著者
大浦 一将 藤井 響市 中島 宏昭 鈴木 貢次郎
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5, pp.743-748, 2020-03-30 (Released:2020-06-09)
参考文献数
23

In secondary forests that have been abandoned, clear-cutting bamboo and thinning increase the species diversity of forest floor plants. However, the effects on ground beetles have not been sufficiently studied. In this study, we set up survey traps at four areas: Sasa (Pleioblastus chino) mowing area, Sasa standing area, bamboo (Phyllostachys edulis) clear-cutting area, and bamboo standing area in Tama hill, Kanagawa Prefecture, Japan. A total of 80 traps were set up to capture ground beetles: 10 traps in each area with two replicates. The number of species was greater in the case of management in the Sasa mowing area and bamboo clear-cutting area than in the case of no management in the Sasa standing area and bamboo standing area. In particular, the number of ground beetles was higher in the Sasa mowing area than in the Sasa standing area, bamboo clear-cutting area, and bamboo standing area. The ground beetles belonging to Pterididae were the most common, and the most common species were Carabus insulicola, Synuchus cycloderu, and Pterostichus yoritomus. In particular, C. insulicola comprised over 90% of the total ground beetles collected from the Sasa mowing area, suggesting that this beetle can be used as an indicator of biodiversity in an abandoned secondary forest.
著者
中島 宏樹 大川 保昭 久保 寛紀 水野 翔太 三宅 真一 浅井 徹 杉浦 剛志 志水 清和 柴田 哲男
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0741, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】慢性心不全患者は年々増加しており,再入院率が高いことが問題となっている。これまでに退院前患者教育が慢性心不全患者の再入院率を低下させることが報告されているが,わが国において患者教育を実践している医療機関は限られ,長期的なフォローアップを行う体制をもつ医療機関はほとんどない。さらに,患者教育プログラムに運動指導が含まれていないことが多い。今回,我々は心不全患者に対する運動指導を含めた患者教育が退院後1年以内の再入院率減少に有効であるか検討した。【方法】心不全増悪で入院した心不全患者73名(平均年齢70.5±9.6歳)を対象とし,当院で患者教育を導入する前の対照群36名と導入後の患者教育群37名との退院後1年間での再入院率を比較した。除外基準は,認知症(改訂長谷川式簡易知能評価スケール<20),6分間歩行距離<100 m,過去の心不全入院歴≧3回,慢性閉塞性肺疾患を合併する症例,入院中あるいは退院後に心臓外科手術を受けた症例,中枢神経疾患や骨関節疾患による運動制限がある症例とした。患者教育は理学療法士と看護師により実施し,患者教育には,心不全の病態と増悪因子・増悪時の対処法,体重管理,運動指導,塩分・水分制限,過活動制限,感染予防,栄養,服薬管理および血圧測定について当院で作成した資料を用いて行った。なお,患者教育群は入院中に通常のリハビリテーションプログラムに加え,計5-6単位の個別教育を実施した。退院後1年間,当院に再入院することなく,外来診察がないために経過が確認できない症例については自宅に電話して他院への再入院の有無などの状況を確認した。統計解析は,ベースライン時の各因子の2群間の比較に対応のないt検定またはMann-Whitney U検定を用いた。また,再入院率は,退院日を起点としてKaplan-Meier法を用いて算出し,有意差検定にはlog-rank検定を用いた。統計学的有意水準は5%未満とした。統計ソフトウェアにはEZR(ver. 1.11)を用いた。【倫理的配慮】本研究は一宮市立市民病院倫理委員会の承認を得て行った(承認番号:9)。対象者には事前に書面および口頭にて研究の目的や内容の説明を行い,書面での承諾を得た。【結果】心不全増悪による再入院率は患者教育群で5名(13.5%),対照群では12名(33.3%)であった。ベースライン時の年齢,Body Mass Index,心不全増悪による入院回数,左室駆出率,脳性ナトリウム利尿ペプチド値,推算糸球体濾過量および6分間歩行距離の評価項目において2群間で有意差は認めなかった。心不全増悪による再入院率は患者教育群と対照群との間に有意差が認められた(log-rank test,P<0.05)。【考察】退院前の患者教育が心不全増悪による1年以内の再入院率を有意に低下させた。患者教育群は教育を実施しなかった対照群と比較し,再入院率が19.8%低下した。心不全患者は心不全増悪の要因として,塩分・水分制限の不徹底や過活動,治療薬の不徹底,感染などの予防可能な因子が上位を占め,心筋虚血や不整脈といった医学的要因よりも多いことが知られている。過活動の制限に関しては,嫌気性代謝閾値(AT)を超えての運動・活動の持続がダブルプロダクトの上昇による心負荷となり心不全増悪の要因となるが,運動耐容能の低下した症例では日常生活活動で容易にAT強度を超えるため,過活動となる機会が多いことが予想される。先行研究において報告されている心不全増悪による再入院に影響を及ぼす因子にはベースライン時で有意差を認めなかったことから,運動指導を含めた患者教育により患者自身が体重管理や過活動の制限,塩分・水分制限,服薬の遵守,感染予防などを実施できたことが再入院率の低下に影響したと考えられる。【理学療法学研究としての意義】心不全患者自身による管理能力が再入院予防において重要であることが示唆されているが,多職種による患者教育を実践している医療機関は少ないのが現状である。一方で,理学療法士が心不全患者に関わる場面は,今後さらに増加することが予想され,心不全管理に関する一般的事項を患者自身およびその家族に指導することは心不全増悪による再入院率を低下させ,さらにQOLを改善する可能性を有している。理学療法士はその一翼を担っており,本研究の結果から理学療法士の立場から患者教育を実践することが再入院率低下に有効であると示唆された。
著者
橋本 慎太郎 仁井田 浩二 松田 規宏 岩元 洋介 岩瀬 広 佐藤 達彦 野田 秀作 小川 達彦 中島 宏 深堀 智生 古田 琢哉 千葉 敏
出版者
公益社団法人 日本医学物理学会
雑誌
医学物理 (ISSN:13455354)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.88-95, 2013 (Released:2014-10-21)
参考文献数
32

