- 著者
-
小笠原 直人
- 出版者
- 岩手県立大学
- 雑誌
- 奨励研究(A)
- 巻号頁・発行日
- 1999
本研究の目的は,ユーザがリソースの質を理解することを可能とする,空間に基づくメタファーを提供するユーザインタフェースを構築することである.そのために本年度は以下の研究を実施した.1.モデルに基づく空間メタファーUIの実装前年度の研究成果である空間メタファーのモデルを,システムとして容易に設計,実装するための空間メタファーUI記述言語を開発した.前年度実装したプロトタイプシステムはVRMLをベースとした物であり,空間比喩写像の記述能力が低い物であったため,Javaを基本にした記述言語として設計した.この空間メタファー記述言語により,前年度のプロトタイプと同性能のシステムを容易に実装できたことにより,記述言語の実用性が確認された.2.空間メタファーUIの認知科学的評価1で実装したシステムを用いてユーザによる利用実験をおこなった.実験結果として,距離比喩写像,空間比喩写像空間メタファーがサービスのリソースの質の理解に有効であることを確認した.具体的には比喩写像に写像される目標領域と規定領域の組合せとして,1:サービスに関する距離比喩写像,2:ユーザに関する距離比喩写像,3:サービスに関する空間比喩写像の3つの比喩写像において,分散環境独特の情報の理解のに及ぼす効果があることが確認された.また,コミュニケーションを行う相手のユーザとサービス間に関する距離比喩写像を提供することにより,ユーザ間の総合的な距離がわかるが,実験システムではこの距離をユーザに提示できないという問題点があることが解った.3.サービス選択支援エージェントのモデルの設計2で得られた結果に基づいて,サービス空間に存在するユーザを各々のサービスのアドレス情報,TPOの情報の2つの情報を管理するエージェントとして実現し,サービス選択時に,エージェントの持つ情報と,両者のユーザの距離比喩写像で表現される距離に基づいて最適な選択を支援するエージェントモデルを設計した.