著者
池田 証壽
出版者
北海道大学文学研究科
雑誌
北海道大学文学研究科紀要 (ISSN:13460277)
巻号頁・発行日
vol.150, pp.201-236, 2016-12-15

初唐の宮廷写経25点の漢字字体を検討し,開成石経の顕著な規範性に 比して,相当の揺れがあることを報告し,開成石経の漢字字体と他の時代・ 地域の標準文献の漢字字体とを同列に扱うべきでないことを述べる。唐代字 様は,初唐標準から開成標準への移行を促したと見るべきであり,日本の古 辞書である『新撰字鏡』と『類聚名義抄』における唐代字様の受容状況を観 察し,漢字字体の年代性の相違が両者の字体記述の相違として反映している ことを指摘する。
著者
高田 智和 石塚 晴通 小野 芳彦 豊島 正之 赤尾 栄慶 池田 証壽 大槻 信 小助川 貞次 白井 純 當山 日出夫 横山 詔一
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

奈良時代から現代までの日本の漢字(日本の筆写漢字に多大な影響を与えた唐から宋時代の中国漢字も含む)について、公的性格・規範性の高い文献での用例整理と、私的性格の強い文献での用例整理に基づき、歴史的変遷・共時的異化の二面からなる資料体を作成した。また、この資料体の作成により、漢字字体の基礎概念を明確化し、字体編年基準の透明化を行い、その知見を『漢字字体史研究』(石塚晴通編、勉誠出版、2012年)として公刊した。
著者
池田 証壽
出版者
北海道大学文学研究科
雑誌
北海道大学文学研究科紀要 = Bulletin of the Graduate School of Letters, Hokkaido University (ISSN:13460277)
巻号頁・発行日
vol.150, pp.201-236, 2016-12-15

初唐の宮廷写経25点の漢字字体を検討し,開成石経の顕著な規範性に 比して,相当の揺れがあることを報告し,開成石経の漢字字体と他の時代・ 地域の標準文献の漢字字体とを同列に扱うべきでないことを述べる。唐代字 様は,初唐標準から開成標準への移行を促したと見るべきであり,日本の古 辞書である『新撰字鏡』と『類聚名義抄』における唐代字様の受容状況を観 察し,漢字字体の年代性の相違が両者の字体記述の相違として反映している ことを指摘する。
著者
池田 証壽 鈴木 慎吾 永崎 研宣 大槻 信 斎木 正直
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

日本の平安時代に僧侶の手によって編纂された漢字字書である高山寺本『篆隷万象名義』、天治本『新撰字鏡』、図書寮本『類聚名義抄』、観智院本『類聚名義抄』の四書は当時の日本人による漢字研究の優れた成果であり、人文学研究の基礎資料となっている。しかし、いずれも古写本であるため、崩し字や異体字が多く、解読に困難が多い。上記の四書のうち観智院本『類聚名義抄』は、収録の和訓が『日本国語大辞典』等に多数収録される重要資料であるが、これまでに全文の活字翻刻はなかった。本研究では観智院本『類聚名義抄』の全文翻刻と注釈を作成して、その内容をインターネット上に公開し、自在に検索できるようにすることを目指す。
著者
劉 冠偉 李 媛 池田 証壽
雑誌
じんもんこん2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.203-208, 2020-12-05

本研究は国語学国文学の研究における重要文献の観智院本『類聚名義抄』を対象に,漢字字形共有データベースGlyphWikiによるその写本字形を再現することを目標とする.筆写体である字形を可能な限り字体上の特徴を残し,書写の影響を捨象して活字化を行う.本稿はGlyphWikiで再現した字形とその利用についての詳細を報告する.
著者
劉 冠偉 李 媛 池田 証壽
雑誌
じんもんこん2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.83-88, 2018-11-24

近年,スマートフォンやタブレットのようなモバイル端末が普及し,日常生活を変えつつあり,日本語教育・日本語研究にも使えるようになると予想される.しかしながら,構築・公開が盛んである古典籍・古文書のデータベースはPC 向けが多く,PC 以外の端末で利用する際は表示サイズのずれや機能障害がしばしば発生する.そこで,筆頭著者(劉)はモバイル端末でデータベースを利用しているユーザを想定した利便性が高い言語資源データベースのWeb APP「HDIC Viewer」を開発した.今回は,さらに利便性の向上を主題とする.篆隷万象名義のほか,大広益会玉篇と新撰字鏡を加え,三つの古辞書間の横断検索の実現,IDS 漢字検索の改善,Web API の提供について述べる.
著者
池田 証壽 李 媛 申 雄哲 賈 智 斎木 正直
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.68-75, 2016 (Released:2017-03-03)
参考文献数
12

『篆隷万象名義』、『新撰字鏡』、『類聚名義抄』(図書寮本・観智院本)は、いずれも、平安時代、僧侶によって編纂された部首分類体の字書(本稿では「漢字字書」と呼ぶ)である。それらのデータベース構築は、各掲出字の一字ごとの画像データベースを作成し、元となった中国側の漢字字書や韻書の電子テキストを利用・作成し、それらの連携(リレーションシップ)をとって行う方法が正確かつ効率的である。本稿では、まず、入力できない文字の処理、次に翻字本文の作成・原本画像利用に関する所蔵者の許諾について言及した上で、典拠関連資料との照合と本文解読の効率化の方法を論じる。あわせて、このデータベース構築・利用によって、新たな研究課題が見出せることを示す。
著者
池田 証壽
出版者
北海道大学文学研究科
雑誌
北海道大学文学研究科紀要 = Bulletin of the Graduate School of Letters, Hokkaido University (ISSN:13460277)
巻号頁・発行日
no.150, pp.201-236, 2016

初唐の宮廷写経25点の漢字字体を検討し,開成石経の顕著な規範性に比して,相当の揺れがあることを報告し,開成石経の漢字字体と他の時代・地域の標準文献の漢字字体とを同列に扱うべきでないことを述べる。唐代字様は,初唐標準から開成標準への移行を促したと見るべきであり,日本の古辞書である『新撰字鏡』と『類聚名義抄』における唐代字様の受容状況を観察し,漢字字体の年代性の相違が両者の字体記述の相違として反映していることを指摘する。
著者
劉 冠偉 李 媛 池田 証壽
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 人文科学とコンピュータ研究会報告
巻号頁・発行日
vol.2015, no.4, pp.1-8, 2015-05-09

我々の研究室では,日本の平安時代 (中古) に編纂された漢字字書である 『篆隷万象名義』・『新撰字鏡』・『類聚名義抄』 を総合したデータベースを構築している.中国撰述の 『玉篇』 系字書のデータベースを独自に構築し,それを土台として,公開済みの 『説文解字』 や 『広韻』 データをも参照して,対象字書の本文入力と校正を進めている.これらのデータは漢字データが中心であり,和訓 (日本語) のデータが未整備である.平安時代漢字字書の和訓の同定の方法として,室町時代 (中世),江戸時代 (近世),明治時代 (近代) の漢和字書のデータを追加すれば,より効率的かつ正確に行うことができると考えられる.中世は 『和玉篇』,近世は 『増続大広益会玉篇大全』 (毛利貞斎),近代は 『大字典』 (上田萬年) を拡張の候補としている.この発表では,まず,平安時代漢字字書総合データベースの現状を述べ,次に,試みに拡張した 『大字典』 データベースの概要を報告する.