著者
藤津 裕亮 山本 真行 Fujitsu Hiroaki Yamamoto Masa-yuki
出版者
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA)(ISAS)
雑誌
平成28年度宇宙科学に関する室内実験シンポジウム 講演集 = Proceedings of 2017 Symposium on Laboratory Experiment for Space Science
巻号頁・発行日
2017-02

平成28年度宇宙科学に関する室内実験シンポジウム (2017年2月27日-28日. 宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA)(ISAS)相模原キャンパス), 相模原市, 神奈川県
著者
戸田 雅之 山本 真行 重野 好彦
出版者
高知工科大学
雑誌
高知工科大学紀要 (ISSN:13484842)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.45-55, 2010-07
被引用文献数
1

流星出現直後にはごく稀に流星経路をなぞるように細い発光体が見える。それは短時間で減光し、形を変えながら消失する。これを流星痕と呼ぶ。流星痕の発生確率が最も高いのは毎年11月中旬に出現する「しし座流星群」である。我々はしし座流星群の2001年大出現で、イメージインテンシファイアを使用した流星の2点観測を実施した。動体検出ソフトウェアの使用により、動画から発光継続時間が短い流星痕(以下、短痕)を効率よく抽出できた。本研究では、しし座流星群に属する流星起源の短痕18例、しし群以外の流星起源の短痕8例、計26例の短痕を測定して発光高度と継続時間を求めた。その結果、(1)短痕は平均的に120kmから96kmの範囲で発光する。(2)短痕発生後、上端側は時間経過とともにその高度を直線的に徐々に低下させる一方で、下端側は母流星突入に伴い低高度側へ一気に成長し短痕長の最大を迎えた後、対数関数の漸近曲線的に上昇し、短痕消失直前には平均高度107kmに収れんする。(3)短痕の継続時間は短いもので0.1秒、最長で5秒。(4)母流星絶対等級と短痕の継続時間に有意な相関がある。(5)短痕の継続時間はOI557.7nm(励起状態特性寿命0.7秒)発光を仮定すれば説明できる可能性が高い、ことが分かった。Just after appearing of meteors, faint illuminating trails can rarely be seen along their trajectories. The luminescence, so-called meteor trains, rapidly disappear with changing their shapes in the sky. Meteor shower with the most frequent appearance rate of meteor trains is "Leonid." In 2001, during an encounter of Leonid meteor storm in Japan, double-station observation of meteors was carried out by using image-intensified (I.I.) video cameras. Purpose of the I.I. video observation was to obtain precise trajectory parameters of Leonid meteors, however, many video clips of meteors with meteor trains of short duration within 3 s (short-duration meteor trains, hereafter) were found. By using a motion-detection software, 26 short-duration meteor trains (18 examples of Leonids as well as 8 of sporadic meteors) were successfully picked out, deriving altitude distribution of short-duration meteor trains. As a result, (1) short-duration meteor trains averagely appeared between 120 km and 96 km altitude, (2) altitude distribution of short-duration meteor trains averagely changes in time to be finally centered at around 107 km, with having linear dependence for their upper limit altitudes as well as logarithmic dependence for lower limits, (3) duration time of short-duration meteor trains was in a range between 0.1 s to 5 s, (4) high correlation between absolute magnitudes of parent meteors and duration time of short-duration meteor trains, and (5) the altitude distribution of short-duration meteor trains could be explained with OI 557.7nm luminescence and collision (quenching) process with surrounding upper atmosphere.査読あり論文
著者
山本 真行
出版者
高知工科大学
雑誌
高知工科大学紀要 (ISSN:13484842)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.167-175, 2010-07

