著者
小田 桂吾 大垣 亮 廣野 準一 山田 恵子 宮川 俊平
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.207-211, 2021-04-30 (Released:2021-08-19)
参考文献数
18

本研究は,国内大学女子バスケットボール選手を対象に1シーズンの前向き傷害調査を行い,その実態を明らかにすることを目的とした. 発生した傷害は延べ13件で,傷害発生率は1.36件/1000 player-hoursで、受傷部位は,足関節が6件で最も多かった.全傷害のうち,復帰まで29日以上を要する重症度の高い傷害が84%を占めていた.先行研究と比較して,競技復帰まで長期間であったことから,今後,傷害発生予防に向けた取り組みの必要があると考える.
著者
小田 桂吾 吉田 和歌子 藤沼 絢子 児玉 真知子 鈴木 恒 吉田 怜 成田 崇矢 馬見塚 尚孝 金森 章浩 宮川 俊平 平野 篤
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C3P3435, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】膝前十字靱帯(以下ACL)再建術後、再度ACL断裂を受傷した症例について調査し、今後のリハビリテーション(以下リハ)プログラム及び予防プログラムについて検討することを目的とする.【対象および方法】平成15年4月から平成20年9月までの期間に、当院で自家半腱様筋腱(および大腿薄筋腱)を用いた解剖学的二重束でACL再建術施行例のうち経過観察可能であった155名(男性70名,女性85名,平均年齢24±10歳)のうちACL再受傷した4名を対象とした.調査項目はACL再受傷発生頻度,性別,年齢,競技種目,競技レベル,再受傷期間,受傷機転について検討した.なお本研究は当院の倫理委員会の審査を受け、承認されたものである【結果】全手術例に対するACL再受傷発生率は2.6%であった.症例の性別,年齢,競技種目は男性1例(24歳、サッカー、JFLチーム所属).女性3例(16~17歳、バスケットボール部所属で全国大会出場レベル1例,県大会出場レベル1例、ハンドボール部所属,県大会出場レベル1例)で再受傷期間は165±47日であった.【考察】再断裂した症例は1例(女性,バスケットボール部全国大会出場レベル)を除いて競技復帰前に受傷していた.移植腱の成熟および骨の癒合は3~6か月程度要すると報告されていることから、この時期のリハは筋力の回復状況や膝固有感覚の回復を考慮したプログラムを実施すると同時に危険肢位等のリスク管理を十分患者に理解させ、再断裂を未然に防ぐことが重要である.また2例は部活動以外のアクシデントで再断裂している.スポーツ活動中だけでなく日常生活レベルでのリスク管理の指導も十分行う必要性がある.以上のことは以前から報告されているが、改善されていない理由として患者本人の病態意識の低さだけでなく、再断裂した症例は全て初回も再受傷も非接触型で受傷していることから我々のリスク管理を含めた予防トレーニングの指導力不足も関係しているのではないかと考える.また当院では術後6カ月でBIODEXを用いた筋力検査を行い患健比マイナス15%以内、H/Q比60%以上を競技復帰の目安にしており今回、競技復帰後に再断裂した症例はこの目安をクリアし順調に筋力が患健比約90%回復していたにも関わらず再断裂に至ってしまった.当院のACLのリハは筋力検査の結果を競技復帰の目安にし、術後平均約8か月でリハ終了としているが、まだ競技復帰に対して不安感を持っていながら、この時期を境に今まで行ってきたリハのプログラムを終了していたことが誘因のひとつであると推察した.
