著者
高田 智和 小助川 貞次
出版者
国立国語研究所
雑誌
国立国語研究所論集 (ISSN:2186134X)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.129-140, 2014-11

古典籍の原本画像とその翻字テキストを対照表示させるビュアーを作成し,変体仮名習得を目的とする大学授業に利用した。授業利用により指摘された問題点によってビュアーの改善を行った。また,デジタルコンテンツの利用が,初学者の学習意欲の向上など変体仮名学習に一定の効果をもたらすことが指摘された。
著者
小助川 貞次 月本 雅幸 高田 智和 渡辺 さゆり 呉 美寧 朴 鎭浩 WHITMAN John ALBERIZZI Valerio luigi
出版者
富山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

漢文訓読は日本以外の漢字文化圏でもそれぞれの言語で行われていた言語活動であるが、一般社会における認識は極めて低く、また漢文訓読に関する学術用語の国際的共有も進んでいない。本研究では国内外の研究者と連携・協力しながら「国際的共有知財としての漢文訓読」というテーマのもとで問題解決を試み、「漢文訓読用語集」(日本語・韓国語・英語・イタリア語)の公表(共著)と「東アジア漢文訓読史概説」の大学教育での実験を行った。
著者
高田 智和 石塚 晴通 小野 芳彦 豊島 正之 赤尾 栄慶 池田 証壽 大槻 信 小助川 貞次 白井 純 當山 日出夫 横山 詔一
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

奈良時代から現代までの日本の漢字(日本の筆写漢字に多大な影響を与えた唐から宋時代の中国漢字も含む)について、公的性格・規範性の高い文献での用例整理と、私的性格の強い文献での用例整理に基づき、歴史的変遷・共時的異化の二面からなる資料体を作成した。また、この資料体の作成により、漢字字体の基礎概念を明確化し、字体編年基準の透明化を行い、その知見を『漢字字体史研究』(石塚晴通編、勉誠出版、2012年)として公刊した。
著者
小助川 貞次
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.15-30, 2008-01-01

本稿は、唐代写本として夙に著名な有鄰館蔵『春秋経伝集解巻第二』が、第一群点によるヲコト点本位の訓点資料であることを報告し、加点内容と加点方法の検討から加点年代を平安中期以前と推定する。さらに本資料に見られる加点の特徴を訓点資料の展開史の中で位置づけ、漢籍訓点資料には従来から指摘があるような仏書訓点資料との関係とは別に、中国様式を起源とするもうひとつの流れがあったことを推定する。
著者
小助川 貞次
出版者
富山大学人文学部
雑誌
富山大学人文学部紀要 (ISSN:03865975)
巻号頁・発行日
no.64, pp.153-165, 2016

本稿では,訓点資料は重層性を持つ立体構造であるという基本認識の上に立って,これらの問題点について,近時刊行された東洋文庫善本叢書第5巻(勉誠出版,2015年2月)所収の国宝毛詩を取り上げて具体的に論じ,新たな訓点研究の方法を探りたい。なお本稿で取り上げる用例については,すべて上記善本叢書で検証可能なので,図版は掲げない。
著者
小助川 貞次
出版者
JSL漢字学習研究会
雑誌
JSL漢字学習研究会誌 (ISSN:18837964)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.56-65, 2015 (Released:2017-05-29)
参考文献数
8

漢文訓読は通常,学校教育の中で中国古典文(漢文)を読解する「きまり」として学ばれ,一種のツールとして機能する。一方,漢文訓読を研究する立場からは,漢文文献を読解する加点現象として,漢字文化圏の諸地域・言語を対象として広く観察する。ユーザーとしての立場は異なるが,漢文訓読は東アジア世界・漢字文化圏全体の歴史的構造体をどう把握するのかという大きなテーマに繋がる。
著者
堤 智昭 田島 孝治 小助川 貞次 高田 智和
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.278-287, 2018-02-15

本研究では,訓点の一種であるヲコト点を対象とし,計算機を用いて解析することを目的としたヲコト点の構造化記述方式を提案する.提案方式に基づいてヲコト点図の電子化を支援する入力支援ツールを開発し,主要ヲコト点26種を電子化する.さらにそれを用いてヲコト点の基礎計量を行う.基礎計量では,ヲコト点を構成する要素である「読み」・「位置」・「形状」を対象とした.その結果,最も多く登場する「読み」は「ス」「ナル」「ナリ」「タリ」であり,形状は「・」であることや,漢字の四隅に多くのヲコト点が付与されることなどを定量的に示した.また,主要ヲコト点26種の電子化処理と基礎計量の結果を受けて,提案する構造化記述方式の有効性を確認した.
著者
小助川 貞次
出版者
富山大学人文学部
雑誌
富山大学人文学部紀要 (ISSN:03865975)
巻号頁・発行日
no.64, pp.153-165, 2016

本稿では,訓点資料は重層性を持つ立体構造であるという基本認識の上に立って,これらの問題点について,近時刊行された東洋文庫善本叢書第5巻(勉誠出版,2015年2月)所収の国宝毛詩を取り上げて具体的に論じ,新たな訓点研究の方法を探りたい。なお本稿で取り上げる用例については,すべて上記善本叢書で検証可能なので,図版は掲げない。