著者
菊池(永井) ゆみこ(祐美子) 平野 智紀 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S47064, (Released:2023-10-06)
参考文献数
9

本研究では熟達した応用演劇ファシリテーターと初心者のワークショップ・プログラム中の視線配布傾向とその意図の比較を行った.姫野(2020)の手法を元に,熟達した応用演劇のファシリテーター,初心者それぞれのワークショップ・プログラム実施中の視線映像を記録し,映像を用いた再生刺激インタビューを行った.その結果,熟達した応用演劇ファシリテーターはプログラム実施中に参加者全体に意図的に視線を配布する傾向があること,また視線配布数がプログラムの時間経過に伴い減少することがわかった.
著者
平野 智紀 安斎 勇樹 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.43034, (Released:2019-10-16)
参考文献数
25

本研究では,美術教育において広がりを持っている対話型鑑賞ワークショップについて,これを鑑賞者の知識構築の過程として捉え,ナビゲイター(ファシリテーター)による情報提供がどのように知識構築に寄与するのかについて検討した.鑑賞会への参与観察およびファシリテーションを担当した14名の学生ナビゲイターへのインタビューから,鑑賞における情報提供は「考えるための情報」と「確認のための情報」に分類された.プロトコル分析から,「考えるための情報」は,作品の表現内容と組み合わせて知識構築を促すために提供され,「確認のための情報」は議論の押さえとして,それぞれ提供タイミングが図られていることが明らかになった.
著者
平野 智紀 鈴木 有紀
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.275-284, 2020 (Released:2022-04-01)
参考文献数
11

本研究では,対話型鑑賞のファシリテーションにおける「どこからそう思う?」という問いかけの意味について,「どうしてそう思う?」と比較する授業を小学校段階において設計・実践し,データをもとに検証した。教員と児童の発話分析およびふりかえりシートの分析から,「どこからそう思う?」という問いかけにより,子どもたちは作品の表現内容に根拠を求めることができるとともに,教員が子ども同士の発言をつなげてコメントする回数が増え,さらに鑑賞を深めることが可能になっていたことが示唆された。
著者
平野 智紀 会田 大也
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.375-386, 2016 (Released:2019-08-26)
参考文献数
17

本研究では,六本木アートナイト2015をフィールドに,大都市型アートプロジェクトに「地域」という文脈を付与したガイドボランティア養成プログラムの成果を明らかにすることを目的とする。これまでアートプロジェクトにおいて,「地域」の視点と「アート」の視点はともすればコンフリクトを起こしうるものであった。本研究では対話型鑑賞のトレーニング手法を用いてこれにアプローチする。対話型鑑賞は美術鑑賞教育実践であると同時に,関係性の中から価値を見出すリレーショナルアートの実践でもある。養成プログラムを通してガイドボランティアは,六本木という「地域」について理解するとともに,対話型鑑賞の方法論を学び,「(リレーショナル)アート」に関する理解を深めることができていたことが示唆された。
著者
平野 智紀 三宅 正樹
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学 : 美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
no.36, pp.365-376, 2015-03-20

本研究は,対話型鑑賞で観察される鑑賞者の成長という現象と,それがどのようにして促されるのかを,ヴィゴツキー以降の学習理論,具体的には正統的周辺参加理論(レイヴとウェンガー)と認知的徒弟制の理論(コリンズ)に基づいて明らかにした。鑑賞場面で生起する参加者の全発話をテキスト化し,先行研究をもとに学習支援に関する発話カテゴリを設定して定性的に分析した結果,対話型鑑賞場面ではファシリテーターの学習支援が徐々に鑑賞者に移譲され,さらに鑑賞者同士でお互いに学習支援を"わかちもつ"ことで鑑賞者が成長する現象が確かめられた。さらに対話型鑑賞場面では個人の美的能力の発達よりも"場"としての共同的な発達が促されている様子も明らかになった。
著者
佐藤 智文 平野 智紀 山本 良太 石橋 純一郎 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S46094, (Released:2022-09-27)
参考文献数
7

本研究の目的は,GIGA スクール構想による1人1台端末整備直後におけるICT 活用の促進要因を明らかにすることである.川崎市内の小学校教員(N=997)を対象として,教員の年代,GIGAスクール構想推進講師(GSL)担当,ICT 活用歴,GIGA 以前からICT を活用していたこと,ICT活用に対する自信,がGIGA 後のICT 活用に対する認識に及ぼす影響を検討した.分析の結果から,GIGA 後のICT 活用には,「年次の若さ」「GIGA 以前のICT 活用」「自信」が有効であること,ICT 活用歴の長さだけではGIGA 後のICT 活用には寄与しないこと,年代の高い教員においてICT活用への自信を持つことの効果が高いこと,が示唆された.
著者
舘野 泰一 大川内 隆朗 平野 智紀 中原 淳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.241-254, 2013

本研究では,正課課程外におけるアカデミック・ライティングの指導を想定し,チューターによる学生の「執筆プロセスの理解」を支援するために,レポートの執筆プロセスを可視化することのできるシステム「レポレコ」を開発した.「執筆プロセスの理解」とは,チューターが,学生の文章生成過程を把握することである.開発したシステムの特徴は執筆プロセスの記録・可視化である.学生がレポートを執筆する過程を一字一句自動で記録し,可視化することができる.このシステムを使うことで,チューターの「執筆プロセスの理解」を促すことができる.実験の結果,システムを使用することで,チューターの「執筆プロセスの理解」につながることが示唆された.
著者
平野 智紀 中尾 教子 脇本 健弘 木村 充 町支 大祐 野中 陽一 大内 美智子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.43, no.Suppl., pp.125-128, 2020-02-20 (Released:2020-03-23)
参考文献数
7