PHITS is a general purpose Monte Carlo particle transport simulation code to analyze the transport in three-dimensional phase space and collisions of nearly all particles, including heavy ions, over wide energy range up to 100 GeV/u. Various quantities, such as particle fluence and deposition energies in materials, can be deduced using estimator functions “tally”. Recently, a microdosimetric tally function was also developed to apply PHITS to medical physics. Owing to these features, PHITS has been used for medical applications, such as radiation therapy and protection.
著者
中島 宏
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.14, no.11, pp.651-654, 2015-11-25 (Released:2016-11-25)

DeNA とZMP の合弁会社としてスタートしたロボットタクシー株式会社の事業内容を通して日本の抱える交通課題とその解決に向けた展望を俯瞰する。
著者
指宿 信 中島 宏 山田 直子 吉井 匡 稲田 隆司
出版者
成城大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

2016年6月に成立し3年以内の施行が予定されている我が国の「被疑者取調べ録音・録画制度」に関して、法解釈学や比較法的研究、心理学・社会学等の経験科学の見地から多面的実証的な研究を行った。その結果、被告人の法廷外の自白を記録した録画映像が判断者(裁判官ならびに裁判員)に影響を与える可能性が高く任意性や信用性の判断を歪めてしまうこと、また弁護人の立会いもなく適切な尋問技術を持たない取調官による尋問によって虚偽自白が生み出される危険性が高いこと等が明らかになった。そこで、取調べ映像を裁判員裁判で再生する際には、こうした危険を回避する法的制度的手当が不可欠であることを明らかにした。
著者
中島 宏和 小堀 志津子
出版者
宇都宮大学
雑誌
宇都宮大学教育学部教育実践総合センター紀要 (ISSN:13452495)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.453-462, 2007-07-01

カエル調査の活動への参加者を地域の児童・生徒及びその保護者から募集し、地域社会で行う環境学習のあり方について検討した。分布調査や観察会、学習会を行った後、学習の成果を発表する場としてシンポジウムを開催した。その結果、子どもも大人も今回の活動が、改めて自然を見つめ直すきっかけとなったり、世代を超えた新たな人間関係の構築につながる様子が伺えた。また、活動に参加した児童は、参加しなかった児童に比べ、生物と生物や生物と自然環境とのつながりなど、環境を幅広くとらえていることが分かった。
著者
岩澤 聡子 道川 武紘 中野 真規子 西脇 祐司 坪井 樹 田中 茂 上村 隆元 道川 武紘 中島 宏 武林 亨 森川 昭廣 丸山 浩一 工藤 翔二 内山 巌雄 大前 和幸
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.39-43, 2010-01-15
参考文献数
7

