著者
山極 和佳 門前 進
出版者
東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.27-35, 2008

本研究の目的は,主観的経験を指標として,異なる意識状態操作によって形成される催眠の意識状態の特徴を比較検討することであった。主観的経験は,変性意識状態検査(斉藤,1981)を用いて測定した。異なる意識状態操作には,運動暗示,イメージ暗示,リラックス暗示の三つの催眠暗示と,それらとの比較のためのジェイコブソンのリラクセーション簡略版教示(門前,1995a,b)を用いた。また,統制条件として,意識状態操作を行わない覚醒の意識状態を設定した。実験の結果,意識状態間の違いは,変性意識状態検査の総点および七つの下位因子で見いだされた。また,覚醒の意識状態との間に違いがみられた下位因子の組み合わせパターンも,意識状態間では異なることが明らかとなった。これらの主観的経験の違いは,本研究で形成した三つの催眠の意識状態間における質的な違いを示唆するものであった。
著者
大橋 恵 坪井 寿子 藤後 悦子 伊藤 恵子 山極 和佳 府川 昭世
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.65-75, 2011-03-18 (Released:2019-01-18)
参考文献数
15

本稿では,小学校や教師と,心理学部の教員や学生とを大学が連携,活用し,コンサルテーションを行った実践例を報告する。具体的には,小学校生活において主に社会性のつまずきを抱えている小学校2,3年男児4名を対象に,小集団によるソーシャルスキル・トレーニング(SST)を実施し,その効果を検討した。その特徴として,日常子どもたちが生活している小学校内で行ったこと,子どもたちの様子に応じて内容を適宜変更したこと,プログラム内での行動の変化だけではなく内面的側面や教室での様子の評定など多面的に効果測定を行ったことなどが挙げられる。その結果,SST活動中の行動には,ルール違反や不適切な発声や身体の動きにおいてSST実施前後で改善がみられた。一方,教室内の行動においては,その効果の般化は示されなかった。
著者
山極 和佳
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2005-01

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1977号 ; 学位の種類:博士(人間科学) ; 授与年月日:2005/1/26 ; 早大学位記番号:新3904
著者
北島 正人 平部 正樹 藤城 有美子 山極 和佳 桑田 有
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.143-149, 2012-09-10 (Released:2012-09-10)
参考文献数
18
被引用文献数
1

青年期における牛乳摂取状況とパーソナリティ特性との関連について検討した.大学生840人に対して無記名自記式質問紙を配布し,760人から回収 (回収率91.1%),うち,基準に該当する755人分を分析対象とした.牛乳が身近にある環境であるか否かと,摂取頻度3水準の組み合わせから,対象者の牛乳摂取状況を6群に分けた.本論では,牛乳が身近にある環境要因は共通しているにも関わらず,摂取頻度が大きく異なる「環境あり× 高頻度摂取」群と「環境あり× 低頻度摂取」群の2群で比較を行った.高頻度摂取群の健康行動では,食生活と歯の健康に気をつけている人が多かった.パーソナリティについては,主要5因子検査を用いて両群の比較を行ったところ,低頻度摂取群において協調性と勤勉性がより低いという傾向が見られた.望ましい健康習慣のひとつである牛乳摂取の維持・促進にあたっては,対象者のパーソナリティの違いを考慮に入れたアプローチの検討が有用であることが示唆された.