著者
成田 崇矢 釜谷 邦夫 長谷川 惇 小田 桂吾 野村 孝路
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C0224, 2007 (Released:2007-05-09)

【目的】飛込競技は水面から高さ10mの固定された台や高さ3mに設置した弾力のある飛板を使用し高所より水面に飛び込む競技であり、特徴として技術獲得に多くの時間を要する採点競技であるため傷害発生の頻度は他の水泳競技と比べて極めて高いと報告されている。今回、より具体的な傷害予防策を講じる事を目的とし、3年間のナショナルジュニア合宿時における、ジュニア強化選手の外傷、障害の状況を調査したのでここに報告する。【対象】2003年から2005年の3年間に日本水泳連盟より選抜されナショナルジュニア合宿に参加した男性21名(平均年齢15.3±1.4歳、平均身長 164±8.2cm 平均体重 56.7±9.8kg 競技歴 5.9±1.7年)、 女性17名(平均年齢15.5±1.7歳 平均身長 153±5.3cm 平均体重 48.2±6.2kg 競技歴6.6±2.6年)計38名である。 【方法】合宿参加者個別に面談し、障害、外傷に対する治療・相談を行う中でアンケートを交え外傷・障害の調査を実施した。【結果】対象者38名中合宿中に痛みを有した者は33名(86.8%)であった。複数回答による疼痛部位の総数は56件で、腰背部が最も多く25件(44.6%)次いで膝関節7件(12.5%)母指6件(10.7%)肩関節5件(8.9%)手関節3件(5.6%)下腿部3件(5.6%)その他7件(12.5%)であった。特に多い腰背部に着目すると、腰背部筋に痛みを生じているものが16件。椎間関節周囲7件。その他2件。であった。慢性的に腰背部筋に痛みが生じている者は12名でそのうちの10名のアライメントは頭部前方位、胸椎後彎増強、腰椎前彎増強、骨盤前傾位を呈していた。また、椎間関節周囲に痛みが出ている者7名中6名が合宿中もしくは過去に入水を失敗し、腰椎の過伸展を経験後痛みが生じていた。【考察】飛込競技において正しいボディーアライメント(耳垂、肩峰、大転子、外果前方が一直線上)を体得することは非常に重要である。そしてアプローチやテイクオフ、入水時にその姿勢を保持することは高いパフォーマンスを得る事に不可欠な要素とされている。今回強化合宿時の調査により、腰背部筋痛を有している者は正しいボディーアライメントが取れなかったり、入水時の衝撃により椎間関節を痛めている者が多いことが分った。腰背部痛の改善、予防トレーニングとして最近、腹圧を高め、頚部、上肢、体幹、下肢の協調性を向上させるコアトレーニングが推奨されているが、正しいボディーアライメントをとることで腰背部筋群へのストレスを軽減すると予想される。腹圧の強さと外傷・障害の関連性は今後の調査が必要であるが、より効果的なトレーニング方法を作成し、良姿勢を獲得することが傷害予防においても重要であると考えられる。
著者
小田 桂吾 斉藤 秀之 沼宮内 華子 金森 毅繁 糸賀 美穂 田中 利和 小関 迪
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.491-491, 2003

【はじめに】格闘技は古代から世界各地に様々な民族の文化を反映し存在している。しかし1993年、アメリカでルールの制約がほとんどないUltimate Fighting Championshipが開催され、世界的に総合格闘技という概念の新たな競技が盛んになっており、日本でもPRIDE,修斗,パンクラスなどの興行が人気を集めている。今回総合格闘技の選手の障害,外傷に関する調査をしたのでここに報告する。【対象】プロの総合格闘技選手11名,平均年齢25.7±3歳,平均身長171.6±6cm,平均体重74.1±12kgで全員男性であった。【方法】個別にアンケートにてコンディション,外傷,障害に関する調査を実施した。【結果】対象者の練習頻度は週5.5回、練習時間は2.9時間であった。対象者全員が今までに何らかの外傷,障害を経験していた。複数回答による疾患部位は耳介(カリフラワー状耳),肩関節,腰部,肘関節が8件と最も多く以下、頸部,手指(7件),下腿(すね),足関節,足指(6件),膝関節,鼻,(5件)手関節(4件),顔面,股関節(3件),頭部,上腕,前腕,胸部,大腿部,ハムストリングス(2件)であった。