- 著者
-
太田 裕之
- 出版者
- 東京工業大学
- 雑誌
- 特別研究員奨励費
- 巻号頁・発行日
- 2008
本研究では,「環境や社会や後生への配慮」といった,ある種のモラリティが重視されつつある時代のニーズに応えるため,人々のモビリティにおけるモラリティの向上,および,共同利用(シェアリング)の普及に資するための,自動車会社からなすべき社会コミュニケーションのあり方を把握し,望ましいクルマ社会のありかたと,その状態への移行戦略を模索するための基礎的知見を得ることを目的とし,特に,カーシェアリングやエコカーを題材とした,受容性把握,受容性向上施策,受容後の意識やライフスタイルの変化についてアンケート調査等を通じ検討を行った.(1)社会コミュニケーションがモラリティ商品の購買行動や受容行動に及ぼす影響把握既存の単体製品(エコカー)およびカーシェアリングを題材に上げ,前年度に全国の免許保有者を対象としたインターネット調査を実施した.今年度はこれら両製品の現状における受容意向,および受容性の向上に資する要因を取りまとめ論文・学会発表を行った.また,上述の調査結果を踏まえ,カーシェアリングの加入促進を目的とし,オリックス自動車(株)の協力の下,実際にカーシェアリングが実施されている地域において,周辺住民や事業所を対象とした現場実験を実施し,加入促進に資する条件を取りまとめた.(2)モラリティ配慮商品の購入が人々の意識・ライフスタイルに与える影響把握モラリティ配慮商品とし,既存のエコカーを題材に上げ,新規買換購入直後6ヵ月以内の自動車保有者を対象とし,購入直後6ヵ月以内,および,その後8ヵ月経過後において,走行距離の変化を調査した.結果,エコカー購入者の方が,走行距離がより上昇するとの結果が得られた.また,開発段階の一人乗り電動式小型可搬式モビリティを題材に上げ,実際に社会に導入された場合における影響を心理学的な観点から分析した.