著者
前川 覚 太田 仁 菊池 彦光 小山田 明 松平 和之 石田 憲二
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

スピンが規則格子上に位置しながらもスピン間相互作用が競合する幾何学的フラストレート磁性体として、三角格子、かごめ格子、パイロクロア格子等の新磁性体を探索・合成して、核磁気共鳴、磁化、比熱、ESR測定等の実験をおこない、フラストレーションに起因する新しいタイプの相転移や秩序状態の発見と、その状態と機構の解明を行った。特にフラストレーションに量子効果が加わることにより生じる新奇な状態に注目して、量子スピン液体や特異な中間秩序状態、近藤スクリーニング部分無秩序状態を発見し、その特異なスピン状態を明らかにした。
著者
山田 明徳
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本研究計画の主要な仮説は「熱帯林床のリター(枯葉、枯枝)をめぐって、微生物とシロアリとの間に競争関係がある」のではないか、というものである。前年度までに、微生物によるリターの分解量(リターの炭素無機化量=呼吸量による二酸化炭素の放出量)が雨期になると増加することを示してきた。「熱帯林床のリター(枯葉、枯枝)をめぐって、微生物とシロアリとの間に資源獲得競争関係がある」とすれば、微生物によるリター分解量が比較的少ない乾期にシロアリによるリター分解量が多くなることが予想される。そこで、タイ国・サケラートのシロアリによるリター分解を代表するキノコシロアリの菌園の現存量(土壌中に分布するキノコシロアリの菌園の現存量)を雨期と乾期とで比較し、乾期に比べると雨期では統計的有意に少なくなることを明らかにした。したがって、熱帯林の降水量の変化は微生物とシロアリによる分解量のそれぞれに逆の影響を及ぼし、微生物とシロアリが結果として相補的に熱帯林床におけるリターの迅速な消失(分解)に関係していることが示された。熱帯林におけるリター分解におけるシロアリの重要性は上述のように定量的には明らかになってきたが、空間的にどのようにシロアリがリター分解に関わっているか、ということは明らかになっていない。しかしながら、リターの分解過程を詳細に明らかにし、熱帯林の炭素循環や二酸化炭素収支などを考える上では、空間的に不均質に分布するシロアリによるリター分解パターンを解明することは必要不可欠である。そこで、メッシュサイズが異なる2種類のケージを用いてそれを比較することで、シロアリによるリター分解の強度と頻度を調査した。その結果、シロアリによるリター分解は微生物によるリター分解と比べると局所的・集中的に起こることが明らかになり、シロアリはリターの分解過程を空間的に不均質にするような効果があること明らかになった。
著者
池竹 英人 山田 明文
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.1123-1127, 1999-12-05
参考文献数
7
被引用文献数
5 10

フローインジェクション分析用の固体電極セルを試作し, 残留塩素を電気化学的に測定する方法の検討を行った. 固体電極セルは, 交換可能な作用極, 対極 (白金線) 及び参照極 (飽和カロメル電極) からなるものを作製した. セルの評価はヘキサシアノ鉄(II) 酸カリウムで行った. 作用極に金電極を用いたとき, ヘキサシアノ鉄(II) 酸カリウム2×10^<-7>〜2×10^<-4>Mで検量線が直線となり, 各濃度での相対標準偏差 (n=10) はいずれも 1%以下であった. 次亜塩素酸の電気化学的挙動は, サイクリックポルタンメトリーで測定した. 種々の固体電極の中で金電極が最も単純な波を示し, 作用極として適当であった. フローインジェクション分析における次亜塩素酸の検量線は, 0.05〜2.5 mg l^<-1>で直線性を示し, 1mg l^<-1>での相対標準偏差 (n=10) は2.1%であった. 本法を水道水中の残留塩素の定量に適用したところ, オルトトリジン吸光光度法と良い一致を示した.
著者
小林 誠一郎 高崎 健 浜野 恭一 山田 明義 鈴木 茂 青木 暁 武藤 晴臣 原田 瑞也 秋本 伸 岩塚 迪雄
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.10, no.6, pp.686-690, 1977-11-30

腸管吻合器の消化管手術分野への応用について, 私どもの58例の臨床経験を述べた. 食道静脈瘤に対する食道離断術, 食道癌に対する食道胃吻合術 (胸壁前および胸腔内吻合) 噴門部癌に対する食道空腸吻合術, 直腸結腸病変に対する低位前方切除術などに関して, その利用方法, 手術手技について略述した. 器械を用いることの利点としては, 吻合の確実性, 手術時間の短縮, ひいては手術侵襲の軽減などがあげられよう. とくに下部食道噴門部癌に対する経腹的操作のみによる, 縦隔側高位での食道切離食道空腸吻合術については, 吻合器使用の良い適応であると考えている.