高大連携最先端理科教育の一環として、高知工科大学では、地球高層大気中の放電発光現象である「スプライト」の観測的研究を、全国の高校と共同し進めてきた。本稿では過去6年間の活動を振り返り、日本の理科教育における問題点として指摘される「考える力」の不足に対して、未知の自然現象の観測と発見というプロセスによるアプローチを議論する。スプライトは雷放電に関係する未知の自然現象として1989年にアメリカで発見された歴史の新しい現象で、以降およそ20年間に研究者により多くの科学的知見が得られた。電子撮像技術と画像処理技術の進展により、同現象は市販高感度ビデオカメラ等でも撮影可能となり、著者らによる観測技術の伝授と広報の結果、2004年12月の愛知県立一宮高校チームによる高校生としての初観測を皮切りに飛躍的発展を遂げた。2006年12月には全国14のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)採択高校と高知工科大学が共同し「SSHコンソーシアム」を結成、世界最大規模のスプライト同時観測が開始された。著者と参加高校理科教員による緊密に連携した研究指導と高校生チームの活躍により、2010年2月末までの間に計1613例を観測し、うち292例の同時複数点観測を得た。これら観測から統計的研究への礎となるデータセットを得たほか、2008年2月には大規模発光現象であるエルブスの同時観測に成功し、世界で初めてエルブスの発光高度を精密に検証した。2009年11月には世界的に10例程度の観測例しか得られていない発光現象ジェットの観測に成功した。これら結果は、国内および国際の学会にて高校生自らが発表して専門家から高い評価を得ており、高校生観測チームによる同時観測が最先端理科教育における教育面のみならず、最先端サイエンスの進展への貢献に繋がることを実証した。As one of high-school-university collaborative educational projects, observational studies of TLE (Transient Luminous Events: sprites, elves, blue-jets, etc.) have been carried out with a collaboration with many high schools (HS) in Japan. In these days "lack of consideration ability" in younger generation has been discussed especially in educational field in Japan. In this article, efficiency of tracing a process in science field by students for obtaining new findings in nature as an education program to HS students is discussed, with looking backward on our 6-year activities. Sprites, firstly found over United States in 1989 as an unknown phenomenon in upper atmosphere, highly related to lightning, have been investigated for about 20 years by scientists, revealing many interesting findings. Recent progresses of electrical imaging devices and image processing technique enable us to detect sprites by using high-sensitivity and relatively low-cost video cameras. After teaching observational technique, as well as encouraging HS students and their teachers for TLE observation by the author and earnest collaborators, the first detection of sprites by high school students of Ichinomiya HS of Aichi prefecture was obtained in December 2004, and then, sprites observation by HS students has been dramatically developed. In December 2006, we organized the "SSH consortium" by collaborating 14 Super Science High schools (SSH) and Kochi University of Technology, establishing one of the largest observational network for triangulation of sprites. As of February 2010, owing to educational activities based on successful collaboration between participating HS teachers and University side, 1613 examples of sprites including 292 triangulation observations were successfully obtained by many HS groups. Not only valuable datasets for statistical studies of TLEs were obtained but also the first triangulation of an elf was detected in success in February 2008, deriving the first triangulated result of detailed altitude of the elf. In November 2008, students observed a jet that is very rare phenomenon detected only about 10 examples in total in all over the world. These results have been reported by students themselves in domestic and/or international scientific conferences, having good experiences and valuable comments by scientists. It might be a good proof that these activities are effective not only in educational field but also in contribution to the science.
著者
山本 真行
巻号頁・発行日
2021-01-15

極域データの保全・公開と利活用に関する研究集会 日時:2021年1月15日(金)13:00~18:00場所:オンライン開催
著者
山本 真行
出版者
高知工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

地球温暖化等グローバルな地球大気の理解に重要な熱圏大気の精密測定は難しい。希薄大気中では太陽紫外線等により1%未満が電離しプラズマ大気としてレーダー等で計測できる一方、99%以上を占める中性大気計測は非常に困難で熱圏の理解を阻んできた。観測ロケット放出TMA(トリメチルアルミニウム)による人工発光雲の光学的追跡から夜間の高度160 km付近までの中性風計測手法が確立されたが、昼間の観測手段は未確立であった。我々はロケット放出リチウム(Li)の太陽共鳴散乱光を用い昼間熱圏中性大気風の測定技術を確立するため日米共同ロケット実験を2013年7月に実施し20分間の発光雲観測に成功、同測定技術を得た。
著者
平松 良浩 山本 真行 古本 宗充 石原 吉明 藤田 和央
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

豪州ウーメラ砂漠にてアレイ観測を行い、「はやぶさ」地球帰還時のインフラサウンド及び地震記録、光学観測記録を取得し、それらの解析により衝撃波の励起位置を推定した。観測結果に基づく励起位置での推定大気圧は、従来の理論値と2倍程度のずれがあり、理論の仮定に問題があることが明らかとなった。大気圧変動と地動との伝達関数を定義し、大気-地表面カップリング過程の定量化を行った。
著者
山本 真行 柿並 義宏 齊藤 大晶 中島 健介 甲斐 芳郎
出版者
高知工科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

津波防災において重要となる津波規模の予測について、地震規模のエネルギー的指標であるマグニチュードと同様の値を陸上からの遠隔観測のみから準リアルタイムに与えることは既存の手法では困難であった。本研究では、インフラサウンド(超低周波音、微気圧波)の観測網をモデル地域とした高知県内に構築し、観測波形データの特性周期および最大振幅から、共鳴波長となる特性長および特性高を得ることで、津波の要因となる地震直後の海面上昇の領域およびその際の位置エネルギーの変化に相当する情報を陸上のセンサー群によって遠隔把握し、インフラサウンド津波マグニチュードを算出できることを示した。
著者
山本 真行 戸田 雅之 比嘉 義裕
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.103, 2007

しし座流星群の大出現が予測された1998年に開始された流星痕同時観測キャンペーンでは、以降の10年間に大量の流星痕画像・動画の撮影に成功し、これまで稀であった同現象の発光過程の研究チャンスを飛躍的に増大させた。10年間の節目に、これまでの流星痕研究を振り返り、明らかになった点、残された課題、今後の研究観測計画について紹介する。また高知工科大学で5年間にわたり徐々に進めてきた光学、電波、インフラサウンド等を用いた流星総合観測施設の整備の現状を紹介し、今後の流星総合観測計画について議論したい。
著者
阿部 新助 山本 真行 矢野 創 海老塚 昇 渡部 潤一 向井 正
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.107-107, 2006

