および脳のパターニングにおけるPax-6の役割について解析することを目的としている。今年度は、Pax-6陽性領域である前脳コンパートメントの成立とその運命地図の作成について、培養マウス胚を用いて詳細な解析を行った。さらに昨年度確立した電気穿孔法による培養哺乳類胚への遺伝子導入系を用いて、前脳コンパートメントの維持にカドヘリン群が果たす役割を解析した。また、ラット胚菱脳部において、Pax-6の下流の分子カスケードについて解析し、Wnt遺伝子によってコードされる分泌因子がlslet2などの遺伝子発現を調節することにより、神経細胞の多様性獲得に役割を果たしていることが示唆された。