著者
岡田 尚基 山本 幸生 Okada Naoki Yamamoto Yukio
出版者
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告: 宇宙科学情報解析論文誌: 第2号 = JAXA Research and Development Report: Journal of Space Science Informatics Japan Volume 2 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-RR-12-006, pp.131-136, 2013-03-29

科学衛星や探査機では,コマンドの実行時刻やテレメトリデータの生成時刻を扱うための時刻系として,衛星時刻が使われる.衛星時刻は,オンボードのクロックを使って増加するカウンタであることが多い.衛星時刻はその衛星・探査機に固有の時刻系であり,かつ進み方も一定ではない.そのため,これを共通の時刻系に校正して使うことが行われる.我々は,宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所で科学衛星・探査機の時刻校正に適用する枠組みを整備している.この枠組みは,今後打ち上げられる科学衛星・探査機で,衛星運用からデータ解析に至るまでの各地上系システム に共通機能として組み込まれる予定である.
著者
山本 幸生 飯國 芳明
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.88-93, 2014

中山間の条件不利地域では人口減少により,都市に在住する相続人に土地の所有権が移転し,相続人が山間部にある土地の状況だけでなく,所在すら認識できない事態が頻発している。こうした状況は所有権を有していながら,その管理を放棄するいわば権利の空洞化が進んでいることを示している。所有権が空洞化すれば,現在の集落での起業や経営規模の拡大などの土地の有効利用や環境整備の機会が失われるだけでなく,将来にわたって森林等の資源の有効利用や環境整備の機会が失われていく。本稿では中山間地域での土地所有権の空洞化対策の取組の方向性を検討するため,(1) 土地所有情報の構造の整理,(2) GISによる可視化,(3) これらの情報を元にして筆界確定や相続登記について経費の推計を行うなどの基礎的作業を行うことを課題とした。調査地の高知県大豊町は,全国に先駆けて人口減少や高齢化が進み,大野晃(2005)が限界集落を概念化する際にフィールドとした地域のひとつである。
著者
加藤 學 岡田 達明 白井 慶 山本 幸生 荒井 武彦 小川 和律 細野 梢 瀧川 覚博 セレーネXRS チーム
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.34-34, 2004

「セレーネ」は、高度約100kmの月極周回軌道から月面全域の探査を行う日本初の総合月ミッションである。蛍光X線分光計(XRS)は両極域を除く月面全域の主要元素組成(Mg, Al, Si, Feなど)を空間分解能約20kmで定量的に決定する。XRS観測及び他の観測機器による元素・鉱物・地形・地質構造などの観測データを相互に利用することによって、月の初期進化過程を探るのが主な科学目標である。本報告では、XRSで導入した新規技術、仕様や機能、機上データ処理方法、地上解析方法について概説する。さらに、地上試験データの特性や性能評価、今後の試験計画、打上後の観測計画について述べる。
著者
石原 吉明 渡邊 誠一郎 田中 智 山口 智宏 三浦 昭 山本 幸生 平田 成 諸田 智克 坂谷 尚哉 北里 宏平 松本 晃治 薮田 ひかる はやぶさ2LSS データ解析検討チーム はやぶさ2LSS データ作成チーム
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.139-143, 2017

<p>「はやぶさ2」は,C 型小惑星リュウグウ(Ryugu)にランデブーし,母船からのリモートセンシング観測及び小型着陸機によるその場観測を行うとともに,最大3 回の表面物質サンプリングを行うこととなっている.サンプリング地点には,リュウグウそのものや母天体,さらには太陽系形成時の惑星集積過程と物質進化について,最大の情報を得られる場所を選定する必要があるが,選定のために必要となる情報はランデブー後取得されるリモートセンシング観測の結果を待たねばならない.そのため,限られた時間の中で小惑星の特徴を把握し,安全性と科学価値の評価(Landing Site Selection, LSS)を行う手順を確立しておくことは必須である.本稿では,はやぶさ2 プロジェクトが来年に迫ったLSS 本番に向けて実施したLSS 訓練について概説する.</p>
著者
山田 竜平 山本 幸生 桑村 潤 中村 吉雄
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.121-131, 2012-03

1969年から1977年にかけてNASAのアポロミッションで得られた月地震データは地球以外の天体で得られた最初の地震記録である.このデータは,取得以来40年経った現在でも解析が続けられており月の地球物理学研究において主要な役割を果たしている.一方で,得られた月地震データセットの全てが,現在のデータ公開機関でアーカイブされ,公開されているわけではない.また,多くの公開データのフォーマットが一般の地震学で使用されるものと異なるため,現状,ユーザーが必要なデータと情報を取得し,解析研究を行うのに敷居の高さを伴っている.そこで,本研究では,これまでよりも容易にユーザーが要求する月地震データとそのメタデータを取り出し,解析に供することができるApollo月地震データ公開システムを開発した.この開発のため,まず我々はほとんど全ての月地震データのアーカイブとデータ解析に必要となる情報の収集と整理を行った.そして,デコードしたデータから構成されるリレーショナル型データベースとデータベースへアクセスするアプリケーションを開発し,Web上でユーザーが要求する月地震データを検索して取得できるようにした.本研究で開発した公開システムを通して,より多くのユーザーが月地震データにアクセスできるようになり,解析研究を通して,月惑星科学を更に進展させていくことが期待される.