流星や隕石が、地球大気突入によりどのような物理化学発光素過程を経ているのかは、未解明な点が多い。特に 炭素や水などのアブレーション過程を理解することは、生命起源物質の地球到来過程を解明する上でも重要である。2006年1月15日、NASAのスターダストは、直径80cmのカプセルを人工物では史上最速の12.9 km/sで地球大気に突入させた。我々は、この人工流星をNASA-DC8観測航空機から超高感度ハイビジョンカメラ(UV-II-HDTV)と500 grooves/mmの反射型対物分光器を用いて300-650nm波長領域の分光観測を行った。
著者
山本 真行
出版者
高知工科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は明るい流星の出現直後に稀に見られる流星痕について、研究代表者らが1998年より開始した市民参加の観測キャンペーンである流星痕同時観測(METRO)キャンペーンによって得られた史上初の大量流星痕画像を解析し、未知の部分を多く残す流星痕生成メカニズムならびにその地球超高層大気における消散過程を統計的に調査したものである。本研究課題ではMETROキャンペーンのデータを各種パラメータと共に記録した画像集として世に残すため、まず2編の流星痕カタログ論文を出版した(Toda et al., 2004 ; Higa et al., 2005)。これらの論文は1988〜2002年の国内流星痕観測を纏め上げた世界初の流星痕画像カタログであり、流星痕研究の基礎をなすデータとして今後も活用が期待される観測史的に貴重な文献である。以上は本研究課題によって平成16年度に成された成果である。平成17年度には、さらにカタログ論文に掲載しきれなかった画像についても世界の研究者による利用の便を考えweb上におけるMETROキャンペーンアーカイブとしての整備を進めた。現在、最終の確認作業中であり、著作権等の確認の後に公開される予定である。流星痕の高度解析結果については、1988年〜2001年に得られた観測例のうち、解析に必要な十分な時刻精度と空間分解能を備えたデータ20例を吟味し整約計算を進めた。結果として、オリオン座流星群による2例しし座流星群による18例(計20例)の永続流星痕の高度解析結果から、永続流星痕の出現高度に関して109km〜75kmの高度領域を得た。流星雨の夜の数時間にメソスケール程度の領域に得られた10例のしし座流星群による流星痕に関し、平均中央高度93.0kmを得た。この高度は、Borovicka and Koten (2003)モデルのフェーズ3である主に酸化鉄FeOによる発光過程における流星痕発光高度を統計的に初めて明らかにした成果である。同発光過程においてはオゾンの中間圏・熱圏下部からの供給と酸素原子の供給、拡散を支配する背景大気圧力のバランスが重要であるとJenniskens (2000)等により指摘されているが、本研究はこれを観測的に求めた成果である。20例の分布から、流星痕高度の上端は100km付近で一定であるが、下端については地方時(輻射点高度)依存性が見られ、流星痕発光領域の流星経路長依存性が指摘できる結果を得た。これらの成果は、Yamamoto et al. (2005)としてEarth, Moon, and Planets誌に出版された。その過程で、Abe et al. (2005)における分光観測結果に対し高度情報を与える成果も得た。三次元構造解析の時間発展から中間圏・熱圏風速場について研究した成果は、日本地球惑星科学連合2006年大会にて発表予定である。
著者
渡部 重十 小野 高幸 阿部 琢美 齋藤 昭則 大塚 雄一 山本 真行
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

スペースシャトル,宇宙ステーション,人工衛星が飛翔する高度100km以上の熱圏には,中性大気中に0.01%ほどのプラズマが混在している.プラズマは磁力線に束縛された運動をするため,中性大気とプラズマ間には無視できない運動量輸送が存在する.最近の衛星観測やモデリングは,中性大気の運動がプラズマの運動に強く依存していること,電磁場を介したプラズマの運動が中性大気の運動をコントロールしていること,熱圏中性大気の東向きスーパーローテーションがプラズマとの相互作用に起因している可能性があること,を明らかにした.しかし,中性大気とプラズマの運動を熱圏上部で同時に測定した例はない.平成19年9月2日19:25に宇宙航空研究開発機構/内之浦宇宙空間観測所からS520ロケットを打ち上げた.このロケットにリチウムガス放出装置とプラズマ・電磁場観測装置が搭載された.〜1000Kのリチウムガスを230km,190km,140km高度でロケットから放出した.リチウムガスによる太陽光の共鳴散乱を地上の多地点から観測し,上部熱圏風の高度分布を測定することに世界で初めて成功した.リチウムガスの拡散から大気温度と密度の高度分布を得ることにも成功した.中性大気の物理パラメータとロケットに搭載したプラズマ測定と比較することにより,中性大気とプラズマ間の相互作用過程を解明することが可能となる.本研究により,ロケットからのガス放出技術,高感度CCDカメラを用いた地上観測技術,画像解析による大気パラメータの導出技術,を確立することもできた.