医療機関で確定診断を受けたものについては腰椎分離症,鼻骨折(3件),頚椎捻挫,膝半月板損傷,膝靭帯損傷,肩関節脱臼,足関節捻挫,足関節骨折(2件),手関節脱臼,手関節骨折,肘靭帯損傷,頚椎ヘルニア,腰椎椎間板ヘルニア,肘関節脱臼,大腿肉離れ,足指骨折(1件)等であった。受傷後入院が必要であった選手は3名、手術を行った選手は2名であった。また受傷後の経過として疾患部位の痛みが残存,慢性化しているが59.3%、完治したのが40.7%であったが現在、医療機関でリハビリテーションを行っている選手はいなかった。【考察】総合格闘技は基本的に「目潰し」「噛みつき」「金的攻撃」が禁止され、投げ技,打撃技(パンチ,キック),関節技,締め技の全てが認められている。関節技を例にとれば選手は対戦相手の正常可動域を越えるように技を仕掛けようとする。すなわち外傷,障害を防ぐのは不可能に近い状態である。実際の試合で決まり手となるのは打撃によるKOを除くと、チョークスリーパー(裸締め),腕ひしぎ十字固め,三角締め,足首固め等が多く、疾患部位にダメージを受けやすい傾向にあると考えられる。またグランドでの攻防ではマウント,ガードポジションというポジショニングが重要になってくるが、これは頸部,腰部に対するストレスがかかると考えられる。今回の調査で選手は疾患部位のリハビリテーションをほとんど行っておらず、慢性的な痛みを抱えながら試合に臨んでいると考えられる。競技能力を高める意味でも今後選手の状態に合わせたアスレティックリハビリテーション及びトレーニングの指導が必要であると考えられる。
著者
小田 桂吾 斉藤 秀之 沼宮内 華子 金森 毅繁 糸賀 美穂 田中 利和 小関 迪
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.491, 2003 (Released:2004-03-19)

【はじめに】格闘技は古代から世界各地に様々な民族の文化を反映し存在している。しかし1993年、アメリカでルールの制約がほとんどないUltimate Fighting Championshipが開催され、世界的に総合格闘技という概念の新たな競技が盛んになっており、日本でもPRIDE,修斗,パンクラスなどの興行が人気を集めている。今回総合格闘技の選手の障害,外傷に関する調査をしたのでここに報告する。【対象】プロの総合格闘技選手11名,平均年齢25.7±3歳,平均身長171.6±6cm,平均体重74.1±12kgで全員男性であった。【方法】個別にアンケートにてコンディション,外傷,障害に関する調査を実施した。【結果】対象者の練習頻度は週5.5回、練習時間は2.9時間であった。対象者全員が今までに何らかの外傷,障害を経験していた。複数回答による疾患部位は耳介(カリフラワー状耳),肩関節,腰部,肘関節が8件と最も多く以下、頸部,手指(7件),下腿(すね),足関節,足指(6件),膝関節,鼻,(5件)手関節(4件),顔面,股関節(3件),頭部,上腕,前腕,胸部,大腿部,ハムストリングス(2件)であった。医療機関で確定診断を受けたものについては腰椎分離症,鼻骨折(3件),頚椎捻挫,膝半月板損傷,膝靭帯損傷,肩関節脱臼,足関節捻挫,足関節骨折(2件),手関節脱臼,手関節骨折,肘靭帯損傷,頚椎ヘルニア,腰椎椎間板ヘルニア,肘関節脱臼,大腿肉離れ,足指骨折(1件)等であった。受傷後入院が必要であった選手は3名、手術を行った選手は2名であった。また受傷後の経過として疾患部位の痛みが残存,慢性化しているが59.3%、完治したのが40.7%であったが現在、医療機関でリハビリテーションを行っている選手はいなかった。【考察】総合格闘技は基本的に「目潰し」「噛みつき」「金的攻撃」が禁止され、投げ技,打撃技(パンチ,キック),関節技,締め技の全てが認められている。関節技を例にとれば選手は対戦相手の正常可動域を越えるように技を仕掛けようとする。すなわち外傷,障害を防ぐのは不可能に近い状態である。実際の試合で決まり手となるのは打撃によるKOを除くと、チョークスリーパー(裸締め),腕ひしぎ十字固め,三角締め,足首固め等が多く、疾患部位にダメージを受けやすい傾向にあると考えられる。またグランドでの攻防ではマウント,ガードポジションというポジショニングが重要になってくるが、これは頸部,腰部に対するストレスがかかると考えられる。今回の調査で選手は疾患部位のリハビリテーションをほとんど行っておらず、慢性的な痛みを抱えながら試合に臨んでいると考えられる。競技能力を高める意味でも今後選手の状態に合わせたアスレティックリハビリテーション及びトレーニングの指導が必要であると考えられる。
著者