本研究では,横浜市の公立小学校の校長を対象に行った質問紙調査をもとに,ICT 活用とアクティブ・ラーニング推進の実態の類型化を行った.推進のタイプについてクラスタ分析を行い,5つのクラスタを得た.クラスタごとの特徴を分析すると,ICT 活用とアクティブ・ラーニング推進に取り組んでいる学校はカリキュラム・マネジメントが進んでおり子どもの成長を実感していることが明らかになった。教員同士が高め合う学校文化が重要であることも示唆された.
著者
安斎 勇樹 平野 智紀 山田 小百合 塩瀬 隆之
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.27-38, 2018 (Released:2020-04-02)
参考文献数
15

本研究は,視覚障害者を対話のパートナーとした場合の美術鑑賞において,鑑賞の深まりのメカニズムについて明らかにした。実際に視覚障害者をサブナビゲイターとした対話型鑑賞の実践を行い,発話データの分析を行ったところ,視覚情報を共有出来ないがために,美術作品に関する精緻な言語化が動機付けられ,それに伴って精緻な観察が促されることが明らかになった。また,そうして説明された情報に対して,視覚障害者が素朴な疑問を繰り返し投げかけることによって,作品に対する解釈の前提が揺さぶられ,新たな作品の見え方が導かれていたことが明らかになった。また,考察の結果,視覚障害者を対話のパートナーとした美術鑑賞を実施する上では,事前に観察の結果を対話によって共有しやすい作品を選定すること,そして当日は作品鑑賞の時間を十分に確保し,鑑賞中には作品の細部だけに焦点が当たりすぎないようにナビゲイトを工夫するなどの注意点が示唆された。
著者
平野 智紀 原田 悠輔 加藤 紗夕理 畑中 一良
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.113-116, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
9

本研究では,全国学力・学習状況調査の結果を各学校が自校の教育指導・学習状況改善に活用することを促すワークショップを開発した.ジグソー法により自校の調査分析を分担して受け持つことで,自校の課題に焦点化された議論を可能にしたほか,反転学習により分析作業の一部を外に出し,多忙な学校現場においても実施可能なプログラムとした.ワークシートからは,自校の教育指導・学習状況改善のための現状認識を教員間で共有する効果があること,アンケートからは,反応レベル・学習レベル・行動変容レベルにおける一定の成果が示された.
著者
平野 智紀 三宅 正樹
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学 : 美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
no.36, pp.365-376, 2015-03

本研究は,対話型鑑賞で観察される鑑賞者の成長という現象と,それがどのようにして促されるのかを,ヴィゴツキー以降の学習理論,具体的には正統的周辺参加理論(レイヴとウェンガー)と認知的徒弟制の理論(コリンズ)に基づいて明らかにした。鑑賞場面で生起する参加者の全発話をテキスト化し,先行研究をもとに学習支援に関する発話カテゴリを設定して定性的に分析した結果,対話型鑑賞場面ではファシリテーターの学習支援が徐々に鑑賞者に移譲され,さらに鑑賞者同士でお互いに学習支援を"わかちもつ"ことで鑑賞者が成長する現象が確かめられた。さらに対話型鑑賞場面では個人の美的能力の発達よりも"場"としての共同的な発達が促されている様子も明らかになった。
著者
佐藤 智文 吉中 貴信 平野 智紀 山本 良太 石橋 純一郎 杉本 昌崇 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.1, pp.112-118, 2023-05-05 (Released:2023-05-05)

川崎市教育委員会により行われた教員調査に基づき,GIGAスクール構想におけるICT活用の小学校・中学校比較を行った.その結果,端末整備後のICT活用は両校種ともに向上していること,授業での活用場面においては小学校の方が進んでいること,ICT利用の指導は小学校と中学校で力点が異なることが分かった.またICT活用高低群の比較では,実験や観察等の手順説明や発表場面は小学校で活用されやすいこと,教師の課題提示や学習理解の深化,子ども同士の相互学習に関しては,小中で同程度であることが分かった.
著者
平野 智紀 安斎 勇樹 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
2020

<p>本研究では,美術教育において広がりを持っている対話型鑑賞ワークショップについて,これを鑑賞者の知識構築の過程として捉え,ナビゲイター(ファシリテーター)による情報提供がどのように知識構築に寄与するのかについて検討した.鑑賞会への参与観察およびファシリテーションを担当した14名の学生ナビゲイターへのインタビューから,鑑賞における情報提供は「考えるための情報」と「確認のための情報」に分類された.プロトコル分析から,「考えるための情報」は,作品の表現内容と組み合わせて知識構築を促すために提供され,「確認のための情報」は議論の押さえとして,それぞれ提供タイミングが図られていることが明らかになった.</p>
著者
平野 智紀 三宅 正樹
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.365-376, 2015-03-20 (Released:2017-06-12)

本研究は,対話型鑑賞で観察される鑑賞者の成長という現象と,それがどのようにして促されるのかを,ヴィゴツキー以降の学習理論,具体的には正統的周辺参加理論(レイヴとウェンガー)と認知的徒弟制の理論(コリンズ)に基づいて明らかにした。鑑賞場面で生起する参加者の全発話をテキスト化し,先行研究をもとに学習支援に関する発話カテゴリを設定して定性的に分析した結果,対話型鑑賞場面ではファシリテーターの学習支援が徐々に鑑賞者に移譲され,さらに鑑賞者同士でお互いに学習支援を"わかちもつ"ことで鑑賞者が成長する現象が確かめられた。さらに対話型鑑賞場面では個人の美的能力の発達よりも"場"としての共同的な発達が促されている様子も明らかになった。