<b>目的</b>&emsp;2000年 6 月に三宅島雄山が噴火し,二酸化硫黄(SO<sub>2</sub>)を主とする火山ガス放出のため同年 9 月に全住民に島外避難命令が出された。火山ガス放出が続く中,火山ガスに関する健康リスクコミュニケーションが実施され,2005年 2 月に避難命令は解除された。本研究では,帰島後 1 年 9 か月経過した時点における,SO<sub>2</sub> 濃度と小児の呼吸器影響の関連について,2006年 2 月から11月の 9 か月間の変化を検討した。<br/><b>方法</b>&emsp;健診対象者は2006年11月時点で,三宅島に住民票登録のある19歳未満の住民を対象とした。そのうち,受診者は,141人(受診率50.4%)で,33人は高感受性者(気管支喘息などの気道過敏性のある呼吸器系疾患を持つ人あるいはその既往のあり,二酸化硫黄に対し高い感受性である人)と判定された。<br/>&emsp;健康影響は,米国胸部疾患学会の標準化質問票に準拠した日本語版の自記式質問票により,呼吸器に関する自覚症状調査,生活習慣,現病歴,既往歴等の情報を収集した。努力性肺活量検査は,練習の後,1 被験者あたり 3 回本番の測定を実施した。<br/>&emsp;環境濃度は,既存の地区名を一義的な括りとし,当該地区の固定観測点での SO<sub>2</sub> モニタリングデータをもとに,避難指示解除より健診までの22か月間のデータについて,その平均値により居住地域を低濃度地区(Area L),比較的曝露濃度の高い 3 地域(H-1, H-2, H-3)と定義し,SO<sub>2</sub> 濃度(ppm)はそれぞれ0.019, 0.026, 0.032, 0.045であった。<br/><b>結果</b>&emsp;自覚症状では,「のど」,「目」,「皮膚」の刺激や痛みの増加が,Area L と比較すると,H-3 で有意に訴え率が高かった。呼吸機能検査では,2006年 2 月と2006年11月のデータの比較において,高感受性者では%FVC,%FEV1 で有意に低下(<i>P</i>=0.047, 0.027)していたが,普通感受性者では低下は認めなかった。<br/><b>結論</b>&emsp;高感受性者では呼吸機能発達への影響の可能性も考えられ,注目して追跡観察していくべきである。
著者
佐渡島 紗織 坂本 麻裕子 宇都 伸之 渡 寛法 大野 真澄 外村 江里奈 中島 宏治
出版者
日本リメディアル教育学会
雑誌
リメディアル教育研究 (ISSN:18810470)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.151-160, 2016-12-31 (Released:2017-03-27)
参考文献数
21

The purpose of this research is to analyze the structure of academic writing ability of first-year and second-year university students—students who are at the stage of general education. Practitioners and scholars have analyzed students’ writing ability; however, analyses on university students have been limited to those conducted under subjective criteria based on practices in a particular classroom or a certain course. Studies using objective methods have typically been limited to the level of junior-high and high-school students. Thus, the present study analyzed a larger sample of students’ papers at the university level using an objective methodology—factor analysis. 384 assignment papers from various courses written by first-year and second-year university students were evaluated using thirty-five criteria. The criteria were all based on the skills of academic writing without regard to specific fields. Factor analysis indicated five factors relevant to students’ academic writing ability: words and sentences, content, paragraphs, overall organization, and references. This five-factor structure of students’ academic writing ability can be applied in designing an academic writing course as well as in developing a rubric for assessing students’ academic writing at the stage of general education.
著者
相良 博典 知花 なおみ 沼尾 利郎 中島 宏和
出版者
獨協医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

肺サーファクタントは主に肺胞II型上皮細胞で合成、分泌される脂質・蛋白質複合体で肺胞被覆層を形成し肺胞表面の気相・液相界面の表面張力を低下させることにより呼気時における肺胞の虚脱を防いでいる。また、サーファクタント蛋白には感染防禦、免疫制御などの多彩な機能があ乱気管支喘息の本質的異常は、中枢部気管支粘膜における好酸球性炎症とそれに続発する気管支の機能障害と考えられてきたが、最近、多くの研究から、好酸球性炎症は末梢気道や肺胞領域でも起こっていることが明らかになってきた。この領域における炎症の存在は肺サーファクタントに影響を与える可能性があり、逆に、サーファクタントの異常が炎症反応に影響を及ぼすことも考えられる。今回、喘息における肺サーファクタントの異常の有無、肺サーファクタントが喘息病態に及ぼす影響、サーファクタントの合成・分泌細胞である肺胞II型上皮細胞の好酸球性炎症への閧与の有無を明らかにする目的で、以下の研究を行った。1.モルモット慢性喘息モデルにおける肺サーファクタントに関する研究、2.気管支喘息患者の肺サーファクタント関連蛋白に関する研究、3.好酸球のinterleukin(IL)-8に及ぼすSP-Aの影響についての研究、4.肺胞II型上皮細胞によるIL-16の産生に関する研究を行った。その結果として喘息肺では、その病態の強さに応じて肺サーファクタントの量的、質的、機能的異常が起こっている可能性があること、そのサーファクタント異常は、肺胞・末梢気道の開存性に影響を与えるばかりでなく、その領域の炎症反応をも修飾する可能性があることが示された。肺サーファクタントの正常化も、特に末梢気道優位型の喘息では治療目標の1つになる可能性がある事を示唆したものである。