- 著者
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小木曽 加奈子
今井 七重
- 出版者
- 岐阜医療科学大学
- 雑誌
- 岐阜医療科学大学紀要 (ISSN:18819168)
- 巻号頁・発行日
- no.4, pp.19-26, 2010
我が国では,人口の高齢化に伴い,身体障害や認知症などにより,介護を要する高齢者が増加傾向にある。2008年10月現在で471万人が要支援・要介護認定を受けており,高齢者人口の16.1%を占めている。要介護高齢者の発生率は,加齢に伴い上昇傾向にあり,85歳以上では56.1%の高齢者が要支援・要介護認定を受けており,約2人に1人が日常生活を送る上で何らかの介護が必要であることを意味する1)。介護の対象となる高齢者はさまざまな心身機能・身体構造の低下を伴っているため,安全・安楽に日常生活が営めるように援助する必要があり,介護福祉士の教育においては,利用者のリスクをあらかじめ予測をし,多方面から情報収集できる能力とアセスメント力の向上を目指すことが重要である2)。川村ら3)は,療養上の世話におけるヒヤリ・ハット事象としては,転倒・転落が最も多いことを指摘している。老年看護学実習におけるヒヤリ・ハットは,入浴,食事,排泄などの日常生活援助場面に多く,リスクとしては,転倒・転落が最も多い4)。また,祢宜ら5)も,介護福祉実習のインシデントとして転倒・転落が最も多いことを明らかにしている。このような事象により,利用者の自立支援のためには転倒・転落事故を未然に防ぐことが重要であり,国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability andHealth,以下ICF)の視点6)を用いて,「活動と参加」や「環境因子」の側面からも情報収集を行い,「安全で安楽」なケアを実践するためのリスクマネジメントを行う必要がある。そこで,介護福祉実習の事後学習に実施するリスクマネジメント演習の一環である転倒・転落振り返りシートを分析することにより,転倒・転落に対する学生のリスクマネジメントの傾向が明らかとなったためここに報告する。