著者
中村 節子 森田 佐加枝 井上 浩一 広田 保蔵 小林 瑛児 磯山 恵一 山田 耕一郎 石川 昭
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.481-488, 1992-10-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
28

未熟児貧血の存在はよく知られているがその成因は充分に解明されたとは言い難い.赤血球系造血因子であるエリスロポエチン (Epo) がいかに未熟児貧血に関与しているかを知る目的で早期新生児の血清Epo濃度の測定を行った.被検対象は成熟児42例 (出生体重2, 558~3, 9469, 在胎日数245~295日) , 未熟児28例 (出生体重1, 450~2, 4509, 在胎日数224~266日) であり, 検体採取は日齢5に行った.また, 貧血発症を早期新生児期のEpo濃度より予測し得るか否かを知る目的で, 日齢6以内の未熟児38例について生後12週までに貧血 (Hb<10g/dlとする) を発症した群17例と非発症群21例に分けてEpo濃度を測定し, 検討した.臨床的に明らかな異常の認められるものは対象から除外した.Epo測定はラジオイムノアッセイにより行い, Epoと同時にヘモグロビン (Hb) , ヘマトクリット (Ht) も測定した.日齢5の成熟児群のHb値は17.02±1.739/dl, Ht値は52.41±5.33%であり, 未熟児群のHb値は15.96±2.359/dl, Ht値は48.80±6.99%であった.Hb値, Ht値いずれも未熟児で有意に (P<0.05) 低値を呈した.これに対して, 日齢5のEpo値は成熟児群で9.83±3.14mU/ml, 未熟児群で10.02±3.48mU/mlでありいずれも健康成人の正常値下限に分布したものの, 両群問において有意差は認められなかった.すなわち, 未熟児群では成熟児群に比し, Hb, Htが低値にもかかわらず, Epo値は高値を示さなかった.また, 日齢6以内の未熟児で貧血発症群のEpo値は11.37±4.92mU/ml, 非発症群は9.17±3.10mU/mlであり, 貧血発症群でやや高値を示したが, 統計学的有意差は認められなかった.したがって, 早期新生児期のEpo値から将来の貧血発症を予測することは, 今回の結果からは困難であった.未熟児のHbとEpo濃度の関係についても検討したが, 相関は認められなかった.未熟児における赤血球系計測値は出生体重や在胎期間の影響をうけ, 一般に成熟児より低値を示す.Epoについてこれらの影響を検討したが出生体重, 在胎期間いずれとも相関を示さなかった.
著者
岩垣 雄一 浅野 敏之 近藤 浩右 山田 耕一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.381, pp.171-180, 1987-05-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
14

At the Edogawa moterboat racing stadium located at a tidal river channel in Tokyo, moterboat races have sometimes become difficult to open by wind waves during spring gales. A pneumatic breakwater has been planned to be adopted to protect the racing field from the wind waves because it has an advantage of no interruption of common boat navigations through the river channel. However, the breakwater performance of wave damping in the water field where the tidal current exists in addition to the river current is not clear yet.The present study shows the results of the field test and discusses the applicability of the pneumatic breakwater to tidal rivers. It is found from the data analysis that the pneumatic breakwater in the field with the tidal current maintains almost same performance of wave damping as that without the current.
著者
ウスマン ウメルジアン 木村 哲也 山田 耕一 猿渡 隼斗
出版者
FIT(電子情報通信学会・情報処理学会)運営委員会
雑誌
情報科学技術フォーラム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.267-274, 2010-08-20

SMU文字は表音文字"Phonogram"で構成されている文字である。中央アジアに住んでいるソグド人、マニ人、ウイグル人が使っていた文字はソグド、マニ、ウイグル"Sogd, Manichaean, Uyghur,(SMU)"文字と呼ばれ、現在のそれらとは若干異なっている。SMU文字は古代と中期に使われていた文字で、現在使われていないという状況にある。SMU文字で書かれた文献作品は、現在各国の博物館と大学に所蔵されている。古代と中期のチュルク語とアルタイ諸語(SMU語)とそれらの文字の研究者の研究を助けるために、古代と中期SMU文献作品と様々な写本資料をデジタルテキストとしてデジタルアーカイビング"Digital archiving'が必要である。SMU単語は母音、子音、分音符号の組み合わせで形成したグリフと複雑なリガチャーから構成されている。本研究では、紀元前2世紀から紀元後11世紀までに右から左への横書きで書かれている古代と中期のSMU写本資料(図4参照)を使用して分音符号、グリフと複雑なリガチャーの位置の設計を行った。SMU文字コードの実装と開発の際の難しさは分音符号、グリフと複雑なリガチャーの形成である。本稿では、SMU語のデジタルテキスト処理の基礎である分音符号、グリフ、複雑なリガチャー形成の設計を提示する。
著者
山田 耕一
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.78-88, 2001-06-15
被引用文献数
1

確率と可能性間の変換はZadehが可能性理論を提案して以来多くの研究者により研究されてきた。しかし、既存研究の多くは確率と可能性間の変換時に満たすべき条件を議論し、発見的に考案した変換式がその条件を満たすことを証明するに留まる。したがって提案された変換式が与えられた条件を満たす唯一の式とは限らないものが多い。本研究では証拠理論に基づく3種類の変換法を新たに検討し、議論する。これらの方法はいずれも確率と可能性間の変換において満たすべき原則を与え、その原則から一意に導かれる変換法を得る。1つの変換法(T1)では可能性を順序尺度と見なして与えられた確率分布から可能性の大小の順序構造を得る。残る2つ(T2、T3)は可能性を不確実性の比例尺度として扱い、確率分布から可能性分布を導く。特にT3に使われる原則は双方向に変換可能な式を導くが、それはDubois & Pradeが発見的に導いた変換式と全く同一になる。これらの3種類の変換法は、確率から可能性を求める場合にはまたく同一の可能性の順序構造を得るが、可能性分布についてはT2とT3で異なる。そこで確率分布から可能性分布を求める場合、T2とT3のどちらがより望ましいかを与えた原則の観点から考察する。考察の結果T3が望ましいことが示唆される。