廣野 準一 藁科 侑希 西田 智 津賀 裕喜 小田 桂吾 大垣 亮 鍋山 隆弘 向井 直樹
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.45-53, 2020

<p><b>目的</b>:高校と大学の剣道競技者を対象に競技に関連する疼痛を調査し,年代ごとの有症状況や年代間の違いについて,性差をふまえて検討した。</p><p><b>方法</b>:対象は,福岡県高等学校体育連盟剣道専門部に所属する高校9校327名,全国の学生剣道連盟に所属する大学10校431名の剣道部員とした。質問紙にて,疼痛経験の有無とその詳細,対象者の特徴や練習を調査した。疼痛の定義は,現在の所属に在籍してから質問紙記入時までの剣道部活動中に発症した痛みとした。</p><p><b>結果</b>:有効回答数は高校143名,大学272名であり,有効回答率は54.7%であった。各年代の疼痛有症率は,高校生で60.8%,大学生で33.8%であった。有症率は,大学より高校で,高校年代で男性より女性で有意に高かった。練習時間と頻度は,大学より高校で,練習時間は高校年代で男性より女性で有意に多かった。パフォーマンスに支障のある疼痛は82.4%で,そのうちの受診率は44.1%であった。急性疼痛は慢性疼痛の1/3 以下の有症件数であった。疼痛部位は,高校では足部/足趾,手関節,腰部/骨盤/仙骨,大学では下腿/アキレス腱,足部/足趾,腰部/骨盤/仙骨に多かった。</p><p><b>結論</b>:疼痛有症状況は年代や性別で異なり,練習時間や頻度が影響する可能性が考えられた。また,パフォーマンスに影響するほどの疼痛を抱えながらも,医療機関を受診しない者が多いという現状が示された。</p>
著者
小田 桂吾 鈴木 恒 平野 篤
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C0926, 2007 (Released:2007-05-09)

【目的】今回、腰椎椎間板ヘルニアを患ったプロ総合格闘技選手の競技復帰に向けたリハビリテーション(以下リハ)を経験したのでここに報告する。【症例紹介】29歳、男性。診断名:腰椎椎間板ヘルニア(L5/S1)。身長163cm、体重58kg。【現病歴】2004年より腰痛、左下肢のしびれが出現。以降、試合出場困難となる。2006年、2年振りに復帰し2試合2勝の成績を収めるが腰痛が改善されず、更なる競技能力向上を目的として2週間、リハ目的の入院となった。【初期評価】主訴:常に腰が重い感じ。練習後、腰が張る。(ともに特に左側)アライメント:立位前額面で左肩甲帯下制、脊柱やや右側弯で体幹軽度左側屈あり。矢状面で腰椎前弯、骨盤前傾あり。タイトネステスト:SLR;右60度、左50度。HBD;右0cm、左5cm。FFD;-10cm、MMT:左中殿筋4【経過】1週目の主なリハプログラムは腰部の筋緊張改善を目的とした物理療法、ストレッチ。腹部の深層筋を意識しながらフォームローラーやバランスボールを使用したコアトレーニング。股関節周囲筋力強化を目的としたアウフバウトレーニング等を中心に行った。2週目はトレーニング強度を高めつつ、立位でアライメントが崩れない身体の軸作りを目的としたバランストレーニング、スタビライゼーショントレーニング等を導入していった。退院時、タイトネステストでSLRは左右共70度、HBD左右共0cm、FFD0cmに改善、疼痛は練習後少し張りが残る程度の訴えに軽減。退院後は外来及びジムでフォローしながら退院2週後より実戦練習再開。8週後、初の打撃のみの試合に出場し判定勝ちを収めた。【考察】実戦動作の問題点のひとつとして、左ストレートを打つ際に骨盤の右回旋が不十分で体幹の左側屈が出現しており左腰部に過度なストレスが考えられた。原因としては軸足となる右股関節周囲の筋力低下や左腹斜筋、腸腰筋の柔軟性低下が考えられ、これを改善するために軸足を不安定板に乗せた状態で打撃練習を行い、骨盤を回旋させ体幹と左腕の連携を意識させながらパンチを出す練習を行った。近年、腰痛の治療は体幹の前後、左右、ひねり、上、下肢との連動性を十分考慮したコアトレーニングの概念が必要であると報告されている。また力が発揮する姿勢であるパワーポジションを獲得するためには骨盤の安定性が必要であるとも言われており、激しい動きを伴う総合格闘技選手は様々な技術と体力が要求されるためリハは単に症状の改善を目的とするだけでなく、そのファイトスタイルを考慮する必要があり今後さらなるレベルアップを選手とともに目指していきたいと考える。